賃貸派、持ち家派という言葉もある通り、住まい選びにおいて賃貸を選択するか、それとも持ち家(マイホーム・分譲マンション等)を選択するかは、それぞれの大きな言い分があります。
正直どちらにも一長一短があるわけで、明確にマイホーム購入がお得とか、一生賃貸の方が有利といえるわけではありません。
最終的にはその人それぞれの考え方次第という結論に到達します。
今回はそんなマイホーム購入派と一生賃貸派のそれぞれのメリット、デメリットをまとめていきます。どちらが自分自身のライフスタイルや人生観に合っているのかを考えていきましょう。
賃貸、マイホーム購入の岐路で考えるべきポイント
今後も賃貸で暮らすか、それともマイホームを購入するか?という検討をする時期もあるでしょう。
多くは結婚、出産、子供の独立、退職など大きな人生の節目でそうしたことを考えることが多いのではないでしょうか?一生賃貸かマイホーム購入かそれぞれの特徴を項目ごとに比較していきたいと思います。
一生涯にかかる費用はどちらもさほど変わらない
マイホーム購入と一生賃貸との比較における金銭的な違いは実はあまりないという統計が出ています。
金融中央広報委員会が試算した50年間の住宅費では購入で約8200万円、賃貸で約8600万円とさほど差はありません。やや賃貸が高い結果になっていますが、修繕費や賃料相場の推移なども考えると不確定要素が大きく、どちらが少なく済むのかを将来にわたり予測するのは難しいといえます。
ですから、一生涯のコストとして考えた場合の賃貸派とマイホーム購入派でどっちが金銭的に得とか損とかを議論するのは今回はやめておきます。
一生賃貸派の人が知っておくべきリスク
賃貸派の人にとってのメリットとしては
- 住宅ローンがないことで関連リスクがない
- ライフスタイル・ステージ合わせて家を変更できる
- 周辺環境リスクが小さい
といったことが挙げられるでしょう。特に大きいのは自由度でしょう。場所(立地)、広さ、設備、利便性、眺望などタイミングや状況に合わせて自由に選択して契約することができるというのが賃貸住宅の大きなメリットです。
周辺の環境が悪くなったとしても引越しをしてしまえばいいわけです。
一方で賃貸住宅には以下のようなリスクやデメリットもあることを忘れてはいけません。
住み替えが容易な反面で、地方は選択肢が少ない
賃貸の場合は住み替えが容易です。その時々で部屋の数や場所などを転々とすることができます。周囲の環境が気に入らなければすぐに出ていくという選択も可能です。子供の数や通勤・通学などに合わせて部屋の数や立地なども変更可能です。
一方で、都市部を除くとファミリー向けの物件は限られます。賃貸物件は一部の分譲賃貸などを除くと収益物件として建てられたものが多く、坪効率の悪いファミリー向けの物件は供給数が少ないという面があります。
また、賃貸物件は良くも悪くも「平均的」に作られています。たとえばシアタールームが欲しいとか庭でBBQを家族と楽しみたいというような趣味のための設備などはなかなか叶いにくいといえそうです。
設備なども賃貸マンションは分譲マンションと比較してランクが落ちることが多いです(都心の購入賃貸は別)。
老後に住宅難民とならないための対策が必要
一生賃貸派にとっての大きなリスクは「老後」です。
多くの老後試算では「持ち家」で生活費を計算していることが多いのです。そんとため、一生賃貸派はマイホーム派よりも老後に係る毎月の生活費は高くつくことを考えておく必要があります。
また、住宅難民化しないための備えも必要です。特に独居老人などのケースでは孤独死などの万が一を恐れて家が借りにくくなるケースもありますし、バリアフリーなどに適した住宅が見つからないかもしれません。
孤独死保険や保証会社を利用して入居するという方法もありますが、老後の住宅確保はリスクの一つです。
一生賃貸派でいる人は老後の住宅については現役の内から考え備えをしておく必要があります。
マイホーム購入派の人が知っておくべき住宅購入のリスク
住宅購入のメリットとしては
- 注文住宅などは自分の好きな家を建てることができる
- 老後(ローン完済後)は比較的低コストで暮らすことができる
- 賃貸と比較して高品質な住宅に住める
などが挙げられることでしょう。注文住宅であれば自分好みの設計や間取り、設備が利用できるというのは大きいです。自己所有であれば、賃貸のような老後問題もありません。
一方でやはりマイホーム購入派ならではのリスクも理解しておく必要があります。
住宅ローンは個人が背負う最大の借金と理解しておく
住宅をキャッシュで買えるようなお金持ちは別として多くの人は住宅ローンを組んで数千万円単位の借金をして家を買います。スムーズに返済ができればいいのですが、そうでない人もいます。
「知っておきたい住宅ローンの破綻・トラブルの割合。返済トラブルを統計から読む」でも紹介しましたが、住宅ローンの破綻先比率は毎年全体の0.3~0.6%ほど出ています。たったそれだけ?と思うかもしれませんが、条件緩和(なんらかの理由で通常の返済ができなくなった人)になると5~8%にまで増加します。
住宅ローンが返せなくなって最終的には家を売らざるを得なくなり、最後にローンだけ残った……なんてことにならないように、ローンプランニングはしっかりと行っておくべきです。なんとかなるさでなんとかなる金額ではありません。
マイホームという鎖につながれてしまう
購入した自宅はそう簡単に手放すことはできません。小さな話でいえば転勤による引っ越し問題などがあります。また、周辺とのトラブルや人間関係問題などが起きたとしても、賃貸のようにすぐに引っ越しをするというわけにはいきません。
昔と比べると今は少しずつ中古住宅市場も盛り上がってきているようですが、売却にはやはりそれなりの時間が必要ですし、ローンが一括返済できるほどの金額で無いと、そもそも売ることもできません。
不動産を所有するリスクもある
地震や台風、洪水などの自然災害によるリスクはもちろん、放火や失火による火災などのリスクもあります。建物が減失した場合には火災保険や地震保険などによって一定の損失補償を受けることもできますが、100%というケースはなかなかないでしょう。
地震保険は火災保険の50%までなので、万が一の場合はローン残高以下となる可能性も高いです。
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不動産という実物資産を保有する以上はこうしたリスクもあるわけです。一方で保有している不動産の価値(地価)などが上昇することによる経済的メリットを受ける可能性もあることはメリットとして存在します。
まとめ。賃貸とマイホーム購入の比較
いかがでしょうか。賃貸にもマイホーム購入にもそれぞれにメリットもあるしデメリットもあるということが分かっていただけたかと思います。
そして、それぞれで向いている方向が違うのです。それぞれのメリット、デメリットのどちらを強く感じるか?というのが一つの選択のポイントになってくるのかなと思います。
お金の損得を考えるのも大切ですが、やはり人の生活の基本である「衣食住」の一つであるということは経済合理性だけで考えるものではないと思います。
住まいというのは「生活の場」であるからです。家というのは長期にわたってそこを拠点に生活していく家族にとってベースとなる場所です。
いつでも好きな時に好きな場所に引越ができるといった賃貸住宅に魅力を感じるのか、それとも庭付き一戸建てや自由にリフォームをしたりできる持家に魅力を感じるのかは人それぞれだと思います。
家に住む自分と家族を想像し、どちらがより幸せに暮らしていくことができるのか?そういった視点も賃貸かマイホーム購入かを選ぶ上で重要な視点だと思います。
以上、マイホーム購入と一生賃貸はどちらがお得かを考えてみました。
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