家計診断を自分でする方法|無料ツールで資産と負債、手元資金を点検

家計診断は、収入と支出、持っている資産、返す必要のあるお金を整理し、家計のどこを見直すか決める作業です。
貯金額や年収だけでは、来月の支払いにも、将来の支出にも対応できるかは分かりません。
自分で診断するときは、収支、純資産、手元資金の三つを分けて確認します。
この記事では資産と負債の点検を中心に、計算ツールと記入例で、見直す順番まで整理します。
制度や相談窓口の説明は2026年9月12日時点です。
自分でできる家計診断ツール
金額を万円単位で入力すると、年払いを含む収支、資産から負債を引いた純資産、支払予定を除いた手元資金を計算できます。
家族の家計を一緒に管理している場合は、その範囲で合計してください。
名義が違う資産も、所有者の同意や使途を確認せず自由に使えるお金とは扱いません。
入力した家計情報はツールの画面内だけで計算し、サーバーに送信したり保存したりしません。
登録は不要で、「記事の例を入力」から架空の家計でも試せます。
分からない項目をゼロにすると結果が変わるため、明細で確認するか、見積額として別に控えてから入力しましょう。
この診断は入力時点の概算です。
金融商品の購入、借入れの可否、老後資金の十分さを判定するものではありません。
結果に出た金額の意味と、入力で間違えやすい項目を以下で確かめられます。
家計診断で確認する三つの数字
| 見る数字 | 計算するもの | 分かること |
|---|---|---|
| 収支 | 一定期間の手取り収入から支出を引く | 日々の生活でお金が残るか |
| 純資産 | 同じ日の資産評価額から負債残高を引く | 借金を差し引いた財産の大きさ |
| 手元資金 | 現預金から近い支払いと使途の決まった分を除く | 予定外の収入減少に使える現金 |
資産と負債を同じ日付で並べた一覧が、家計のバランスシートです。
日本FP協会も、収支確認表とバランスシートを分けて、家計の現状を整理する方法を案内しています。
純資産がプラスでも、その大半が自宅や引き出せない年金資産なら、今月の支払いに困ることがあります。
反対に、住宅の評価額よりローンが多くても、毎月返済でき、手元資金が確保されている家計まで、直ちに支払不能と判断することはできません。
診断前にそろえる明細と入力のルール
- 直近の給与明細、年金の振込額、銀行明細から手取り収入を調べる。
- 銀行、カード、家計簿から月々の支出と年払い費用を拾う。
- 預金、証券、年金資産、保険の残高を同じ基準日でそろえる。
- 住宅などの売却見込額と、ローンや後払いの未返済額を記録する。
- 近いうちに使う資金を取り分け、残りで何か月生活できるか計算する。
月々の収支は、まず直近3か月ほどの実績でつかみ、年払い費用は過去12か月の明細と今後の予定から補います。
収入が不規則なら、平均だけでなく、収入の少ない月でも支払えるかを確認してください。
賞与は毎月の収入へ混ぜず、受取見込額と使う予定を別に管理すると、賞与頼みの赤字に気づきやすくなります。
カード利用と口座引落しを二重に数えない
家計簿にカードで買った日から食費や日用品費を記録しているなら、後日の口座引落しを同じ支出として足すと二重計上になります。
一方、バランスシートには、基準日時点でまだ払っていない一括払いの金額も負債として記入します。
「買い物に使った額」と「まだ支払っていない残高」は、違う目的で集計する数字です。
ツールでは、リボや分割払いの残元金を「ローンなどの残高」、一括払いなどの未払額を別欄に入れます。
一つの残高を両方へ入力しないでください。
毎月の支出と返済額も、家計簿と返済予定表を照合して重複をなくします。
貯蓄への振替と生活費を分ける
給与口座から貯蓄口座へ移したお金は、それだけで家計全体から消える支出にはなりません。
投資への積立も、生活費と区別して管理します。
ツールは生活の収支とは別に「積立後の余り」を表示します。
この数字がマイナスなら、現在の積立額が毎月の余りを超えています。
既存の預金を計画的に振り替えるのか、積立を減らす必要があるのかを確かめましょう。
資産と負債は現在の残高で評価する
| 資産の種類 | 診断に使う金額 |
|---|---|
| 現金と預貯金 | 基準日の残高。自分の口座間の移動で二重に数えない。 |
| NISAを含む株式や投資信託 | 購入額ではなく現在の評価額。含み益を別の資産として足さない。 |
| iDeCoなどの年金資産 | 現在の残高を資産へ計上し、引き出しに制限がある分として分ける。 |
| 貯蓄型の保険 | 現在の解約返戻金。死亡保険金額や払込保険料の累計ではない。 |
| 住宅、車など | 現在の売却見込額。住宅と土地を一括評価したら、土地を別に足さない。 |
純資産=資産合計−負債合計で求めます。
ただし、この評価額が、そのまま自由に使える現金になるわけではありません。
売却費用、税金、解約条件などで、実際の手取りは変わります。
iDeCoは原則として60歳になるまで引き出せず、受給開始年齢も加入期間などで変わります。
NISAは口座の税制上の仕組みであり、中の株や投資信託を元本保証にする制度ではありません。
どちらも資産として把握しつつ、急な支払い用の現預金と区別します。
保険の解約返戻金を資産へ記入することと、実際に保険を解約する判断も別です。
解約によって必要な保障を失わないか、契約者貸付があるならその残高を負債に入れたかも確認します。
住宅の査定額に幅がある場合は、低めに売れる場合も計算しておくと、売却時の不足が分かります。
負債は月額ではなく未返済の合計額を書く
住宅ローン、自動車ローン、カードローン、リボ払い、返済が必要な奨学金は、基準日の残元金を記入します。
将来支払う予定の利息は残元金へ足さず、月々の返済額とともに別に管理します。
すでに発生している未払利息や手数料があれば、未払額として漏らさず把握してください。
「月々1万円だから借金は少ない」という見方では、残高や返済期間が分かりません。
借入れごとに、残高、適用金利、毎月返済額、完済予定日を並べましょう。
ツールの合計額だけでは、金利の高い借入れや延滞の有無までは判定できません。
記入例から家計の弱い部分を見つける
次はツールの「記事の例を入力」で表示する架空の家計です。
手取りは月40万円、生活費とローン返済は月35万円、年払いの特別支出は年60万円、預金や投資への積立は月2万円とします。
金額は推奨額や平均値ではありません。
通常の月だけ見ると、40万円−35万円=5万円が残ります。
しかし、年払い60万円は月当たり5万円なので、年間収支は40万円×12−35万円×12−60万円=0円です。
積立へ月2万円を配分するなら、生活費口座の既存資金から年24万円を回す計画になります。
| 資産と負債の内訳 | 金額 |
|---|---|
| 現金と預貯金 | 250万円 |
| 株や投資信託、保険の解約返戻金 | 250万円 |
| iDeCoなど引き出しに制限がある資産 | 150万円 |
| 住宅と車の売却見込額 | 2,850万円 |
| 資産合計 | 3,500万円 |
| 住宅などのローン残高 | 3,080万円 |
| カード一括払いなどの未払額 | 20万円 |
| 負債合計 | 3,100万円 |
この家計の純資産は、3,500万円−3,100万円=400万円です。
ここから、現預金250万円のうちカード未払額20万円と、近い支出のために取り分ける50万円を除くと、手元資金は180万円になります。
年払い費用を年間収支へ入れることと、現時点の現預金の使途を分けることは別の点検であり、二つの結果をさらに足し引きする必要はありません。
今後の最低生活費を月30万円とすると、収入がゼロの場合に賄える期間は180万円÷30万円=6か月です。
この月30万円には、既に確保した未払額や予定支出を重ねて入れません。
「純資産400万円だから余裕がある」だけでは、年払い支出や積立への配分まで判断できないことが分かります。
家計診断の結果から見直す順番を決める
最初に、次の支払日までの資金が足りるかを確認します。
そのうえで、年間収支と、予定外の収入減少に備える現預金を点検します。
投資や住宅ローンの繰上返済を増やす判断は、近い支払いの資金を確保してから行います。
診断結果を行動へつなげる順番
不足するなら、入金日と支払日を確認。支払先への相談も早めに。
年払いの赤字、積立への配分、生活費を賄える期間を点検。
教育費、退職、借入金利を踏まえ、返済と運用の配分を決める。
現預金が少ないなら使えるお金を残す
生活防衛資金は、予定外の収入減少などに備えるお金です。
必要額は、最低生活費と備えたい期間、利用できる公的給付、家族の収入、仕事の再開までの見込みで変わります。
ツールの6か月は初期値であり、全員に必要な最低額や合格基準ではありません。
たとえば月30万円なら、3か月分は90万円、6か月分は180万円、12か月分は360万円です。
近い学費や税金を差し引いた後でも、その資金を使えるか確認します。
現預金500万円を毎月50万円ずつ取り崩し、ほかの入金がないなら、持つのは500万円÷50万円=10か月です。
「年」と「月」を取り違えないよう、取り崩す額と期間の単位をそろえましょう。
純資産がマイナスなら借入れの中身を確かめる
資産評価額より負債が多い状態を債務超過と呼びます。
住宅の売却見込額、毎月の返済、手元資金を一緒に確認し、売ると不足するのか、住み続けても返済が難しいのかを分けて考えます。
金利の高い借入れは、返済によって将来の利息負担を減らせます。
ただし、近い支払い用の現金を使い切ると、再び借りる必要が生じることがあります。
最低限の支払資金を確保し、金利、手数料、返済期限を比べて追加返済の順番を決めます。
純資産がプラスでも、住宅の比率が高い家計は同じ点検が必要です。
住宅を売る計画では、売却代金から全残債と費用を引いた額を使い、将来の値上がりや借り換えを保証された資金として数えないでください。
年間収支が赤字なら原因と継続期間を分ける
働いている間の継続的な赤字なら、通信、保険、住居などの固定費と収入を確認します。
金額の大きさだけでなく、変更にかかる費用、必要な保障や生活への影響も比べます。
月5,000円の負担を12か月減らせるなら、年間6万円の改善です。
退職後に予定どおり資産を取り崩す家計は、赤字だけを理由に失敗とは判断できません。
年金などの手取り収入と生活費の差、税金、修繕費、医療費を含め、何年続けられるかを別に試算します。
このツールは物価上昇や将来の運用益を自動では予測しません。
平均の家計や診断アプリとの付き合い方
「食費は何%」「貯蓄は何%」という目安は、見直すきっかけにはなりますが、家計の合否を決める基準ではありません。
世帯人数、年齢、住む地域、持ち家か賃貸か、子どもの教育費などで必要な支出が変わるためです。
総務省の家計調査にある「消費支出」には、住宅ローン返済などが含まれません。
ローン返済を含めた自分の支出と、統計の平均額をそのまま比較すると、費目の範囲がずれます。
同じ世帯条件と集計方法へそろえて、差が出た理由を探す使い方が適しています。
家計簿アプリや外部の診断サービスを使うときは、比較対象の世帯、更新された残高、年払い費用と未払額の扱いを確認します。
登録の要否、料金、相談や営業連絡の有無、入力情報の利用目的も、使う前に確認してください。
診断結果の良し悪しと、金融商品を購入すべきかは別の判断です。
家計診断をやり直す時期と相談先
毎月は収支と未払額、半年から年1回は資産と負債の一覧を更新すると、どこが変わったかを追いやすくなります。
転職、休職、出産、進学、住宅購入、退職が決まったときは、その前にも見直します。
資産が増えていても、積立による増加か相場上昇かを分けて記録しましょう。
相談する場合は、診断に使った残高、ローンの金利と返済予定、今後の大きな支出、迷っている点を持参すると話を進めやすくなります。
日本FP協会は、収支確認表、バランスシート、ライフイベント表、キャッシュフロー表を無料で公開しています。
J-FLECの「はじめてのマネープラン」は、金融商品の勧誘を行わない無料相談です。
対面またはオンラインの無料体験は事前予約制で最大1時間、1人1回です。
通信料や交通費は利用者負担で、予約枠や相談内容の条件は案内ページで確認できます。
支払期日が迫り、既に返済が難しい場合は、診断表を完成させるまで待たず、支払先や自治体などの相談窓口へ早めに連絡しましょう。
家計診断の目的は、平均より良い数字を作ることではなく、次に直す項目を具体的に決めることです。
参考:日本FP協会の家計チェック用ツール、総務省統計局の家計調査の用語、J-FLECの無料相談案内。
制度と窓口情報の基準日は2026年9月12日です。
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