介護保険の負担限度額認定とは?2026年8月の食費・居住費改定と申請方法

介護保険施設の食費と居住費は、介護サービス費の1割から3割負担とは別に請求されます。
ただし、住民税非課税世帯で所得と預貯金等が基準内なら、介護保険負担限度額認定を申請することで、食費と居住費を軽くできます。
2026年8月から所得基準と日額が一部変わり、第3段階②では30日利用時の食費と居住費が最大4,800円増える施設があります。
この記事では、対象者、所得と資産の判定、改定後の負担額、申請と更新の手順を解説します。
負担限度額認定を確認したい人
- 特養、老健、介護医療院へ入所する人や、ショートステイを利用する人。
- 本人と世帯全員、世帯分離した配偶者が市町村民税非課税の人。
- 年金等収入と合計所得、預貯金等が段階別の基準内に入る人。
- すでに認定証を持っており、7月末の有効期限後も利用を続ける人。
介護保険負担限度額認定とは
介護保険施設へ入所したときの食費と居住費は、原則として利用者が全額を負担します。
低所得者が施設を利用できなくなることを防ぐため、所得と資産が一定以下の人には1日あたりの自己負担上限が設定されます。
施設が定める費用と負担限度額の差は、介護保険から施設へ支払われます。
制度は自動適用ではありません
対象要件を満たしていても、市区町村へ申請して負担限度額認定証の交付を受けなければ、原則として軽減されません。
入所が決まったら、施設との契約前後に市区町村の介護保険窓口へ申請します。
対象となる施設と対象外の住まい
| 対象となる主なサービス | 原則対象外 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム |
| 介護老人保健施設 | 介護付き有料老人ホームの家賃等 |
| 介護医療院 | サービス付き高齢者向け住宅 |
| 地域密着型特別養護老人ホーム | グループホーム |
| 短期入所生活介護、短期入所療養介護 | デイサービスの食費 |
同じ「老人ホーム」と呼ばれる施設でも、介護保険施設と民間の高齢者住宅では扱いが違います。
契約前に施設種別を確認し、負担限度額認定証を利用できるか施設へ伝えます。
対象者を所得と預貯金で判定する
生活保護受給者を除き、所得要件と資産要件の両方を満たす必要があります。
住民票上の世帯を分けていても、配偶者の課税状況と預貯金等は判定に含まれます。
| 段階 | 年金等収入とその他所得 | 預貯金等 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 非課税世帯の老齢福祉年金受給者、生活保護受給者 | 単身1,000万円、夫婦2,000万円以下 |
| 第2段階 | 年82.65万円以下 | 単身650万円、夫婦1,650万円以下 |
| 第3段階① | 年82.65万円超120万円以下 | 単身550万円、夫婦1,550万円以下 |
| 第3段階② | 年120万円超 | 単身500万円、夫婦1,500万円以下 |
| 第4段階 | 上記以外 | 施設との契約額 |
年金等収入には課税年金だけでなく、遺族年金や障害年金などの非課税年金も含めます。
65歳未満の第2号被保険者は、段階にかかわらず単身1,000万円、夫婦2,000万円以下が預貯金等の基準です。
預貯金等に含めるもの
普通預金、定期預金、現金、株式、国債、社債、投資信託、残高を確認できる金や銀などを申告します。
複数の金融機関に口座がある場合は、本人と配偶者の全口座を合計します。
生命保険、自動車、腕時計、宝石、家財など、時価を簡単に把握できない資産は通常含めません。
借入金を資産から差し引ける場合は、借用証書など残高を証明する書類が必要です。
2026年8月から変わった金額
2026年8月1日から、第2段階の年金等収入基準は80.9万円以下から82.65万円以下へ上がりました。
老齢基礎年金の満額が従来の基準を超えたことで、第2段階から外れて自己負担が急増することを防ぐ改定です。
一方で、第3段階①と第3段階②の食費、第3段階②の一部居住費は引き上げられました。
| 対象 | 2026年7月まで | 2026年8月から | 30日分の差 |
|---|---|---|---|
| 第3段階①の施設食費 | 650円 | 680円 | 900円増 |
| 第3段階②の施設食費 | 1,360円 | 1,420円 | 1,800円増 |
| 第3段階②の対象居住費 | 部屋種別ごとの旧額 | 原則日100円増 | 3,000円増 |
第3段階②は最大で月4,800円増
30日間、ユニット型個室など居住費引上げ対象の部屋を利用すると、食費1,800円と居住費3,000円を合わせて月4,800円増えます。
多床室の老健・介護医療院等で室料を徴収しない場合、居住費は日430円のままなので、増えるのは食費の月1,800円です。
2026年8月以降の負担限度額
施設入所時の食費と、主な部屋の居住費は次のとおりです。
ショートステイの食費は施設入所と異なるため、別に確認します。
| 段階 | 施設食費 | ユニット個室 | 特養多床室 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 300円 | 880円 | 0円 |
| 第2段階 | 390円 | 880円 | 430円 |
| 第3段階① | 680円 | 1,370円 | 430円 |
| 第3段階② | 1,420円 | 1,470円 | 530円 |
施設の設定額が負担限度額より低い場合は、施設の設定額を支払います。
日用品、理美容、医療費、介護サービスの自己負担はこの表に含まれません。
負担段階を確認する順番
特養、老健、介護医療院、ショートステイか
本人、世帯全員、別世帯の配偶者が非課税か
年金等収入とその他所得を合計
本人と配偶者の預貯金等を合計
認定証を施設へ提示
申請に必要な書類と更新時期
- 介護保険負担限度額認定申請書と同意書。
- 本人と配偶者の通帳の表紙、口座番号、直近残高が分かるページ。
- 有価証券、投資信託、インターネット銀行などの残高資料。
- 借入金を差し引く場合の借用証書や残高証明。
- 代理人が申請する自治体で必要となる委任状。
申請先は、介護保険の保険者となる市区町村です。
施設の所在地ではなく、被保険者証に記載された自治体へ申請するのが基本です。
認定証の有効期間は通常、申請月の初日から翌年7月末までです。
すでに認定を受けている人も自動更新とは限らないため、6月から7月に届く更新案内を確認します。
申請が遅れた場合の遡及は自治体へ確認
多くの自治体は申請月の初日から認定しますが、締切や提出方法は自治体ごとに異なります。
過去の月へ無制限に遡れる制度ではないため、入所や更新が決まった時点で申請します。
課税世帯でも使える特例減額
世帯に住民税課税者がいると、通常は第4段階となります。
ただし、高齢夫婦などで一人が介護保険施設へ入所し、食費と居住費を払うと在宅の配偶者が生活困難になる場合は、特例減額を利用できることがあります。
世帯人数、年間収入、施設負担後の残額、預貯金、不動産、介護保険料の滞納など複数の要件があります。
ショートステイは対象外なので、課税世帯で長期入所する場合に市区町村へ確認します。
負担限度額認定のFAQ
世帯分離すれば対象になりますか
世帯分離だけでは対象になりません。
配偶者は別世帯でも課税状況と預貯金等を判定に含めます。
本人だけを住民税非課税世帯にしても、配偶者が課税されていれば通常の要件を満たしません。
自宅や土地は預貯金等に含まれますか
通常の資産要件では、土地や家屋などの不動産は預貯金等に含めません。
ただし、課税世帯向けの特例減額では、日常生活に必要な資産以外の不動産を持っていないことなどが要件になります。
有料老人ホームでも軽減されますか
有料老人ホームの家賃や食費は原則として負担限度額認定の対象外です。
介護保険施設の特養、老健、介護医療院などと混同せず、施設の正式な種別を確認します。
認定証の申請と更新で負担を抑える
介護保険負担限度額認定は、対象者が申請して初めて食費と居住費を軽くできる制度です。
2026年8月から82.65万円の所得基準が使われ、第3段階の一部負担額も変わりました。
本人と世帯、別世帯の配偶者の住民税を確認し、年金等収入、預貯金等の順で段階を判定します。
該当しそうなら、施設との契約前または認定証の期限前に、通帳などの写しをそろえて市区町村へ申請してください。
介護保険のサービス費と民間介護保険の違いは、次の記事で確認できます。
医療費が高くなったときの自己負担上限は、次の記事で確認できます。
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