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一般信用で空売り(短期売り)が可能なネット証券比較と優待クロスのやり方

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一般信用取引における空売りは、株主優待のクロス取引でよく活用される方法です。制度信用取引における空売りで生じる「逆日歩リスク」がないためで、近年では大手のネット証券で提供されるケースが増えています。今回はそんな一般信用取引における空売り・短期売りの仕組みと、株主優待クロスの方法について解説と、一般信用における空売りが可能なネット証券と比較をしていきます。

株主優待目当てのクロス取引は逆日歩リスクが拡大

株主優待だけを手に入れるための現物買い+信用売りの組み合わせ(通称:優待クロス)は一昔前は有効な方法でした。
参考:

ところが、こうした方法が利用できるということがネットで広まったことで、大きな問題が発生するようになりました。それは逆日歩リスクです。逆日歩というのは信用取引において空売りをする際に必要になることがあるコストの一つです。

 

逆日歩の仕組み

逆日歩というのは、信用取引において株不足が生じたときに発生します。
そもそも信用取引の空売りというのは証券金融会社(日証金が有名)という株式を融通する会社から株を借りて市場で売って、後ほど買い戻して返済するという仕組みになっています。

じゃあ、この空売りのための株はどうやって調達しているのかというと大株主とかから借りているです。
最近では個人株主に対しても「貸株サービス」といったように保有株を証券会社にレンタルして貸株料という収入が得られるサービスが提供されていますが、それと同じようなものですね。

ただ、空売りが極端に増加すると日証金が普通に確保しているだけの株では株が足りなくなることがあります。これが株不足と呼ばれる状態です。

この株不足が生じるとその穴埋めのために株を貸してくれる人(株主)から株を貸してくれるようにお願いする必要があります。その時に必要になる追加費用が逆日歩です。

逆日歩はオークションによって価格が決定します。株不足に対して応札してくれる人が少ないと金額も高額となっていきます。

 

株主優待クロスで高額逆日歩が発生するように

株主優待クロス取引は現物株を買って、信用取引でその株を空売りします。そのため、一時的に空売りが急増することになります。こうした急増で日証金は株券調達ができずに逆日歩が発生するケースが増えているのです。

以下はそうした高額逆日歩でも比較的被害額(金額)が大きかった案件です。数千円の優待のために数万円の逆日歩を払うなんて笑えない話ですね。

発生日 逆日歩総額 株主優待
アドアーズ 2017年3月 84,000円 44000円相当のエステ券
湖池屋 2016年12月 32,000円 1000円相当のポテチ
伊藤ハム 2016年3月 36,000円 5000円相当のハム
日本研紙 2015年12月 40,000円 3㎏のお米券
音通 2012年9月 90,000円 3000円の蕎麦
東京ドーム 2012年1月 36万円 東京ドーム指定席券

 

一般信用の空売りなら逆日歩リスクはない

この逆日歩というのは、あくまでも制度信用取引という証券取引所が中心となってルールを決めている信用取引でのルールです。信用取引にはこの制度信用取引の他、一般信用取引という証券会社が独自にルールを定めている信用取引があります。

この一般信用取引の場合は、株不足が生じない仕組みになっているので、逆日歩は発生しません。つまり、高まっている優待クロス取引の逆日歩リスクを避けたいのであれば、一般信用取引を使えばいいということになりますね。

 

一般信用取引・短期売りにおける株主優待クロス取引

一般信用取引は各証券会社が実施する信用取引です。
前述のとおり逆日歩リスクがないため、優待クロス取引においては重宝する取引です。ただし、いくつか注意点があります。

 

一般信用取引で空売りができる証券会社は少ない

多くの証券会社は一般信用取引においては信用買いのみの対応で空売りには対応していないところが多いです。理由は簡単で、信用買いであれば現金を投資家に貸すだけでいいのですが、信用売り(空売り)を受け付けるにはその空売り用の株券を証券会社自身で調達する必要があるからです。

規模が大きい証券会社でないと難しいわけで、実際に提供しているところはネット証券の中でも大手ばかりです。
各社が「貸し株サービス」などを提供しているのもこうした一般信用取引における空売り用の株を調達するためというところも背景にあるわけです。

 

一般信用取引での優待クロスの注意点

みんな考えることは同じです。制度信用取引での優待クロスで逆日歩リスクが高まっているということで、一般信用に逃げる投資家が増えています。そのため、人気の優待銘柄については一般信用で売ろうとする投資家が増えます。そうなると証券会社が用意できている空売り用の株が売り切れとなることも多々あります。
(一般信用取引では逆日歩リスクがない代わりに、空売りができなくなることがあります)

 

一般信用取引で空売りが可能な証券会社とその特徴

なお、一般信用取引での優待クロス取引を考える場合、空売り可能な銘柄数が多い、短期売り(返済期限が短い信用売り)がおすすめです。というか、そうじゃないとまず優待銘柄の空売りはできません。

以下の証券会社以外にも一般信用で売り建てができる証券会社はありますが、実際の優待クロスを考えるとあまり現実的とは言えないので、まずは短期売りができる3社を活用しましょう。

また、日計りでの空売り(デイトレのみ)というものもありますが、こちらは持ち越せないので優待クロスには使えません。

2017年3月31日時点ではSBI証券、楽天証券、auカブコム証券の3社がサービスを行っています。

SBI証券 楽天証券 auカブコム証券
短期売り名称 短期売り 短期売建 売短
信用期限 5営業日 14日(13日応当日) 14日(13日応当日)
売り建て可能銘柄 493銘柄 19時ごろ更新 約900銘柄
貸株料 3.9% 3.9% 3.9%

 

いずれも優待クロス取引を前提とした信用取引

こうした各社の一般信用の短期売りは、いずれも株主優待のクロス取引を前提とした商品になっています。株主優待の権利取得を行うために空売り+現物買いを一緒にする必要があります。

 

短期売りをする実例

実際のカレンダーで短期売りを利用して優待クロス取引を行うスケジュール感をみていきましょう。なお、権利落ちってそもそも何?というかたは先に「株主優待で得をする。株主優待のもらい方、受け取るための手続き、流れのまとめ」をご一読ください。

日曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日
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(権利付き最終日)
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(権利落ち日)
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まず、優待の権利を取得するには25日までに株を買い、26日まで持ち越すことが必要になります。これで優待の権利が取得できます。

つまり、上記の例だと26日(水)に短期売りの株を返済(現物株を同数買っているなら現渡もOK)すればいいということになります。

一般信用の空売りには各社とも3.9%(年)の貸株料が発生するので、もっともコストをかけたくないなら25日に空売り、26日に現渡というのがベストです。

 

人気銘柄は競争が激しい

前述のとおり、最もお金をかけたくないのであれば25日空売り、26日現渡なのですが、人気優待銘柄は皆が優待クロスをしたいと思うので、その時期には空売りができなくなっていることがほとんどです。
そのため、各社ともに空売り期限をマックスに利用して取引をする必要があります。

売り建て可能日 売り建て注文が可能になる時間
SBI証券 4月20日(木) 4月19日の19時ごろ
楽天証券 4月13日(木) 4月12日の19時ごろ
auカブコム証券 4月13日(木) 4月12日の19時ごろ

※日付は上記の2017年4月のカレンダーを基準にしています。

ちなみにSBI証券は営業日ベースで、楽天、カブコムは日数ベースなので注意してくださいね。

 

一般信用の優待クロス取引のやり方

いずれの証券会社でも売り建て可能日の前日の夜の7時頃に一般信用で空売り可能なリストが更新されます。それを見て、ほしい銘柄をチョイスしてください。売り建てが可能であれば、そのまま空売りの手続きをしてください。
この場合、時間外のため翌朝の寄付き価格(始値)で空売りが行われます。

空売りの手続きが終わったら、空売りをした株を同じ株数だけ成り行き買い(現物)で注文を出しておきます。こちらも時間外のため翌朝の寄付き価格(始値)で現物買いが完了します。

こうすれば空売りと現物買いがかならず同じ株価で売買成立します。

あとは、4月26日の権利落ち日まで放置して26日に「現渡」という方法で決済をします。現渡とは、保有する現物株を空売りに充てることで弁済する方法です。現渡をすることで、手数料が片道分お得になります。

以上で終了となります。逆日歩のリスクを気にすることなく株主優待だけをゲット可能です。

 

一般信用取引を使った優待クロスにかかる手数料比較

かかる費用は買い付け+信用売りの片道分の手数料+貸株料になります。
以下は仮に100万円の優待銘柄を優待クロス取引したときに必要な各社ごとの手数料の合計金額となります。

SBI証券 楽天証券 auカブコム証券
現物買い手数料 526円 526円 1070円
信用売り手数料 389円 486円 821円
貸株料 535円 1495円 1495円
合計コスト 1450円 2507円 3386円

※税込(8%)。SBI証券の貸株料は5日で済んだ場合です。土日を挟んだ場合は7日となる為、その場合は214円加算となります。

優待利回りが3%程度の優待銘柄だと3万円ほどのリターンが見込めるわけで、払ったコストの10倍以上はリターンが見込めそうですね。

 

優待クロスをするならこの3社は確実に口座を持っておくべし

一般信用を使った株主優待クロス取引はノーリスクで株主優待をゲットするうえでお勧めの方法です。2017年3月現在では3社のみが対応しており、それぞれで空売り可能な銘柄も異なることが多いので、この3社は確実に口座を作ってクロス取引できるようにしておくようにしましょう。

3社作るのはちょっと……という方は、一般信用で空売り可能な銘柄数が多いauカブコム証券と、低コストで一般優待クロスができるSBI証券の二社だけでも押さえておきたいところです。

>>SBI証券公式ページ

>>楽天証券公式ページ

>>auカブコム証券公式ページ

 

以上、一般信用で空売り(短期売り)が可能なネット証券の比較と優待クロスのやり方を紹介しました。