株式投資を通じて配当金や株主優待などの権利を取得する時に確実に押さえておきたいシステムが「受渡日(うけわたしび)」というルールです。株式は証券会社を通じて市場(証券取引所)で購入することができますが、売買が成立した日(約定日:やくじょうび)に自分のものになるわけではありません。
一定期間後に株とお金のやり取りをするわけです。
これまでは、3営業日後(約定日から起算して4営業日目)に実際に受け渡しが行われていましたが、2019年7月16日に短縮化(T+2化)が図られ、2営業日後(約定日起算から3営業日目)に変更となっています。
株式は受け渡し日に実際にお金がやりとりされ、株主としての権利もあなたに移ることになるのです。この点を把握しておかないと思わぬところで失敗することもありますよ。
株式の約定日と受け渡し日の違い
(重要な追記)
2019年7月16日に株式等の決済期間短縮化(T+2化)が実施され受け渡し日が短縮されています。この記事内容は、T+2化に対応しておりますのでご安心ください。
最初に書いたように証券会社を通じて株式などの売買が成立した日が約定日となります。売買成立日ですね。一方の受け渡し日は、その株式が実際に購入者の名義となる日です。
約定日から数えて2営業日後(3営業日目)が受け渡し日となります。営業日ですので土日や祝日などは除外します。営業日は土日祝日を除くすべての日ですが、年末年始はそれとは別にお休み(12/31~1/3)があります。
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今日は12月1日(木)ですが、1日の日に購入した(約定日)株の受け渡し日は2営業日後(3営業日目)の12月5日(月)となります・
- 1日:1営業日目
- 2日:2営業日目
- 3日:土曜なのでノーカウント
- 4日:日曜なのでノーカウント
- 5日:;3営業日目・受け渡し日
2営業日後(3営業日目)がややこしい
株の配当金や株主優待関係で“受け渡し日”について調べると
- 2営業日後
- 3営業日目
という日付の違う二つの言葉が使われています。これはどちらも同じです。3営業日目=2営業日後。2営業日後というのは当日を含まずに翌日から起算するという意味、3営業日目といのは売買日(約定日)当日を含む表現です。日本語ややこしいですね。
約定日は株を実際に売買した日
約定日というのは株の売買が成立した日です。売り買いの注文を出してそれが証券取引所で成立した日ということになります。多くの方が買った、売ったと認識しているのはこの約定日になります。ただし、これはあくまでも証券取引所で売買が成立した日であって、本当の意味での売買が行われるのは“受渡日”となります。
立会時間終了後のPTS取引などは約定日も一営業日ずれる
通常の証券取引所で株を売買する場合、1月10日に売買された株は1月10日が約定日となります。
一方で、たとえばPTS取引(夜間取引)などで1月10日(水)の16時に株を売買したとします。この場合、約定日は1月10日(水)ではなく、翌営業日扱いの1月11日(木)が約定日となります。
株の実質的な権利や代金のやり取りは受渡日がベース
株の売買をするのは約定日ですが、実際に権利上、売り手と買い手のお金がやり取りされるのは約定日から起算して3営業日目(2業日後)の受渡日となります。
大きく影響するのは配当金や株主優待などの権利取得と、税金の計算、それと売った代金の出金です
配当金や株主優待の権利取得は“受渡日”がベースになる
株式投資をするときに配当金や株主優待などを受け取ることを考える方も多いことでしょう。そうした時に注意したいのが受け渡し日となります。
株主優待や配当金はそれぞれの会社が定めている権利確定日の時点で株主であることが条件となっています。権利確定日は会社によって違います。情報は証券会社の利用者向けページ内の株主優待情報や、Yahooファイナンスなどの情報サイト、あるいは企業のIR情報ページなどで確認できるはずです。
(Yahooファイナナンスの「吉野家ホールディングス(9861)」の株主優待情報のページ)
上記で赤線で囲っているように、吉野家HDの場合は2月末、8月末が権利確定日となっています。ここからカレンダーをみてみましょう。
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2月末なので2月28日の時点で株主であればいいわけです。そのためには28日が受け渡し日となっていればOKということになります。
28日を基準として3営業日前は2月24日(金)と逆算することができますね。つまり24日の時点で吉野家の株を購入すれば2月末の時点での株主となることができるわけです。ちなみに、今回は末日が平日ですが土日祝日の場合は「その前営業日」が最終日となります。
ちなみに多くの会社は月末としていますが、中には20日などの変則的な日付を権利確定日としているケースがあります。株主優待銘柄としては「ダイドードリンコ(2590)」などが代表的ですね(1月20日、7月20日)。
株の税金についても受渡日がベースになる
配当や優待だけでなく税金の計算も受渡日がベースです。個人投資家の場合、株の儲けは1月1日~12月31日が一つの計算期間になります。
実際に1年で売買されるのは大発会(通常1月4日)~大納会(通常12月30日)です。
ただし、税金の計算は違います。先ほどのカレンダーにもどりましょう。
12月30日の大納会が最後の営業日とすると、12月30日の2営業日前までに約定したものでないと年内約定となりません。下記のカレンダーであれば12月28日(水)ですね。12月29日(木)になると、受渡日は1月4日となるため、翌年の株の売買ということになります。
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特に、株の税金については1年分で損益通算できます(マイナスは申告すれば3年繰越可能)。なので、年末に株の損出しなどの取引をする方もいらっしゃると思いますが、この受渡日をベースとする点については要注意です。
株を売った代金を出金できるのは受渡日以降になる
ちなみに受け渡し日は株を買う時だけでなく、売る時も大切です。
株は売却すると約定日の時点で証券会社の中では現金として扱われます。株を売った代金で新しい株をすぐに購入することもできるので、即時現金化されているように感じるかもしれません。
ただし、株を売った代金を「出金する」という場合はそうもいきません。なぜなら実際に株の売買が決済されるのは受け渡し日になるからです。
最初の例だと12月1日(木)に株を売却した場合、受け渡し日は12月5日(水)です。そのため、売った株の代金を何らかの理由で出金したいという場合は受け渡し日にならないと現金化はできません。
何らかの理由で株を売ったお金を使いたいという場合は受け渡し日も計算しておかないと必要な時に出金できないというトラブルになる可能性もあります。
なぜ、株を売ってすぐにその売却代金で新しい株を買うことができるのか?
でも、なぜ株を売った代金ですぐに新しい株を買うことができるのでしょうか?
それは、株を売った代金が現金化されるのは当日を含む3営業日目ですが、今日買った株の代金を支払うのも3営業日目でいいからです。
ただし、売って買って売ることはできない(差金決済の禁止)
差金決済というのはある株を10万円で買ってそれを11万円で売った時に差額の1万円だけをやり取りすることです。これは現物株取引では禁止されています。
なので、A株を10万円で売って、再度A株を10万円で買った場合、同日中にA株を売ることはできません(翌日以降ならもちろんOK)。これをすると差金決済になるからです。ただし、A株を売った10万円以外に10万円以上の投資余力(預けている現金)があれば別です。その場合は差金決済になりません。
株の約定日と受渡日についてのまとめ
株の約定日や受渡日については株式投資初心者の方が特に戸惑いやすいルールの一つです。
特に、結局のところ受渡日はいつ?というところでこんがらがってしまいますね。受渡日は3営業日目(2営業日後)です。
以上、株式投資における約定日と受渡日、それと営業日についてまとめてみました。
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