住宅ローンを組んで家を買う。当たり前のことだと思っているかもしれません。ところが住宅ローンは多額の借金を長期で返済していくローンです。そのため返済中に何らかの理由でお金が返せなくなる人は一定割合で存在しています。
こうした統計データはフラット35を提供している住宅金融支援機構がデータを公開しています。今回はそうした情報をもとに住宅ローンを借りる前に知っておきたい住宅ローンで破たんする人、返済が滞ってしまう人の統計的データを分析していきます。
住宅ローンの返済で破綻や遅延を起こす割合
住宅ローンの返済におけるトラブルについて住宅金融支援機構は「貸出条件緩和」「3か月以上遅滞」「遅滞」「破綻」の4つに区分して統計しています。下に行くほど事態はより深刻といえますね。
貸出条件緩和
金利の減免や返済額の猶予などを行いながらも返済は続けている先です。なお、貸出条件緩和については阪神淡路大震災や東日本大震災などの大規模災害によってローン返済が困難になった場合でも対応できるように貸出条件の緩和を行っています。
さらに、勤務先の倒産などによるローン返済困難者についても猶予等を行っています。
3か月以上遅滞
弁済期限(返済日)を3か月以上の経過して延滞している貸付先を指します。3か月の遅延というのは、クレジットカードやカードローンなどであれば個人信用情報機関に履歴が記載される恐れがあるレベルです。
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かなり厳しいレベルといえそうです。
遅滞
資産自己査定の結果で実質的破綻先、破たん懸念先に区分された貸付先となります。住宅金融支援機構の場合、6か月が基準となります。
破綻先
破綻資産として区分された貸付先です。
返済トラブルが生じている統計資料
住宅金融支援機構では「リスク管理債権」についての統計資料を毎年公表しています。そこから、同社がリスク管理している資産(トラブルが生じている貸出)を知ることができます。
平成22年度 | 平成23年度 | 平成24年度 | 平成25年度 | 平成26年度 | |
破綻先 | 1961 | 1296 | 1113 | 966 | 842 |
延滞債権 | 8108 | 6330 | 5801 | 4595 | 3921 |
3か月以上延滞 | 1634 | 1590 | 1469 | 1289 | 1111 |
貸出条件緩和 | 15428 | 14259 | 12654 | 10822 | 8777 |
元金 | 319959 | 301071 | 281747 | 265042 | 249688 |
比率 | 8.48% | 7.80% | 7.47% | 6.67% | 5.87% |
条件緩和除比率 | 3.65% | 3.06% | 2.98% | 2.58% | 2.35% |
破綻先比率 | 0.61% | 0.43% | 0.40% | 0.36% | 0.33% |
※単位は億円
こうしたリスク資産として分類されている比率は平成22年度の8.48%と比較して平成26年度は5.87%と大きく下落していますね。その一方で5.87%ということはローン利用者の20人に1人は住宅ローンの返済に大きなトラブルを抱えていることになります。
ただ、「条件緩和資産」として挙げられている返済先(住宅ローン契約者)は毎月の返済額の軽減などで返済が続いていると考えられ、お手上げ状態になっているわけではありません。
上記を除外した「3か月以上延滞」「延滞」「破たん先」に絞れば返済がかなり厳しくなっているt歩という人は2~4%程度ということになります。
完全に破たんしていると判断されているのは0.3~06%ということになりますね。
統計はあくまでも1年単位
0.3%とか0.6%なら100人に1人もいないわけだから自分は大丈夫!と思うかもしれません。
その一方でこちらの統計は1年単位の確率です。住宅ローンの返済は30年、35年というように超長期での返済プランを組むのが一般的といえますので、総期間を考えるとリスクも過小評価はできないと思います。
こうしたリスクはクジではないので、こうした形で計算するのは適切ではないですが、0.6%の確率が35年(35回の試行回数)で1回以上当たる確率は18.99%になります。決して小さくない数字のように思えますね。
日本人はギリギリまで頑張る傾向がある
こちらは統計には表れてきませんが、日本人は性格的に借金(借りたお金)は何としてでも返さなければならないと考える人が多いです。
そのため、いろいろなものを犠牲にしたうえで、何とかギリギリのところで住宅ローンの返済を続けているという人も少なくないはずです。こうした情報は統計としては表れてこないので留意しておく必要があります。
本稿とは別の議論になるかもしれませんが、住宅ローンのような大きなローンは危険信号が本格的に点灯する前に対策をすることで打てる対策はあります。一方で、限界ギリギリまで頑張ってしまって、もうどうにもならない状況にまでなると打てる対策は極端に少なくなってしまいます。
返済を頑張ることは大切なことですが、危険だなと思ったときから行動をすることはとても重要です。住宅ローンに関しては「住宅ローンの返済が困難になったときの5つの対処法」でも詳しく紹介しています。
以上、住宅ローンの返済でトラブルが生じるリスクについて統計資料から検証してみました。
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