日経平均株価が将来にわたって下落するのではないか?と予想するときにETFを使った投資方法には大きく二つの戦略があります。
1)日経平均のインバース型ETFを買う
2)日経平均のETFを空売りする
この二つですね。こうした日経平均のETFに関しては2倍の値動きとなる“日経ダブルインバースETF”と“日経レバレッジETF”があります。これらのETFについてダブルインバース型を買う、レバレッジ型を空売りするという二つの投資が実際にどのような値動きとなるのかを紹介していきます。
日経レバETFと日経ダブルインバETFの商品性
- 日経レバレッジETF(1570)
- 日経ダブルインバースETF(1357)
上記二つはいずれも日経平均の2倍の値動きをするETFで短期の株価変動においてよく利用されるETFです。レバレッジETFは日経平均の2倍、ダブルインバースETFは日経平均のマイナス2倍の値動きをします。
通常、レバレッジETFは株価上昇を予想するとき、ダブルインバースETFは株価下落を予想するときに投資されるETFとなります。
ただ、どちらもETFも信用取引が可能です。
たとえば、株価下落を予想するとき、日経ダブルインバースETFを買ってもよいのですが、日経レバレッジETFを信用取引の“空売り”を利用することでダブルインバースETFと同じような運用が可能な気がしますよね。
ただ、実際にはかなりの差が生じることになります。
今回は、日経平均が下落すると予想するときに日経レバの空売りと日経ダブルインバの買いはどちらが有利になるのか?それぞれのメリット、デメリットについて紹介していきます。
ちなみに、空売りって何?という方は先に以下の記事を読んでおいてください。
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基本的に日経レバETFを空売りするほうがパフォーマンスは良い
日経レバの空売りと日経ダブルインバの買いとを比較すると、同じ金額の運用であれば日経レバの空売りの方が投資のパフォーマンスは高くなります。それは、レバレッジ系ETFの特性があります。
以下は、レバレッジETFに対する目論見書の注意事項を抜粋したものです。
2営業日以上離れた期間における日経平均レバレッジ・インデックスの騰落率と日経平均株価の騰落率の2倍との差は、当該期間中の日経平均株価の値動きによって変化し、プラスの方向にもマイナスの方向にもどちらにも生じる可能性があります。ただし一般に、一定のレンジ内で日経平均株価の値動きが上昇・下降を繰り返した場合に、マイナスの方向に差が生じ、日経平均レバレッジ・インデックスの指数値は逓減する可能性が高くなります。また、一般に、期間が長くなれば長くなるほど、その差が大きくなる傾向があります。
大事なところを太線にしています。
要するに2営業日以降をレバレッジETFを買った場合、単純な日経平均の2倍の値動きよりもマイナス方向に動きやすいという特性があるということです。
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これは、買い目線でいえばリスクですが、空売り(ショート)の目線でいえばマイナス方向への乖離はプラスとなります。
日経レバレッジETFは出来高が大きいのも魅力
日経レバレッジETF(1570)は日々の証券会社の出来高ランキングを見ても常に上位入りしている銘柄で、非常に売買が活発です。
一方で日経ダブルインバースETF(1357)も出来高が少ないわけではありませんが、1570と比較すると見劣りしてしまいます。
長期運用になると貸株料も必要、逆日歩リスクも
一方で、日経レバETFを空売りする場合には貸株料という追加コストを考える必要があります。貸株料は信用取引で空売りをするときに、ポジションの維持のためにかかる費用の事です。
こちらは建玉総額に対して年率で1%ちょっとです。こうした維持費がかかる分だけ空売りの場合はパフォーマンスが低下します。
また、逆日歩のリスクもあります。逆日歩は空売りが信用買いよりも増えて株不足が生じた場合に発生する空売りのコストです。逆日歩は必ず発生するわけではありませんが、ETFは個別株よりも機関投資家の保有が少なく、逆日歩が発生しやすいです。
このほかに盲点となりやすいのが管理費ですね。1か月以上の運用をするときにかかる手数料となります。
こうしたコストも考えると、見た目(チャート上)のパフォーマンスはレバレッジETFの空売りのほうが有利でも、逆日歩発生などがあった場合には、逆転するケースもあります。
まとめ。日経の下落を予想するときの有利なETF投資
日経平均株価の“下落”を予想するのであれば、日経レバレッジETFと日経ダブルインバースETFのどちらが良いかという話でした。
- 短期なら大差なし。コスト差を考えるとダブルインバが有利
- 長期投資の場合は日経レバレッジETFの空売りの方が有利
- 一方で、日経レバレッジETFは逆日歩リスクがある
基本的には日経レバレッジETFの空売りという選択の方がよさそうですが、需給状況によっては逆日歩のリスクがあるので、モニタリングを欠かさないようにしたほうがいいですね。
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