生命保険などの保険において「お宝保険」と呼ばれる保険があります。一般的には過去に販売されていた保険商品で、特に予定利率(契約者に約束している利回り)が高い保険契約を指します。

日本では長らく低金利が続いており、2016年に導入された日銀のマイナス金利政策により予定利率は一段と低下しました。しかし、2024年3月に同政策は解除され、その後も段階的な利上げが行われた結果、2026年現在の政策金利は0.75%となり、「金利のある世界」への転換期に入っています。

これまでは数年前に契約した保険であっても、当時の低金利と比較して有利なケースが多くありました。現在、新規保険の金利は上昇局面にありますが、それでも過去の高予定利率の保険に比べれば条件は劣ります。「保険の見直し」と称して契約の切り替え(解約)や転換、下取りなどを提案されるケースもあるかもしれませんが、そうした保険は安易に見直してはいけません。

今回はそんなお宝保険について詳しく解説していきます。

お宝保険とは?お宝保険の定義

生命保険の貯蓄部分に対して保険会社が契約者に対して約束している利回り(利率)を予定利率といいます。この予定利率は一部の保険を除いて、「固定金利」となっています。

そのため、過去の金利が高い時期に契約した保険はそれだけ割安な保険料、または高い利回りで運用されているわけです。こうした保険は「解約」や「転換」「下取り」といったように契約を終了してしまうと終わってしまうため、できる限り保険契約は維持するようにするべきです。

予定利率とは何か?

予定利率という言葉自体、耳にしたことが無いという方もいらっしゃるかもしれません。
この予定利率というのは、保険会社が契約者に対して約束する運用利回りのことです。

払った保険料は、死亡保障などの保険に使われる「純保険料」、保険会社運営のための経費「付加保険料」、最後に将来の満期保険金などのための保険料として「貯蓄保険料」の3つに分けられます。

この予定利率で運用が約束されているのは「貯蓄保険料」に相当する部分が対象です。そのため、予定利率と銀行預金(定期預金の金利)などを直接比較することはできません。

生命保険の予定利率の仕組みと他の運用商品との利回り比較生命保険会社などの保険商品を見る場合、たとえば貯蓄性の高い保険で「予定利率2%」というように高い予定利率を示しており、この利率なら定期預...

予定利率が高い保険はなぜよい保険なのか?

予定利率が高い保険は、それだけ貯蓄部分の利回りが高くなります。

また、満期保険金がないタイプの生命保険であっても、保険加入期間が長い保険は、若い時に払っている保険料に年を取った時の死亡リスクに対する保険料も含まれています。その部分は運用されるため、結果として保険料自体が安く抑えられています。

そのため、基本的には予定利率が高い保険の方が有利になります。

なぜ昔の保険はお宝保険と呼ばれるのか?

予定利率は基本的に市場金利に連動しています。日本では「失われた20年」といわれるように長期の景気低迷が続き、市場金利の低下にともなって、生命保険会社各社の貯蓄性の保険の予定利率も低下してきました。

マイナス金利が学資保険などの貯蓄性保険に与える影響2016年1月の日銀によるマイナス金利政策は、長期金利などの下落を呼び、長期国債の利回りもマイナス金利に沈んでいます。こうしたマイナス金...

こうしたことから、「昔加入した保険=予定利率が現在より高い保険」ということで、そうした保険がお宝保険と呼ばれます。
一般的には予定利率が高かった1999年(平成11年)以前くらいの保険のことを指す場合が多いです。これ以前の保険は予定利率が現在と比べるとかなり高水準です。

以下は、生命保険会社が予定利率を決める際の参考指標ともいえる金融庁の「標準利率」の推移です。バブル期からの推移を見ると、昔の保険がいかに高利率であったかが分かります。

時期 標準利率
1985年(昭和60年)~ 5.50%
1993年(平成5年)4月~ 4.75%
1994年(平成6年)4月~ 3.75%
1996年(平成8年)4月~1999年(平成11年)3月 2.75%
1999年(平成11年)4月~ 2.00%
2001年(平成13年)4月~ 1.50%
2013年(平成25年)4月~ 1.00%
2017年(平成29年)4月~ 0.25%

2026年現在、金利上昇局面における「お宝保険」の新たな位置づけ

2024年以降の金利上昇に伴い、新規で契約する生命保険の予定利率も上昇傾向にあります。
例えば、2026年現在の主流商品の予定利率は1.85~2.5%が中心となっており、マイナス金利時代の0.25%前後と比較すると条件は良くなっています。

しかし、1996年(平成8年)3月以前に契約された、予定利率が3.75%を超えるような「バブル期のお宝保険」は、現在でも圧倒的な優位性を誇る「真のお宝保険」と言えます。
また、2013年(平成25年)3月以前に契約した学資保険などの貯蓄性保険(予定利率1.5%以上)についても、現在の新規保険と比較検討する価値が十分にあり、「プチお宝保険」として大切に扱うべき存在です。

お宝保険の具体的な見分け方(保険証券チェック方法)

ご自身の契約がお宝保険かどうかは、お手元の「保険証券」または年に一度届く「契約内容のお知らせ」で簡単に確認することができます。

保険証券で確認すべき3つのポイント

  • 保険種類:終身保険、養老保険、個人年金保険、学資保険などの「積立型(貯蓄型)」であること(※定期保険などの掛け捨て型は対象外です)
  • 保険始期(契約日):1999年(平成11年)3月以前の契約であること
  • 解約返戻率の推移:払込保険料の総額に対して、将来受け取れる解約返戻金や満期保険金の割合(返戻率)が100%を大きく超えていること

もし保険証券が手元にない場合は、契約している保険会社のコールセンターやお客様専用のウェブページなどから問い合わせて確認することが可能です。

お宝保険の解約、転換、下取りはやめておいたほうがいい

保険会社から「今契約している保険を解約、転換・下取りをして別の保険に切り替えないか?」という提案が出ることがあります。

解約 今契約している保険を解約すること。保険契約がなくなる。積立部分(貯蓄部分)については解約返戻金として戻ってくる。
転換・下取り・乗り換え 現在の保険契約を利用して別の保険を契約する方法。同じ保険会社の場合利用可能。現在の保険の積立部分(貯蓄部分)を新しい契約の保険料に充当する方法。既存の保険はなくなり、新しい保険に切り替わります。

保険を切り替えると予定利率も現在のものが適用される

たとえば、現在40代の方が20代の時に加入した終身保険であれば、予定利率は4%程度あるはずです。その保険を転換や下取りなどで別の保険に切り替えたとしましょう。

現在、金利上昇により予定利率は引き上げ傾向にありますが(主流商品で1.85~2.5%程度など、商品・会社によって異なりますので最新情報の確認が必要です)、それでも過去の4%という利率にはまだ遠く及びません。

結果として、この保険の切り替えは高金利の定期預金を解約して、わざわざ金利の低い預金に預け直すようなものであり、経済合理性はありません。

保険料が安く見えるマジック

ちなみに、転換や下取りを利用して保険契約を乗り換えると、月々の保険料が安くなるケースがあります。
先方(保険会社)は「転換したら保険料が安くなるからお得!」と発言するかもしれません。

しかしこれは、新しい保険契約を結ぶときに、いままでのお宝保険で積立をしてきた積立金を新しい保険のために支払っているから安くなっているにすぎません。

「下取り」としてこれまでの保険で貯めてきたお金を一時払い保険料として充当しているため、結果的に月々の保険料が安く見えているだけです。

税制上のメリット!生命保険料控除の旧制度が適用される

お宝保険を維持する隠れたメリットとして、「生命保険料控除」の旧制度が適用される点が挙げられます。

2012年(平成24年)1月1日以前に契約した生命保険には「旧制度」が適用され、所得税の一般生命保険料控除の上限額が最大5万円となっています。一方、新しく入り直した保険は「新制度」となり、控除上限額が最大4万円に下がってしまいます。

お宝保険を解約して新規契約に切り替えると、この控除上限額が下がり、結果として税負担が増える可能性があるため注意が必要です。

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「外貨建保険への乗り換え」提案には要注意

2024年以降の金利上昇局面において、「円建保険よりもさらに予定利率が高い外貨建保険(米ドル建など)へ切り替えませんか」と提案されるケースが増えています。

確かに外貨建保険は予定利率が高い傾向にありますが、同時に「為替リスク」を伴います。将来受け取る際の為替相場によっては元本割れを起こすリスクがあり、お宝保険のような「安全で確実な固定運用」とは根本的に性格が異なります。乗り換えを検討する際は、リスクを十分に理解した上で慎重に判断してください。

保険会社がお宝保険の転換を迫る理由は?

では、なぜ保険会社は転換をさせようとするのでしょうか?
わかりやすい話ですが、自社の利益のためです。

既存契約の高い予定利率は保険会社にとっては、長きにわたる金利低下によって運用利回りが低下していた中で「逆ザヤ(運用利回りよりも約束した利率が高い状態)」の契約となっていました。

契約者にとってのお宝保険は、保険会社からすると損をする保険になっているわけです。そのため、転換をして少しでも低い予定利率の保険に換えてしまおうとするインセンティブが働いています。

解約せずに資金を活用!「契約者貸付制度」

もし「どうしても手元に現金が必要になった」という場合でも、すぐにお宝保険を解約するのはもったいないです。

多くの生命保険には契約者貸付制度という仕組みがあります。これは、解約返戻金の一定割合(一般的に70〜90%程度)を限度として、保険会社から低金利でお金を借りることができる正規の制度です。
この制度を利用すれば、お宝保険の有利な契約や保障内容を維持したまま、必要な資金を準備することができます。

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もちろん、保障内容が現在のあなたの家計や家族構成等の状況にあっていないというように見直しが必要なケースもあると思いますが、1999年3月以前に契約した生命保険については、解約等は慎重に検討するようにしましょう。

以上、お宝保険とは何か、そして知らずに解約や転換、下取りをしてはダメな理由をご紹介しました。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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