株やFXなど投資に失敗をして借金を背負うことってあるの?現物とレバレッジの違い
株価が上昇していることで、新たに株式投資や投資信託を始めたいと考える方が増えているようです。
そうした方の中でときどき、「投資をして失敗をしたら、多額の借金を背負うこともあるんでしょう?」と不安に感じている方がいらっしゃいます。
もちろん、借金が発生するような投資手法もないわけではありませんが、一般的な普通の投資で失敗したからといって、借金や負債を背負うということはまずありません。
今回はその誤解を解き、借金にならない投資と借金になる投資の違いについて具体的に解説していきます。
株や投資信託の普通の取引の場合、最大損失は投資額まで
まず、通常の株式投資(現物株取引)や投資信託への投資は、どんなに損をしたとしても、失う最大額は投資した元本までです。
たとえば株式投資をするとき、100万円を投資したとして、この100万円以上に損をすることはありません。
なぜなら株価はゼロ円以下(マイナス)になることはないからです。万が一、投資先の会社が多額の借金を残して倒産したとしても、株主の責任は「自分が出資した範囲(投資資金)」に限定されます(これを「株主の有限責任」と呼びます)。したがって、投資資金がゼロになることはあっても、会社に代わって借金を背負うことはありません。
ですから、投資したお金が無くなることはあっても、投資して失敗しても借金になる(投資資金がマイナスになる)ことはありません。
新NISAでの投資も現物取引なので借金にはならない
2024年からスタートした新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)を活用して投資を始める方も多いですが、「NISAで損をしたら借金になるのでは?」という心配は無用です。新NISAの対象となっている商品は現物の株式や投資信託などに限られており、いくら相場が下落しても借金になることは絶対にありませんので安心して利用できます。
為替も、暗号資産(仮想通貨)も「現物」なら借金にならない
ちなみに、株や投資信託に限らず、為替の取引も同様です。
たとえば外貨預金で米ドルやユーロを買ったとして、ハイパーインフレなどで価値が大きく目減りしたとしてもゼロ以下になることはありません。価値が限りなくゼロに近づくことはあっても、マイナスとなって借金が発生することはありません。
話題のビットコインなどの暗号資産(旧称:仮想通貨)にしても同じです。現物を保有しているだけであれば、価値が暴落してゼロになるリスクはあっても、マイナスにはなりません。
それではなぜ、「株取引で数百万円の借金ができた」「FXのユーロ急落で借金」「先物取引で家も家族も失った」といった、笑えないような投資の失敗話(借金を背負った話)があるのでしょうか。
投資で借金を背負う理由はレバレッジ投資にある
投資に失敗をして借金を背負う理由は、「レバレッジ投資(証拠金取引)」を行うからです。レバレッジとは梃子(てこ)という意味になり、少ない自己資金を担保にして、それ以上の大きな金額を動かす投資手法のことを「レバレッジ投資(あるいはレバレッジ取引)」といいます。
たとえば、自己資金が100万円あるとして、それを証拠金として金融機関に預け、実際には1,000万円分の取引をするようなケースです。この場合、レバレッジ10倍となります。
レバレッジをかけた取引は、儲けも大きくなりますが、当然損も大きくなります。レバレッジ10倍なら、値動きによる損益も通常(レバレッジなし)の10倍大きくなります。
このケースで仮に相場がマイナス10%の変動をしたら、損失は100万円(投資元本と同額)となり、元本をすべて失うことになります。さらにマイナス20%の変動をしてしまったら、投資額100万円を失ったうえに、さらに100万円分のマイナスが発生し、これが借金として残ってしまうことになります。
こうしたレバレッジ投資(レバレッジ取引)が、投資や相場で大きな借金を作ってしまう最大の理由です。
逆をいえば、レバレッジ投資をしなければ、投資でいくら損をしたとしても借金を背負うということはないわけです。
代表的なレバレッジ投資とその特徴
投資においてレバレッジを利用する運用の代表例としては、下記のようなものがあります。
| 信用取引 | 証券会社から投資資金や株券を借りて取引をします。おおよそ証券会社に預けている資金の約3倍程度のレバレッジ投資が可能です。 |
|---|---|
| FX(外国為替証拠金取引) | 外貨を直接売買するのではなく、為替レートの差を取引する差金決済です。国内業者の場合、レバレッジは最大25倍に規制されています。一昔前は規制がなく数百倍の取引も可能だったため、大損する人が多発しました。 |
| CFD(差金決済取引) | 株価指数(日経平均など)や金、原油、個別株などをレバレッジをかけて取引できます。FXと同様に差金決済であり、借金リスクを伴います。 |
| 暗号資産のレバレッジ取引 | ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)も、国内では最大2倍のレバレッジをかけて証拠金取引が可能です。海外業者では数百倍の取引ができるケースもあり、多額の借金を負う事例が増えています。 |
| 先物取引 | 日経平均株価などの指数や、貴金属・穀物などの売買ができます。最終的にモノをやり取りするのではなく「差金」のやり取りをするため、高いレバレッジをかけることができます。 |
| 不動産投資 | アパートやマンションなどを購入するときに銀行などから不動産ローンを借りるため、実質的なレバレッジ取引となっています。そもそも借金を背負う前提の投資です。 |
| オプション取引 | 買う権利や売る権利を売買します。「権利を買う」場合は最大損失がオプション料の範囲で済みますが、「権利を売る」取引の場合には理論上無制限の損失が発生するリスクがあります。相場がクラッシュする際などに致命的な影響が出ます。 |
たとえば、信用取引で株を買う場合、100万円を預ければ約300万円までの投資ができます。目一杯投資をして株価が半分になればマイナス150万円となりますので、元本である100万円をすべて失った上で、さらに50万円が負債(借金)として残ります。この借金分は証券会社に「返済する義務」が生じるため、投資の失敗で借金が残ることになります。
追証(追加証拠金)と強制ロスカットの仕組み
多くのレバレッジ投資においては、投資家の損失が一定水準を超えると証券会社が強制的に決済を行い、それ以上の損失を防ぐ「強制ロスカット」というシステムがあります。
しかし、リーマンショックなどのように価格が急変し、売りたくても売れない(値がつかない)状態になった場合には、強制ロスカットが間に合わないことがあります。
損失が拡大して預け入れた証拠金が不足すると、証券会社から「追証(おいしょう:追加証拠金)」として追加の入金を求められます。これが入金できず、証拠金以上の損失が確定した場合に、証券会社に対する「借金」として残ってしまうのです。
投資詐欺や無登録業者による借金リスクにも注意
レバレッジ取引の失敗以外で借金を背負うケースとして、近年増えているのが投資詐欺(ポンジスキームなど)や無登録業者を通じたトラブルです。
SNSなどで「元本保証」「毎月必ず〇%儲かる」といった甘い言葉に誘われ、消費者金融で借金をしてまで資金を投じてしまうケースが後を絶ちません。結果的に業者が消え、手元には多額の借金だけが残ります。
金融庁の無登録業者リストを確認するなど、うまい話には裏があると警戒し、正規の金融機関以外には絶対にお金を振り込まないようにしましょう。
投資で借金をしないで済むために
これら投資における「レバレッジ」はあくまでも仕組みであり、自分で利用するかどうかをコントロールすることが可能です。
信用取引、FX、先物取引などが必ずしもすべてハイリスクというわけではありません。レバレッジを低く抑えるよう徹底すれば、大損して借金を背負うリスクは大きく減らすことができます。
また、そもそも借金リスクをゼロにしたいのであれば、株式投資や投資信託は現物のみを購入し、為替もレバレッジ1倍の外貨預金にとどめるといったルールを守れば、借金を背負うことはありません。
レバレッジの意味がよくわからないという方は、まず新NISAなどを活用して現物の投資信託や株式に投資を行い、投資の基本を学び、仕組みを確実に理解する方が先決です。
投資の鉄則は「良く分からないものには投資をしない」というものです。正しい知識を身につけ、リスクを理解してから投資をするようにしましょう。
まとめ:投資の失敗で借金になる理由
- 現物株や投資信託(新NISAなど)は、価値がゼロになることはあっても借金にはならない。
- 投資で借金になるのは、自己資金以上の取引を行う「レバレッジ投資(信用取引、FX、CFDなど)」を利用した時。
- 相場急変時に「強制ロスカット」が間に合わないと、「追証」が発生し借金となる。
- 「必ず儲かる」といった投資詐欺に騙されて借金をするケースにも要注意。
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