子どもの教育資金をどう準備するかは、「安全に貯める」「増やす」「親に万一があった時に備える」の3つを分けて考えると判断しやすくなります。

結論からいうと、教育費をすべて新NISAで運用する、あるいはすべて学資保険にする、という一択はおすすめしにくいです。大学入学金や初年度納付金のように使う時期が決まっているお金は、値下がりしているタイミングでも必要になります。逆に、0歳から10年以上の時間を取れる家庭なら、預金だけではインフレに負けやすくなります。

2026年時点では、親名義の新NISAに加えて、2027年1月から18歳未満を対象にした「こどもNISA」も始まる予定です。教育資金づくりは、預金、学資保険、新NISA、こどもNISAをどう組み合わせるかが重要になります。

教育資金づくりの結論:使う時期で分ける

まずは、教育資金を次の3つに分けて考えましょう。

使う時期 主な目的 向いている準備方法
5年以内 入学金、受験費用、制服、塾代など 普通預金、定期預金、個人向け国債など
5年から10年程度 高校・大学進学費用の一部 預金を中心に、必要なら学資保険も検討
10年以上先 大学費用、留学、成人後の資産形成 新NISA、こどもNISA、投資信託の積立

教育資金は、老後資金よりも「使う時期」が明確です。必要時期が近づくほど、運用商品から預金など安全資産へ移していくのが基本です。

預金・学資保険・新NISA・こどもNISAの違い

教育資金づくりでよく比較される選択肢を整理すると、次のようになります。

方法 メリット デメリット 向いている家庭
預金・定期預金 元本割れしにくく、必要な時に使いやすい 増やす力は弱く、インフレに弱い 数年以内に使う教育費を確保したい家庭
学資保険 親の死亡保障や払込免除がある商品が多い 途中解約に弱く、インフレにも弱い 保障と強制貯蓄を重視する家庭
親名義の新NISA 非課税で長期運用でき、途中売却もしやすい 元本保証ではなく、教育費以外にも使えてしまう 10年以上の運用期間があり、親が管理したい家庭
こどもNISA 子ども名義で非課税運用できる予定 払出し制限や制度運用の確認が必要 子ども名義で長期資産形成をしたい家庭

どれが一番よいかではなく、役割が違います。すぐ使うお金は預金、親の死亡リスクも考えるなら学資保険、10年以上先の資金は新NISAやこどもNISAという分担が現実的です。

預金は「近い将来に使う教育費」の置き場所

教育資金のうち、数年以内に使うお金は預金で持つのが基本です。受験費用、入学金、制服、パソコン、引っ越し費用などは、相場が下がっているからといって支払いを先送りできません。

預金のメリットは、元本割れリスクが低く、必要な時にすぐ使えることです。一方で、金利だけで教育費を大きく増やすことは期待しにくいです。物価や授業料が上がる局面では、預金だけで長期の教育資金を準備すると実質的な購買力が下がる可能性があります。

そのため、預金は「教育費の全額を増やす場所」ではなく、「確実に使うお金を守る場所」と考えるのが適切です。

学資保険は保障つきの強制貯蓄。万能ではない

学資保険の強みは、親に万一のことがあった場合の保障です。契約者である親が死亡・高度障害になった場合、以後の保険料払込が免除され、満期保険金や祝い金は予定通り受け取れるタイプがあります。

これは預金やNISAにはない特徴です。特に、親の死亡保障が不足している家庭では、学資保険が教育資金の安全弁になることがあります。

学資保険の注意点

  • 途中解約すると元本割れしやすい
  • 固定利率の商品はインフレに弱い
  • 保険会社の信用リスクがある
  • 返戻率だけで選ぶと保障内容を見落としやすい

生命保険会社が破綻した場合には保険契約者保護機構による保護制度がありますが、預金保険のように払込保険料そのものが全額保護される仕組みではありません。金融庁も、契約条件が変更される場合があると案内しています。

学資保険を選ぶなら、返戻率だけでなく、払込免除、受取時期、途中解約時の返戻金、保険会社の健全性を確認しましょう。詳しくは、学資保険の選び方とメリット・デメリットや、学資保険のリスク分析も参考になります。

新NISAは教育資金づくりに使えるが、出口戦略が必須

親名義の新NISAは、教育資金づくりにも使えます。金融庁のNISA制度では、2024年から非課税保有限度額が1,800万円となり、成長投資枠はそのうち1,200万円までです。また、売却した商品の簿価分は翌年以降に非課税投資枠として再利用できます。

金融庁のNISA特設サイトでも、新NISAの非課税保有限度額や枠の再利用について説明されています。

教育資金に新NISAを使うメリットは、長期・積立・分散投資によるリターンを非課税で受け取りやすいことです。0歳から大学進学までなら、18年近い運用期間を取れます。これは投資にとって大きな強みです。

ただし、新NISAは元本保証ではありません。大学入学直前に株式市場が大きく下落している可能性もあります。そのため、教育費の全額を投資に置き続けるのではなく、必要時期が近づいたら段階的に売却して預金へ移す必要があります。

教育資金で新NISAを使う場合の出口戦略

  • 大学入学の5年前から運用比率を下げ始める
  • 3年以内に使う予定の資金は預金へ移す
  • 一括売却ではなく、数年に分けて売却する
  • 教育費以外の老後資金と混ざらないよう管理する

新NISAは自由度が高い反面、教育費以外にも使えてしまいます。教育資金として使うなら、口座内で目的別に管理するか、積立額と売却予定を別途メモしておくとよいでしょう。

2027年開始予定のこどもNISAはどう使う?

2026年度税制改正法の成立により、2027年1月から18歳未満を対象にしたこどもNISAが始まる予定です。大和総研の制度解説では、こどもNISAはつみたて投資枠の対象商品に限定され、年間投資限度額60万円、非課税保有限度額600万円とされています。

参考: 大和総研「2027年1月開始 こどもNISAの概要」

こどもNISAは、旧ジュニアNISAの後継に近い制度ですが、教育費や生活費目的の払出し制限など、親名義の新NISAとは違う点があります。子ども名義で長期運用できるのはメリットですが、使い勝手は親名義の新NISAとは同じではありません。

教育費として柔軟に使いたいなら親名義の新NISA、子ども本人の長期資産形成も兼ねたいならこどもNISA、という使い分けが現実的です。

児童手当は教育資金づくりの原資にしやすい

教育資金を準備するうえで、児童手当をそのまま積み立てる方法は有効です。2024年10月から児童手当は拡充され、支給対象が高校生年代まで広がり、第3子以降は原則として月3万円となっています。

こども家庭庁の案内でも、3歳以上高校生年代までは月1万円、第3子以降は月3万円と説明されています。

参考: こども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当」

児童手当を全額積み立てるだけでも、長期ではまとまった教育資金になります。児童手当は生活費に混ぜると消えやすいので、受取口座から教育資金用口座へ自動で移す仕組みを作ると管理しやすくなります。

年齢別:教育資金のおすすめ配分

子どもが0歳から5歳

大学進学まで10年以上あるため、投資を活用しやすい時期です。生活防衛資金を確保したうえで、児童手当や毎月の積立を新NISAやこどもNISAで運用する選択肢があります。

ただし、全額を株式型投資信託にする必要はありません。親の死亡保障が不足しているなら、学資保険や定期保険で保障を補うことも検討しましょう。

子どもが6歳から12歳

大学進学までの期間はまだありますが、中学受験や高校受験など、途中で大きな支出が発生する家庭もあります。投資と預金を併用し、使う時期が近い資金は預金に移しておくのが無難です。

この時期から学資保険に入る場合、返戻率や受取時期が合わないこともあります。新規契約よりも、預金とNISAの組み合わせのほうが柔軟なケースもあります。

子どもが13歳以上

大学進学までの期間が短くなるため、教育費の中心は預金で確保したい時期です。投資で増やすよりも、必要額を確実に用意することを優先しましょう。

すでにNISAで運用益が出ている場合も、大学入学の直前までリスク資産のまま放置するのは危険です。数年かけて売却し、入学金や初年度納付金に充てる分は現金化しておくと安心です。

教育資金は「併用」が最適解になりやすい

教育資金づくりでは、次のような組み合わせが現実的です。

  • 生活防衛資金とは別に、教育費用の預金口座を作る
  • 3年から5年以内に使う資金は預金で確保する
  • 10年以上先の資金は新NISAやこどもNISAで積み立てる
  • 親の死亡保障が不足しているなら保険で補う
  • 大学入学の数年前から投資資産を段階的に現金化する

学資保険は悪い商品ではありませんが、教育資金づくりの唯一の正解ではありません。新NISAも強力な制度ですが、元本保証ではありません。預金、保険、投資をそれぞれの役割に応じて使い分けることが大切です。

まとめ:教育資金は「安全資金」と「運用資金」に分けて準備する

教育資金は、必要な時期が決まっている支出です。そのため、すべてを投資に回すのではなく、使う時期が近いお金は預金で守り、時間を取れる部分だけを新NISAやこどもNISAで運用するのが基本です。

親に万一があった場合の保障が不安なら、学資保険や死亡保険で補う選択肢もあります。ただし、学資保険は途中解約やインフレに弱い面があるため、返戻率だけで判断しないようにしましょう。

教育資金づくりの正解は家庭によって違います。重要なのは、預金、学資保険、新NISA、こどもNISAを競合商品として見るのではなく、それぞれの役割を分けて使うことです。

ABOUT ME
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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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