株主優待制度を設ける上場企業(証券取引所で取引できる会社)の数は年々増加しています。2025年3月末時点での調査(野村インベスター・リレーションズ調べ)によると、株主優待を実施している会社は1,580社と過去最高を更新しているそうです。そんな株主優待を目当て、目的に株式投資を始めたいという方も少なくないようです。

今回はそんな株式投資は初めてだけど、株主優待を目的に投資をしたいという方向けに、株主優待の為の株の買い方の基本と、どのような証券会社に口座を開設するべきなのかを「株主優待投資を最もお得にする」ということに絞って比較していきたいと思います。

株主優待をもらうための株の買い方と優待利回りの基本

まず、株主優待をもらうためには各銘柄ごとに決められている「権利確定日」という日の時点で株主でいる必要があります。

多くの会社は3月末、9月末といったように特定の月の末日を権利確定日としてます(一部、20日などを権利確定日にしている会社もあります)。

その日の時点で株主である必要があるわけですが、そのためには「権利付き最終日」と呼ばれる日までに株を買っておく必要があります。株式の売買は「受け渡し日」といって即日行われるわけではないからです。

要するに「権利付き最終日」までに株を買って、その翌日(権利落ち日といいます)以降なら株を売却しても株主優待を受け取ることができるわけです。

また、優待銘柄を選ぶ際は「優待利回り」も意識しましょう。優待利回りは「優待の換算価値 ÷ 投資金額 × 100」で計算できます。これに配当利回りを加えた「配当込み総合利回り」を基準に銘柄を比較することで、よりお得な銘柄を見つけやすくなります。

なお、株主優待の為に株を売買するときの注意点について詳しくは「株主優待目的で投資をする上でおさえておきたい株主優待の基本」でも説明しているのでこちらもご覧ください。

株主優待を目的に証券会社を比較するポイント

国内株の売買手数料が無料化・低額化した現在、株主優待目的の証券会社選びは「手数料」よりも、「資金移動のしやすさ」「家族口座の管理」「優待クロス(つなぎ売り)の環境」などで選ぶ段階になっています。ポイントは大きく以下の5つです。

1. 国内株手数料の無料条件と新NISA対応

現在は多くの主要ネット証券で国内株式の取引手数料が無料化されていますが、適用条件は異なります。また、2024年から始まった新NISA制度の成長投資枠を活用すれば、株主優待だけでなく売却益や配当金も非課税になります。NISA口座での取引環境も証券会社選びの重要な要素です。

2. 資金移動のしやすさと家族口座の管理

株主優待は権利月ごとに資金を移動させることが多いため、銀行口座と証券口座間の自動入出金(スイープ機能)が充実していると便利です。また、100株ごとに優待がもらえる銘柄も多いため、家族名義や未成年口座を活用して優待を分散取得する方も増えています。親権者の口座から未成年口座へスムーズにアクセス・資金移動できる証券会社を選ぶと管理の手間が省けます。

3. 株主優待関連の情報が充実していること

株主優待に関する情報は鮮度が大切です。優待内容は会社の「取締役会」で変更が可能なため、雑誌を見て株を買った直後に優待が廃止されていた、という事態も起こり得ます(※配当金は原則として株主総会で決議されますが、定款の定めにより取締役会で決定できる企業も多く存在します)。

さらに近年は、1年以上・3年以上といった「継続保有」を条件に優待内容をグレードアップする企業が急増しています。このような長期保有条件や最新の優待情報を自社のツールで正確に検索・確認できる証券会社を選ぶことが大切です。

4. 貸株制度によるリターン向上と自動取得サービス

貸株制度とは、自分が保有する株式を証券会社に一時的にレンタルすることで、貸株料(金利)を受け取ることができるサービスです。長期投資が前提の優待投資では、第3のインカムゲインとしてトータルリターンを向上させてくれます。

ただし、貸株中は株の名義が証券会社に移るため、そのままでは株主優待や配当金を受け取れないリスクがあります。そのため、権利確定日前に自動で貸株を解除してくれる「株主優待・配当金自動取得サービス」を提供している証券会社(SBI証券など)を選ぶことが必須です。現在では主要ネット証券のほとんどが貸株サービスを提供しています。詳しくは「貸株サービス(貸し株)の魅力とそのリスク」をご覧ください。

5. 一般信用取引で空売りができること(上級者向け)

信用取引の仕組みを理解している方向けの「優待クロス(つなぎ売り)」という手法です。現物買いと信用売りを同時に行い、株価変動リスクを抑えながら株主優待だけを取得します。

詳しいやり方は「株主優待のタダ取り(クロス取引・つなぎ売り)して無料で株主優待だけを受け取る方法」をご覧ください。優待クロスを行う場合、逆日歩(追加の手数料)のリスクを避けるために「一般信用取引」の売り在庫が豊富にある証券会社を選ぶことが極めて重要になります。

株主優待投資にお勧めの証券会社と組み合わせ

優待投資を普通に保有するだけなら1社で十分ですが、優待クロスまで本格的に行う場合は一般信用売りの在庫確保のために複数口座を組み合わせるのが現実的です。目的別のおすすめは以下のようになります。

目的 おすすめ証券会社 理由
優待株を普通に買って長期保有 SBI証券 / 楽天証券 / GMOクリック証券 国内株手数料が無料または実質無料水準。取扱銘柄・情報量も十分。
家族・子ども名義でも優待を取りたい 楽天証券 / SBI証券 / 松井証券 未成年口座に対応。親権者口座から申し込みや資金管理がしやすい。
資金移動を簡単にしたい 楽天証券 / SBI証券 / 松井証券 銀行・証券間の自動入出金(スイープ機能)が便利。
優待クロス初心者 楽天証券 / 松井証券 楽天は「らくらく優待取引」、松井は「優待クロス注文」があり操作が分かりやすい。
優待クロス上級者 SBI証券 / 楽天証券 / 松井証券 / 三菱UFJ eスマート証券 / GMOクリック証券 / SMBC日興証券 一般信用売り在庫の確保が重要になるため、複数口座の使い分けが有利。

以下、おすすめの証券会社を詳しく紹介します。

SBI証券(総合力で最有力)

国内株式は、電子交付などの条件を満たすと現物・信用・単元未満株(S株)の売買手数料が0円になります。少額で端株を保有し、長期保有条件を満たす可能性を探るような運用もしやすいです。資金移動では、住信SBIネット銀行との連携(SBIハイブリッド預金)が便利です。株主優待検索や、貸株中の優待自動取得サービスも完備しており、メイン口座として非常に強力です。

楽天証券(資金移動と家族管理に強い)

「ゼロコース」を選択することで、国内株式の現物・信用・かぶミニの取引手数料が0円になります。楽天銀行とのマネーブリッジによる自動入出金が非常に便利で、資金移動の手間を省けます。未成年口座の開設や親権者からの資金移動も管理しやすく、家族での優待投資に向いています。

「らくらく優待取引」機能があるため優待クロスの初心者にもおすすめですが、注意点もあります。制度信用取引を利用すると「逆日歩リスク」が発生し、優待価値以上のコストがかかる恐れがあるため、基本的には一般信用取引での運用を強く推奨します。逆日歩の恐ろしさと完全回避策については、以下の記事で詳細に解説しています。

株主優待クロス取引の「逆日歩」とは?高額になる理由・過去の恐ろしい事例と完全回避する対策逆日歩(ぎゃくひぶ)というのは、「信用買い残高<信用売り(空売り)残高」となることで、証券金融会社が不足している空売りのための株を調達す...

松井証券(優待クロスの操作性が抜群)

26歳以上は1日の約定代金50万円まで無料、25歳以下は無料です。松井証券の最大の強みは「優待クロス注文」機能で、現物買いと信用売りをまとめて発注でき、貸株料や在庫状況が一目で分かるためミスなく取引しやすい点です。少額優待投資やクロス取引を中心に据える方に向いています。

GMOクリック証券(手数料重視のクロス口座)

国内株式の現物・信用取引手数料が約定代金にかかわらず0円(電話注文を除く)と、条件がシンプルで強力です。一般信用売りの短期銘柄を使ったつなぎ売りにも対応しており、手数料を極力抑えつつ、優待クロス用の在庫確保先(サブ口座)として持っておく価値が高い証券会社です。

三菱UFJ eスマート証券(優待クロスのサブ口座候補)

旧auカブコム証券から2025年に社名変更しました。
三菱UFJ銀行の100%子会社です。古くから一般信用取引の空売りを取り扱っており、長期の新規売建を活用した逆日歩対策などで優待クロス投資家に重宝されています。優待クロスシミュレーターも提供されており、本格的にクロスを行うなら外せない1社です。

SMBC日興証券(クロス上級者向け)

総合証券系ですが、ダイレクトコースなら信用取引委託手数料が無料となります。一般信用売りの在庫を探すための重要なサブ口座として、本格的に優待クロスを行う上級者を中心に活用されています。

【注意】株主優待廃止・縮小リスクの最新動向

株主優待投資を続ける上で知っておくべき最新の動向として、株主優待の廃止・縮小リスクがあります。

2022年の東証市場再編以降、東京証券取引所が上場企業に対してROEやPBR(株価純資産倍率)の改善を強く要請するようになりました。その結果、特定の株主(個人投資家など)への還元である株主優待を廃止し、すべての株主に平等に利益を還元できる「配当金の増配」や「自社株買い」へと方針転換する企業(特にプライム市場上場企業)が増加しています。

もちろん優待を新設する企業も依然として多いですが、優待情報サイトの情報だけを鵜呑みにせず、各企業の適時開示情報やIRページで最新の状況を確認する習慣をつけることが大切です。

まとめ:株主優待投資の始め方

株主優待目的の証券会社選びでは、国内株手数料が無料化された現在、それぞれの目的に合わせた口座の使い分けが効果的です。

まずはSBI証券楽天証券をメイン口座として開設し、通常の優待株の購入や家族口座の管理基盤を作ることをおすすめします。その後、優待クロス(つなぎ売り)に挑戦したくなったら、操作が分かりやすい松井証券を活用し、さらに在庫を確保したくなったら三菱UFJ eスマート証券GMOクリック証券を追加していく、という手順が失敗しにくいステップです。

優待利回りや長期保有条件、企業の最新動向をチェックしながら、お得で楽しい株主優待生活を始めてみてください。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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