日本ではここのところ長期にわたり銀行の定期預金はほとんど金利が付かない状態が続いています。そうした中で攻めの運用ではなく、守りの運用として注目されているのが貴金属に対する投資です。
金、プラチナ、銀などの貴金属はそれ自身が新たな価値を生み出すことはありませんが、その希少性や美しさ、近年では工業的な需要もあり高い人気があります。
「有事の金」という言葉もあるように金は安定資産とされています。今回はそんな貴金属の中でも代表的な金(Gold)、プラチナ(Platinum)、銀(Silver)の三つについてそれぞれの特徴や違いを比較していきます。
金とプラチナと銀
皆さんが持っているイメージはどのようなものでしょうか?まずは金、プラチナ(白金)、銀の資産性や産出量、用途などについて簡単に比較していきます。
金 | 白金 | 銀 | |
---|---|---|---|
産出量 | 少ない | 極めて少ない | 多い |
用途 | 大部分の用途が宝飾品などに使われています。次いで工業製品の加工や金地金や金貨などにも用いられます。 | もっとも多いのが自動車の「触媒」としての用途で、工業用ととしても多用される。宝飾品やプラチナ地金などとても利用される | アクセサリーや銀貨などのほか、工業製品として幅広く利用されている。抗菌性から殺菌剤としても利用されている。 |
主な生産国 | 中国、オーストラリア、ロシア、米国、カナダ、ペルー、南アフリカなど | 南アフリカだけで70%以上の生産量、次いでロシア。 | メキシコ、中国、ペルーなど世界中で産出される。 |
ざっくりと説明すると上記のようになります。
「プラチナ(白金)>金」というイメージを持たれている方も多いでしょう。
実際に過去の価格チャートを見ても、プラチナ価格>金価格という時期は長く、一時は倍近い価格となっている時期もありました。
ただ、2011年くらいからはプラチナ価格と金価格の間で逆転現象が起こることもしばしばあり、2015年以降は金価格>プラチナ価格という状態が続いています。
金投資の特徴。安定資産としての金の価値
金(Gold)は歴史的に見ても世界で富の象徴として扱われてきました。
需要の80%近くが宝飾用としての需要というのはそれだけ金を使った宝飾品に多くの人が魅了されているということを意味しています。
「有事の金」というのはそれだけ世界経済や世界情勢が不安な時でも普遍的な価値を自身が持つ故、買われるということを意味しているのでしょう。
こうした安定性の高さが金投資の大きなメリットといえます。
金価格(金相場)の特徴
- 株価と反対の動きをすることが多い
- 信用不安、インフレリスクに強い
プラチナ投資の特徴。超希少、用途は工業用が多い
続いてはプラチナ(白金)です。こちらは金と比べても非常にレアリティが高いです。年間の産出量(リサイクル含む)でも、プラチナは金の5%ほどの生産量しかありません。
そのため、レア度でいえば貴金属の中でもぴか一です。
日本では宝飾品としてのイメージもあるかもしれませんが、世界的に見ればプラチナは宝飾品としてよりも工業用としてのニーズが大きいです。自動車の排ガスに対する触媒としては高い需要があります。
レア度+工業需要が高い価値を生み出しているわけです。一方で工業需要が大きいということは景気の影響も受けるということになります。自動車生産が景気悪化などで少なくなれば、プラチナに対する実需の買いは減少することになります。
そうした意味で、レア度は高いけど、安定資産としてのニーズは金に劣るというのがプラチナの特徴といえそうです。
プラチナ価格(プラチナ相場)の特徴
- 株価と同じような動きをする傾向が多い
- 景気動向に左右される影響度が大きい
- 値動きの幅が大きい
銀投資の特徴。資産・工業用とでもニーズが高い
銀(シルバー)については貴金属の一種です。シルバーアクセサリーや銀食器のように宝飾にも使われますし、銀貨として過去は貨幣としても多用されてきました。
近年では工業用にも利用されており、用途割合でいえば、工業用としての利用が約6割とされています。
ただ金やプラチナと比較して生産量が非常に豊富であるうえ、他の金属を採鉱する際に副産物としても生産されることから、過去と比べると希少性は下がっています。
金とセットで考えられることが多いため、価格連動としては金に近い傾向がありますが、前述のとおり需要の6割は工業用ということもあり、景気動向の影響も大きく受けやすいです。
銀価格(銀相場)の特徴
- 金価格と連動しやすい傾向がある
- 景気動向に左右される影響度が大きい
- 値動きの幅が大きい
金・プラチナ・銀ならどれに投資をするのがおすすめ?
投資をするスタンスによって大きく変わると思います。
もしも、貴金属への投資を、万が一のために自分の財産を保全するための手段として考えているのであれば、多くの人が価値を認めている金(Gold)への投資が最も安定性が高いといえそうです。
実際に投資家からの人気も高いため、金投資については様々な投資手段、積立投資等の運用手段が用意されています。
積立投資やインゴッド(地金)や金貨、あるいはETF(上場投資信託)などの形で金を買うこともできます。
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一方で、プラチナについては安定性は金よりもやや劣ります。ただし、地球上に存在するプラチナの量は金よりもはるかに少ない希少性があります。短期的には景気動向の影響もうけるでしょうが、そうした希少性に欠けてインゴッド(地金)などを買っておくというのも一つの資産保全になるかもしれません。
ちなみに、プラチナの自動車に触媒利用については「電気自動車」が普及すると触媒が不要になるため需要が大きく下がるのでは?といわれています。一方で「水素自動車」の場合は現在よりもプラチナの触媒需要が増大するといわれています。
最後の銀投資についてはプラチナと似た工業需要が大きいため価格変動が大きいという点は同じです。
ただし、価格は金やプラチナと比べて低いです。そのため、価格に対して重要が重すぎる銀貨(コイン)やインゴッド(地金)として保有するメリットはそこまで大きくないです(コレクション用となら別でしょうが)。
以上、金投資・プラチナ投資・銀投資、貴金属投資のそれぞれの特徴について紹介してみました。
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