生命保険、とくに学資保険や低解約返戻金型終身保険といったような貯蓄型の保険で定期預金のような預金商品と比較して利回り等の優位性をPRするケースがあります。
実際に利回りなどを比較してみると、確かに保険の方が優位性がありそう。という結果になるものも多く見られます。
お金を貯めるにあたって貯蓄型の保険と定期預金のどちらが優れているのでしょうか?ここでは貯蓄型保険と定期預金について、その違いを徹底的に比較していきます。
貯蓄型保険と定期預金を比較
まず、ここでは貯蓄型保険の代表として「学資保険」をベースとして「定期預金」との商品性の違いを比較していきたいと思います。
なお表面上の利率についてはタイミングによって異なりますので、同時期のソニー生命の学資保険( 学資金準備スクエア学資保険)と住信SBIネット銀行の3年定期預金の金利水準で計算しております。
学資保険 | 定期預金 | |
---|---|---|
表面上の利率 | 年率換算0.9% | 0.3% |
途中解約時の扱い | 解約返戻金を受け取れる、満期前の解約は元本割れの恐れがある | いつでも解約が可能。元本割れの可能性はない |
金融機関倒産時 | 90%までは保証される | 1000万円+その利息までは全額保護 |
契約者の死亡時 | 以降の保険料の支払いが免除 | 特になし |
税金 | 満期時にこれまで支払った保険料を超えた部分に関してはは一時所得 | 利息分に対して20.315%(復興特別税0.315%) |
確かに、利回りの面でみると学資保険(貯蓄型保険)で運用する方が利率が高くなります。貯蓄するのであれば保険で貯蓄という選択肢の方がメリットが大きそうです。
異なるリスクの商品を同列に比較してはいけない
これにつきます。「金融商品を比較する3つの比較ポイント」で説明したとおり金融商品(投資商品)は「収益性」「安全性」「流動性」の三つの特徴があります。
学資保険の場合、確かに収益性は定期預金よりも高いです。一方で安全性や流動性では預金に劣ります。
安全性で劣る部分
保険会社が倒産した場合、生命保険契約者保護機構による保護はありますが、90%までとなっています。貯蓄型保険の場合、積立金が1割も減失するリスクがあります。一方で定期預金は銀行倒産時でも1000万円以下なら全額保護です。
流動性で劣る部分
保険で貯蓄で大きなリスク部分はこの流動性リスクです。学資保険の三大リスクで詳しく紹介していますが、途中解約時には元本を大きく下回るリスクがあります。
一方で定期預金はいつ解約したとしても元本割れとなることはありません。たしかに満期まで保有すれば、収益性は預金よりも高いでしょうが、それまでの間「解約できない」という制約が入るわけです。
パンフレットで貯蓄型保険の予定利率を見るときの注意点
今回の比較表では、実際の満期保険金を年率換算にしていますが、保険会社のパンフレットなどには「予定利率」という利率が表記されていることが多いです。
たとえば、今回比較した学資保険の予定利率は1.5%となっていました。ただ、実際の満期保険金を年率換算したら0.9%です。
この差は「保険商品の予定利率は単純に運用利回りと比較してはいけない」でも説明している通り、予定利率で支払った保険料の全額が運用されていくわけではなく、一部は保障(保険)のために使われるためです。
と高い水準に見えますが、予定利率で保険料として払った分が運用されるわけではありません。
貯蓄型保険でお金を貯めるのはダメなのか?
そいうわけではありません。安全性については別として貯蓄型保険(学資保険)の大きな問題は中途解約リスクなわけです。
言い換えると、中途解約をしないという前提であれば定期預金よりも有利に運用できるというわけです。
流動性を犠牲にすることで定期預金よりも有利に運用できるというわけですね。
解約せずに確実に積立できる範囲であれば貯蓄型保険は有効に活用できるわけです。
一方で、万が一の時にすぐに引き出すことができるお金も必要です。そうした万が一に対する備えは「現金」や「預金」である必要があります。
生活防衛資金とも呼ばれるように、生活費の半年分~2年分程度は現預金で確保しておくことで家計は安定します。
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こう考えると、低リスク運用をするのであれば、現預金がベースにあり、その上乗せとして貯蓄型保険を利用するのであれば、良いという事になります。
このように、貯蓄型保険と定期預金は単純に比較するのではなく、異なる性質を持つ金融商品として使い分けが重要になるわけです。
流動性リスクを負えるなら貯蓄型保険以外の金融商品もある
逆に、生命保険のような「流動性リスク」を負うことができるというのであれば、安定性は保った上で保険と同様にまたはそれ以上有利に運用できる可能性がある金融商品もあります。。
仕組預金(解約不可タイプ)
途中解約ができないタイプの「仕組預金」は流動性リスクを追う形の新型預金です。
楽天エクステ預金フラット(仕組預金)は最長10年間解約できない仕組預金ですが、この預金の金利は0.8%です。この水準で運用できるのであれば生命保険(学資保険、低解約返戻金型終身保険など)の運用と比較しても大差ありません。
ただし、こちらの預金は一定期間(この預金なら10年)は絶対に解約できない預金商品なので注意してください。中途解約をしようとすると貯蓄型保険と同様に元本割れする仕組みになっています。
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長期の国債(個人向け国債・新窓販国債)など
国債も同様です。国債は満期まで解約することはできませんが、運用による収益性は定期預金の金利よりも高いです。
新窓販国債は途中解約ができないタイプの国債、個人向け国債は発行後1年以降であれば解約が可能な国債となっています。
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※直近の個人向け国債、新窓販国債はマイナス金利政策によって大幅に利率がダウンしております。
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