大手銀行が預金者から口座維持手数料を徴収する検討に入ったと報道されました。口座維持手数料は要するに銀行の利用料のようなもので、海外の状況をベースに考えるのであれば、利用金額が少ない場合(預金残高が一定を下回った場合)に定額で徴収されるというのは一般的です。
報道では、年間数百円から数千円程度としていますが、毎月100円程度でも手数料は年1,200円になります。今はメガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)が導入検討中という話です。また、口座維持手数料と同じような手数料として「通帳発行手数料」というものも検討されているようです。通帳の発行や更新(切り替え)でも手数料が発生する仕組みです。
こうした口座維持手数料や通帳発行手数料の新設に向けて備えておくべきことはあるのでしょうか?
口座維持手数料が課されたら大半の預金者は実質マイナス金利になる
ちなみに、今の銀行預金の金利、都市銀行(メガバンク)だと金利は0.001%です。仮に年間に1200円程度(月100円)の利息を得ようと思ったときに必要な預金額は1億2000万円です。税金も考慮したら1億3000万円は必要になりますね。
仮に、現在の金利状況で銀行が口座維持手数料を徴収するという場合、ほとんどすべての人は銀行に預金をすることで、現金が目減りするという実質マイナス金利に突入することになります。
なぜ、銀行は口座手数料を徴収しようとするのか?
マイナス金利によって利ざやが稼げないという状況もありますが、銀行にとっても動かないお客様はコストの方が大きかったりします。たとえば、印紙税。
銀行は通帳1冊につき年200円の印紙税という税金を支払う必要があります。こうしたコストはチリツモで、銀行にとっても大きなコストとなっています。国税庁によると、通帳による印紙税は馬鹿にできない金額です。
- 2013年:740億円
- 2014年:732億円
- 2015年:726億円
- 2016年:710億円
- 2017年:690億円
微減傾向が続いているのはネットバンクの増加や紙の通帳を発行しないデジタル口座などが増えてきたことも影響しているのでしょうか。
たとえば、2019年6月10日に三菱UFJ銀行は顧客から要望されない限りは紙の通帳を発行せず、デジタル通帳(アプリ等で確認)に切り替えています。
ただ、税負担以外にも管理費がかかるわけで、口座はあるけど、ほとんど動いていないような預金者の口座は銀行にとっては赤字ユーザーでしかないわけです。
実際、欧米の銀行では一定額以下の預金しかない人に対しては口座手数料を取るところが多く、日本でも導入を検討している銀行が増えています。
銀行は貸金庫のような状況、口座維持手数料は貸金庫代?
皆さんもご存知のように、マイナス金利政策によって一段と低くなった預金金利ですが、ここ10年、15年とみても金利は相当低く抑えられています。
バブル期前後は銀行の定期預金に10年預けておけば、預金が2倍になるほどの金利がついていた時期もあったわけですが、今となっては定期預金に預けても普通預金に預けても預金者からすればお金が増えることはありません。
むしろ、銀行よっては定期預金に預けるよりも普通預金に預けるほうが金利が高いというケースだってあります。
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結局、今の銀行というのは私たち預金者から見たら、ただの金庫+送金ツールくらいでしかないわけです。そういう意味では、口座維持手数料というのは貸金庫代のようなイメージになるのでしょうか。
タンス預金がますます増えるけど、タンス預金はお勧めしない
おそらく、口座維持手数料が実現すれば、銀行から資金が流出してタンス預金(自宅に現金を保管する)が急増すると思います。実際、マイナス金利政策がスタートしてから金庫の売れ行きが急増しました。当時は預金者からすればマイナス金利ではなかったにも関わらずです。
※マイナンバー導入が引き金だったという説もあります。
メガバンクが口座維持手数料を徴収すれば経営的にはもっと苦しい地銀だって追従するでしょう。そうなると預金者はますますタンス預金は増えるでしょう。
ただ、タンス預金については災害や犯罪被害などに遭うリスクがあるほか、紛失等の問題もあるためあまりお勧めしません。
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個人なら都銀や地銀に口座を持つメリットはもはやほとんどない?
そもそも論になってしまいますが、ほとんどの金融取引をパソコンやスマホ、アプリでできるようになった現在において、店舗があるということ、通帳があるということのメリットはほとんどなくなりました。
- 振込はスマホアプリで完結、手数料も安い(無料)
- 出金は町のコンビニATMから手数料ゼロで出金可能
- 残高や利用履歴もアプリで確認できる
- 住宅ローンやカードローンもネット完結で契約できる
店舗(窓口)がある意味って個人の利用者にとってはあまりメリットなさそうです。
今回は口座維持手数料の話ですが、ネット銀行ならコンビニATMも時間外で無料で使える銀行も多いですし、振込手数料ですら無料にしている銀行も多いです。メガバンク(都市銀行)とはえらい違いですね。
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通帳がないというのが一昔前はネットバンクの大きなデメリットだと言われていた時期もありましたが、今は常に近くにあるスマホで簡単に確認できるようになってむしろ紙の通帳のほうが保管が面倒です。
むしろ個人は銀行に近づかないほうがいいかも
銀行窓口では、投資や保険などのコンサルティング(販売)にも力を入れているみたいですが、内容や売り方も決して推奨できるものではなく、むしろコストが割高な商品を強引にセールスするような状況です。そう考えると、個人にとっては銀行(店舗)に近づくほうがリスクだったりするかもしれません。
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口座維持手数料や通帳発行手数料導入に備えておくべきことは何?
銀行の口座維持手数料が導入された場合、預金者はどう動くべきでしょうか?少なくとも、急に口座手数料が発生するということはありません。
おそらくは段階を踏んでいくと思います。
銀行は分散させず集約する
銀行にとってもコストの要因になっている口座というのは“全く動いておらず、また残高もない口座”です。
そう考えると、口座維持手数料の徴収については、残高が一定以下といったような基準を設ける可能性が高いと思います。となれば、銀行は分散させずに集約するというのが賢い選択となりそうです。
必要以上に銀行口座を増やすというのは今後控えたほうがいいかもしれませんね。もっとも、口座維持手数料の導入が決まってから解約してもいいのですけど……。
早めに口座を作っておく
たとえば、通帳発行手数料などは、ある特定のタイミング以降で口座を開設した人が手数料の対象というようにしているようです。なので、銀行口座が必要だという方は紙の通帳の手数料がかからない段階で口座を早めに開設しておくというのは解決策の一つかもしれません。
ネット銀行やネット支店を活用する
記事の最初の方でも説明した印紙税は紙の通帳だけにたいしてかかる税金です。ネット銀行やネット支店のように通帳を発行しない銀行の場合、印紙税はかからないので、銀行側の管理コストも小さくなります。
三菱UFJ銀行も、通帳を発行するタイプの口座に対しては口座管理手数料を徴収するみたいな方向を検討しているようです。
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通帳を発行しないという方法が、スタンダードにある社会が来るかもしれませんね。
以上、銀行の口座維持手数料についてまとめてみました。この記事は進捗があり次第アップデートしていきます。
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