レバレッジ投資というのは、少ない資金(自己資本)で大きな投資を行うことを意味します。100万円の資金で1000万円の投資をするといった投資で、株の信用取引、先物取引、FX(外国為替証拠金取引)、不動産融資を利用した不動産投資などが代表的です。
こうしたレバレッジ投資は投資の効率性を大きく高めるというプラスの魅力がある一方で、それと同じだけリスクも大きくするという負の側面もあります。
レバレッジ投資を過度に恐れて利用しないというのももったいないですが、リスクも考えずにレバレッジ投資をすると損失が拡大するというマイナスの面もあります。今回はそんなレバレッジ投資のメリット、デメリットをそれぞれわかりやすくまとめていきます。
レバレッジとは?
レバレッジとは梃子(てこ)を意味します。梃子の原理を覚えていらっしゃるでしょうか?梃子を使えば、小さな力で大きなものを動かすことができます。
投資用語としてのレバレッジは小さな資金で大きな資金を動かすことを言います。一般的には「お金を借りて投資をする」「差金決済による取引をする」という二つのパターンがあります。
お金を借りて投資をする
非常にわかりやすいケースです。
たとえば、100万円の自己資金があるとして金融機関から900万円を借りて1000万円の不動産物件に投資をするといったケースです。
投資と言っていますが、たとえば住宅ローンを組んで自宅を購入するというのも大きく言えば自己住宅に対するレバレッジ投資といえます。
他にも、株の信用取引は証券会社に証拠金を預け、それを担保として証券会社から資金(または株券)を借り入れてそれを使って投資をするというものです。
融資を受けて実物に投資をする投資方法となります。
差金決済による取引をする
少しわかりにくいかもしれません。差金決済というのはそのもの自体を売買するのではなく、金額差だけをやり取りするという取引です。先物取引やFX(外国為替証拠金取引)などが代表的です。
たとえば、FX(外国為替証拠金取引)の場合、実際にドルやユーロなどの外貨を売買するのではなく、買った時と売った時の差額だけをやり取りします。
たとえば、今日1ドル(米ドル)を1ドル110円で1万ドル買ったとして、翌日1ドル111円で1万ドル売ったとします。この時は取引を終了させた段階でその差額(111円-110円)×1万ドル=1万円だけをやり取するわけです。この場合だと1万円を受け取ることになりますね。
その取引を保証するために「証拠金」を預け入れる必要があります。ただ、実際のものに投資をするわけではないのでお金を調達(借り入れ)する必要がない(金利の支払いが不要)という点が特徴的です。
一方で実物を買うわけではないので、それを引き取ることはできません。たとえば、前述のFXの例では1ドルを110円で1万ドル買っていますが、1万ドルをドルとして受け取ることはできないわけですね。
ただ、現引きといって代金相当を入金すれば実物を引き出すことも可能です。たとえば、FXの例だと「海外旅行に行くための外貨両替はFXで為替手数料節約」でも紹介したように外貨として出金することも可能としているところもあります。
レバレッジ投資の特徴と注意点
レバレッジを利用した投資の特徴とその注意点をまとめていきます。投資の効率性を考えるうえで欠かせないレバレッジ投資ですが、使い方を誤ると大きな損失を生んでしまうリスクもあります。
投資の効率性を高めることができるが、リスクも増大する
レバレッジ投資の一番のポイントはこの投資の効率性とリスク増大の問題です。
メリット、デメリットを考えるとそれが表裏一体となっていることがわかります。一方向から見ればメリットであるが、それ自身がデメリットでもあるわけです。
まず、プラスから見れば投資効率が高まります。
100万円の自己資金で5%のリターンがあげられる場合、100万円だと年5万円の収益となります。一方でレバレッジ投資で自己資金100万円で1000万円の投資をした場合、5%の収益だと年50万円となります。
100万円の自己資金で50万円の利益なら利回りはなんと50%になります。この効率性アップがレバレッジ投資の大きなメリットです。
※ちなみに、総投資額÷自己資金=レバレッジ倍率と呼びます。上記のケースだと総額1000万円に対して自己資金は100万円なので1000万円÷100万円=レバレッジ10倍といったように表現します。
損失も10倍となることを忘れてはいけない
その一方で、資産運用は必ずしも確定利回りで運用できるわけではありません。株や為替は変動するものですので、プラス方向ならいいですが、マイナス方向に動いた場合には損失が発生し、損失も増幅されます。
上記のレバレッジ10倍のケースでは5%下がれば投資額の半分(50%)が失われ、10%下がれば投資額の全額(100%)を失うことになります。
資金借り入れ系のレバレッジは金利負担がある
レバレッジ投資において注意したいのは、金利負担です。
特に資金を借り入れて行う投資の場合は金利負担に注意が必要です。
お金を借りて投資をするわけなので、その分だけ金利の支払いが必要になります。
100万円の投資で900万円を借りれて1000万円の資金で投資をしたとします。このとき、借り入れの900万円に対しては金利(利息)が発生することになります。
仮に運用利回りが5%で金利が3%だとしましょう。この場合の収益額は以下のとおりです。
1000万円×5%=50万円(収益)
900万円×3%=27万円(利息負担)
50万円-27万円=23万円(最終利益)
この場合、100万円の自己資金で投資をしているので自己資金に対する利回りは23%にまで低下します。
利回りが借入金利以下になれば収支が逆回転
この金利リスクが特に表面化しやすいのが不動産投資です。
不動産投資の融資で受ける金利は変動金利であることが多いです。2017年4月現在は空前の低金利となっていますが、将来金利が上昇すれば、借入金利も高くなります。
仮に金利が上昇して6%になったとしましょう。利回りと逆転しています。
1000万円×5%=50万円(収益)
900万円×6%=54万円(利息負担)
50万円-54万円=-4万円(最終損失)
この場合、投資自体では5%のリターンを得ているにも関わらず、利息負担が大きくなることで最終的には損失に転落しています。
株の信用取引などでも3%程度の金利負担が発生します。こちらは大きく変動することはありませんが、決して馬鹿にはできません。信用取引は短期がいいというのはこうした理由があります。
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FXなどの差金決済系の投資は金利負担はない
一方でFX(外国為替証拠金取引)のような差金決済系のレバレッジ取引では借り入れは発生していないので金利負担はありません。
ただし、FXの場合は売買する通貨同士での金利差をやり取りするスワップ金利というものがあります。こちらは金利差のやり取りになるので高金利通貨を買った場合は受け取れ、高金利通貨を売った場合は支払う必要があります。
レバレッジ投資は諸刃の剣であることを理解して使う
レバレッジ投資はこのようにメリットとデメリットの両方を備えた諸刃の剣であることを重々と理解したうえで利用するようにしましょう。
以上、レバレッジ投資をする前に読んでおきたいレバレッジの魅力とリスクについて紹介しました。
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