退職・転職で企業型確定拠出年金を放置すると損。iDeCo(イデコ)への移管方法
企業型401k(企業型確定拠出年金)がある会社に勤務していて、その後退職するなどした場合、それまで積み立ててきた年金資産は国民年金基金連合会によって仮預かりという形を取られてしまいます。そのまま放置していると年金原資から毎月の「管理手数料」を取られ続けてしまいます。
また、その間はまったく運用されないことになりますので大変もったいないです。ちなみに、そんな人は100万人を突破したということです。今回は、放置した場合の具体的な損失やその対処方法を紹介していきます。
企業型確定拠出年金は退職後半年で自動移管されます
まず、企業型確定拠出年金がある会社を退職した場合、そのまま放置をしていると企業型確定拠出年金で運用されていた年金資産は換金されて、国民年金基金連合会に自動移管されます。
自動移管時には手数料がかかり、また再度運用を再開する場合にも手数料がかかります。退職したばかりで手元に「確定拠出年金 加入者資格喪失手続完了通知書(あるいは、確定拠出年金 加入者資格喪失のお知らせ)」が届き、どうしたらいいかを悩んでいるというのであれば、早めに手続きをしましょう。
自動移管されてしまった場合は年金資産は運用されないうえ、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入期間にもカウントされません。それでいながら毎月手数料が発生して徐々に目減りするという悪循環に陥ってしまいます。
2026年4月以降、放置時の管理手数料が大幅値上げされました
ここで強く意識していただきたいのが、放置した際の手数料負担です。2026年4月1日より、国民年金基金連合会への自動移換後の管理手数料が以下の通り改定されました。
- 管理手数料(月額):旧52円 → 新98円
- 他制度への移換手数料(脱出時):旧1,100円/回 → 新550円/回
- 新規自動移換手数料:4,348円/回(変更なし)
たとえば、この状態で20年間放置した場合の損失を試算してみましょう。
月98円 × 12か月 × 20年 = 23,520円の目減りとなります。初回の自動移換手数料4,348円を含めると、合計27,868円以上の損失が発生してしまいます。運用されないまま資産が確実に削られていくため、放置は厳禁です。
気づかないうちにiDeCoへ自動移換される新ルールも
なお、2024年以降、自動移換されて放置された資産について、一定の条件下でiDeCo(個人型確定拠出年金)へ自動的に移換される手続きが行われるケースがあります。読者の方が混乱しないよう、国民年金基金連合会から届く通知書(「個人型確定拠出年金に関する重要なお知らせ」など)の内容は必ず確認するようにしてください。
では、具体的にどうしたらいいのでしょうか?状況によって以下の5つのパターンに分けられると思います。
- 転職して勤務先に企業型確定拠出年金がある
- 転職して勤務先に企業年金(確定給付年金)がある
- 企業年金のない会社に転職した場合
- 自営業として独立開業した場合
- 退職して結婚した(主婦・主夫になった)
それぞれごとの対応の方法を紹介します。
転職して勤務先に企業型確定拠出年金がある
転職後の会社に伝えて、企業型年金への加入手続きを取ってもらいましょう。
なお、2024年12月からは「DCポータビリティ」の仕組みが整備され、転職先に企業型DCがある場合は自動的に年金資産が移換される仕組みが導入されています。これにより「放置」が生まれる根本原因が解消されつつあります。とはいえ、確実に手続きが完了しているか、会社側へ確認しておくことをお勧めします。
→会社に手続きを確認してもらいましょう。
転職して勤務先に企業年金(確定給付年金)がある
2016年までは企業年金がある会社員や公務員は個人型確定拠出年金に加入できなかったため、新規の掛け金拠出はできませんでした。ところが「2017年からの個人型確定拠出年金の変更点のまとめ」でも紹介している通り、2017年1月以降は企業年金がある会社に勤めていても、個人型確定拠出年金へ加入することができるようになりました。
さらに、2026年12月からはiDeCoの制度改正が控えており、第2号被保険者(会社員など)の拠出限度額が最大で月額62,000円までに引き上げられるほか、加入可能年齢も「70歳未満」まで引き上げられます。
企業型401kの年金資産を運用管理機関(個人型確定拠出年金を扱っている証券会社・銀行)へ移して運用指図者となる(掛け金の拠出は行わない)か、新たに積立を行いましょう。
→自分でiDeCoの申し込みをして年金資産を移管しましょう
企業年金のない会社に転職した場合
個人型確定拠出年金(iDeCo)に年金資産を移管して、運用を再開しましょう。
積み立てをせずに、運用管理機関(個人型確定拠出年金を扱っている証券会社・銀行)へ年金資産を移して運用指図者として年金原資のみを定期預金や投資信託などで運用することもできますし、新たに積立(拠出)を開始して個人型確定拠出年金の加入者となることができます。
こちらも2026年12月の改正により、70歳未満まで加入・拠出が可能となるため、長期的な資産形成に役立ちます。
→自分でiDeCoの申し込みをして年金資産を移管しましょう
自営業として独立開業した場合
自営業やフリーランスとして第1号被保険者となる場合、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入可能です。
積み立てをせずに、運用管理機関(個人型確定拠出年金を扱っている証券会社・銀行)へ年金資産を移して運用指図者として年金原資のみを定期預金や投資信託などで運用することもできますし、新たに積立(拠出)を開始して個人型確定拠出年金の加入者となることができます。
自営業者も同様に、2026年12月の改正により70歳未満まで加入が可能になります。
→自分でiDeCoの申し込みをして年金資産を移管しましょう
結婚して専業主婦(主夫)になった場合
サラリーマンの妻や夫(第3号被保険者)であってもiDeCoには加入することができます。
積み立てをせずに、運用管理機関(個人型確定拠出年金を扱っている証券会社・銀行)へ年金資産を移して運用指図者として年金原資のみを定期預金や投資信託などで運用することもできますし、新たに積立(拠出)を開始して個人型確定拠出年金の加入者となることができます。
→自分でiDeCoの申し込みをして年金資産を移管しましょう
iDeCoとして運用再開するときは2つの手段がある
放置していた企業型確定拠出年金の資産を運用管理機関(証券会社・銀行)に移した後は二つの選択肢があります。
積立はせずに運用だけをする(運用指図者となる)
あらたに掛け金の拠出はしないけど運用だけを行うという方法になります。放置している場合と違い、運用になりますので運用によって収益を上げることができます。
ただし、運用指図者となった場合でも毎月の各種手数料が発生することになります。年金資産が少ない場合は手数料負けして徐々に減っていく可能性も否めません。
後述しますが、この場合はできるだけ手数料の安い証券会社に移管することをお勧めします。
新たに積立(掛け金の拠出)を開始する
運用だけでなく、新たに掛け金の拠出をして個人型確定拠出年金として運用する方法になります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)については「個人型確定拠出年金のメリット、デメリット」でもまとめていますが、掛け金は全額所得控除、さらに運用益も非課税といった様々なメリットがあります。
老後資産作りという意味では非常に優秀な制度なので、資金収支に余裕があるなら掛け金拠出をおすすめします。なお、2022年の法改正により、受給開始年齢の選択肢が広がり、60歳から最大75歳までの間で自由に受給開始時期を選べるようになっています。
退職後に放置した企業型確定拠出年金の移動先はどこ?
最後に、放置している年金はどこに移管するのがよいのでしょうか?
個人型確定拠出年金は金融機関選びも実は大切です。手数料のところでも紹介したように運用管理機関によって手数料は大きく違うのでできるだけ安いところを選ぶようにしましょう。
詳しくは「個人型確定拠出年金(iDeCO)のおすすめ証券会社を徹底比較」で手数料、運用商品の種類と質、そのほかサービスなどを比較しているので参考にしてください。
比較するのが面倒という方は「楽天証券」か「SBI証券」のどちらかを選ばれるとよいかと思います。どちらも運営管理者の手数料は無料ですし選べるファンドもコストの安い投資信託が多いです。
SBI証券に移管する
運用管理機関手数料が無料です。
資料請求の際に「個人型401k(iDeCo)プランへ移す年金資産はありますか?」という質問項目があるので「ある」を選択し、次の「SBI証券個人型401kプランへ移す年金資産はいずれになりますか?」という質問に対して、「企業型401k資産(企業型401k資産を国民年金基金連合会へ自動移換された場合も含む)」を選択します。
最後に住所などの情報と「基礎年金番号」を入力して終わりです。
楽天証券に移管する
運用管理手数料が無料になるというコスト感が非常に魅力的です。
ローコストのいいファンドがそろっています。企業型401kの残高がある方は申し込み途中で表示される下の画像の場面で左下の「企業型確定拠出年金からの移換」を選択しましょう。
基礎年金番号の確認方法について
なお、基礎年金番号は分からなくても一時的に進められる場合がありますが、最終的な申し込みの際には必要となります。「個人型確定拠出年金に関する重要なお知らせ(定期通知)」が届いている方なら、その書類にも書かれています。
(参考:基礎年金番号がわからないときの調べ方)
お手元に書類がない場合は、以下の方法で基礎年金番号を確認してください。
- マイナポータル(マイナンバーカードでログイン後、年金情報から確認可能)
- ねんきんネット(ログイン後トップページに表示)
- 基礎年金番号通知書
- ねんきん定期便(ハガキ)
- お近くの年金事務所窓口へ問い合わせ
※以前使われていた「年金手帳」は2022年4月1日に廃止され、新規発行が終了しています。過去に交付された手帳をお持ちの場合はそちらでも確認できます。
以上、退職・転職で確定拠出年金を放置すると損。年金の移管方法の紹介でした。
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