住宅購入時(住宅ローンを組む時)には、ストレステストを実施しましょう。ストレステストとは「健全性検査」ともいい、一定以上の負荷(マイナスの影響)を与えた時にそれに耐えうるかどうか?というものです。
住宅ローンというのは人生において最大級の負債です。
景気や経済があなたにとってマイナスの方向に動いた時、どれほどあなたの家計は耐えうるものなのか、住宅ローンの危機管理を学びましょう。
不測の事態と住宅ローン返済の健全性
ストレステストは、あなたにとって不利な状況に動いた時、どれほど耐えることができるのか?健全性を維持できるのか?というテストです。
リスク管理手法として一般的には銀行や国家などの経営状況が安全な状況にあるかを調べる検査となります。ストレス(Stress)とつくように、自身にとって不利な状況となる仮定の下で安全かどうかをチェックします。
住宅ローンのような長期かつ多額なローンは、金利の上昇(変動金利選択時)、給料の減少、子供の増加などによる生活費増加のように、不特定要素が多数あり、その結果の住宅ローン返済プランが大きく変わってしまうリスクがあります。
余裕のある住宅ローンプランを組んでいる人は別として、ギリギリだなぁと思うような住宅ローンを考えている人は、一度、自分にとって不利な状況の下でも住宅ローン返済が持続的に可能かどうかのストレステストをお勧めします。
金利上昇による影響は大きい。住宅ローンの金利リスク
通常住宅ローンは20年、30年と長期間で返済をしていきます。そのため、利息負担というものは極めて大きく、ほんの1%の金利の違いだけでも総返済額はもちろん、月々の返済金額にも大きな差が生じることになります。
近年は歴史的な低金利水準が続いていますが、いつまでこれが続くかは分かりません。もしかしたら近い将来に住宅ローン金利が上昇するかもしれません。
金額が大きい住宅ローンだからこそ、1%の金利上昇が与える返済額に与える影響も大きくなります。
3000万円・35年元利均等払いの金利ごとの返済額
- 1%:月々84,685円(総額35,567,804円)
- 2%:月々99,378円(総額41,738,968円)
- 3%:月々115,455円(総額48,490,768円)
- 4%:月々132,832円(総額55,789,377円)
- 5%:月々151,406円(総額63,590,316円)
上記のように金利が上昇すると月々の住宅ローン返済額も返済総額も飛躍的に上昇していきます。固定金利で借りている方は別として、変動金利で借りている方、固定期間付きで借りている方は将来の金利上昇が大きく影響するリスクがあることを理解しておくべきです。
返済額の上昇に備えられないようであれば、固定金利で借りようにする、固定金利への借り換えを検討するなどのリスクヘッジが必要です。
住宅ローンシミュレーションサイトなどで返済条件を入力するとき、仮に5年後に金利が5%上昇したとして計算してみましょう。それでも月々の返済額に余裕はあるかを考えてみてください。
金利が上昇し始めたら考えればいいと思う方も多いようですが、金利が上昇し始めた時はあっという間に上昇していきます。ある程度は金利が上がっても対応できるかどうかはチェックしておきましょう。
給料(収入)の減少をリスク要因として考える
給料が減少するかもしれない、予定通りに貰えないかもしれない、というのはリスク要因の一つです。
- 病気やけが
- 転職
- 会社の倒産、リストラ
- ボーナスカット
将来を悲観ししすぎると何もできませんが、少なくとも何かの問題があって半年程度は収入が減少しても何とかなるという備えは必要です。
「生活防衛資金」のように万が一に備えた一定の現金の準備があるか?準備することができるか?は厳しめにチェックしておきたいところです。
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ボーナスや退職金をアテにした住宅ローンは危険
逆に、住宅ローン返済計画に「ボーナス」や「退職金」などを考慮しすぎると、その通りにならなかった時に計画が狂ってしまいます。
ボーナスや退職金などは返済の計画から除外し、それでもしっかりとローンが返済できるかをチェックしましょう。もちろん、ボーナスが出たときにそうした資金を繰り上げ返済に充てるということ自体は間違っていませんよ。
それがないと住宅ローンが返済できない、あるいは困難になるというのが怖いという話です。
生活費の増加を考えておく
子供の計画がある方は子供が増えることによる生活費の増加や将来必要になる学費といった点も考えておく必要があります。
子供の教育費は子供が小さいうちはさほど必要となりませんが、高校、大学と進学する時期にはかなりの費用が必要になります。(参考:子供の教育に必要な「学費」の目安)
特に、住宅ローンの返済プランに繰上返済を積極的に行うことで対応することを事前計画している場合は子供の教育費が将来増加するということを考えておく必要があるということを理解しておく必要があります。
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リスクを恐れすぎる必要はあるのか?
“個人レベル”において様々なリスクを考えだすとなにもできなくなってしまいます。ただし、ある程度のバッファ(あそび)はないとちょっとした経済変動で住宅ローンの返済に行き詰ってしまいます。
実際にどれほどのリスクなのかを住宅金融支援機構の平成29年度決算資料から見ていきましょう。
フラット35(買取型)の区分は以下のようになっています。
- 合計額:14兆7979億2599万4206円
- 正常先:14兆6580億7693万5235円
- 要管理先以外の要注意先:281億1387万652円
- 要管理先:633億3188万9345円
- 破綻懸念先:26億4469万2381円
- 実質破綻先:335億870万9833円
- 破綻先:122億4989万6760円
正常先が大半で、非正常先という意味合いでは0.95%となっています。つまり、100組に1組程度が、住宅ローンの返済困難な状況になるということを示しています。
となみに、要注意先となっているのは利子または元本の支払いが遅延している状況で、要管理先は3か月以上の遅延、それ以降は破綻に陥る可能性が高いという意味合いなっています。
過剰に恐れると何もできなくなるわけですが、住宅を販売するハウスメーカーなどは住宅ローンに対してかなり楽観的な発言をすることが多いので、こうした点も考慮しておくべきという思いで書いています。
ぜひ、参考情報の一つとしてご活用いただければと思います。
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実際に住宅ローンの返済ができなくなる、厳しくなった場合の対応策については上記記事で紹介しています。
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