iDeCo(イデコ)の賢い受け取り方は?一時金・年金の違いと「10年ルール」の注意点を徹底解説
個人型確定拠出年金(iDeCo)はその高い節税効果などが人気です。加入対象が大幅に拡大したことも受けて、加入を検討している方も多いのではないでしょうか?加入のメリットやデメリットを知らせる情報は多いですが、それと同じくらい大切なのが年金の受取の方法です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)については、受け取り方法を選択でき、その方法によって受け取り時にかかる税金が変わってきます。上手な受け取りをすることで、より節税効果を高めることが可能です。
そもそも個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?
そもそもの確定拠出年金について知りたい方は「個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット・デメリット」をご参照ください。
また、年金制度の変更については「個人型確定拠出年金(iDeCo)の変更点のまとめ」で紹介しています。
2024年12月施行の制度改正により、iDeCoの掛金拠出限度額や企業型DC(確定拠出年金)との併用要件が変更され、より多くの方が利用しやすくなっています。ご自身の限度額がいくらになるか、事前に確認しておくことをおすすめします。
個人型確定拠出年金(イデコ)は何歳から受け取れる?
年金を受け取ることができるのは原則として60歳以降です。ただし、50歳以上の年齢で加入する場合は「定年前(50歳代)の人でも個人型確定拠出年金を上手に活用する方法」でも紹介したように、加入期間が10年未満となることがあり、そのケースでは受給開始期間が段階的に遅くなります。
たとえば58歳の方が始める場合は64歳(6年後)から受け取りが可能です。
また、2022年4月の法改正により、受給開始年齢の上限が延長されました。現在は、最大で75歳まで引き延ばして運用を続けることができます(改正前は70歳まで)。同時に新規加入年齢の上限も65歳へと引き上げられています。つまり、受給開始時期はかなり柔軟にコントロールできることになりますね。
イデコの資金はどうやって受け取るのがベストか?
長年積み立てていったイデコを受け取るときは、どうやって受け取ればよいのでしょうか?
イデコの受け取り方法は一括で受け取る方法(一時金)と、分割して受け取る方法(年金)の二種類があり、どちらかを自分で選択することができます。また、金融機関によってはその両方を併用することもできます。
基本的には以下のフローチャートで考えてみるとよいと思われます。退職金制度がない、あるいは受取額が少額なら基本的には一時金。そうでないなら、年金として、または年金+一時金の併用で受け取るのがおすすめとなります。
いずれにしても、戦略としてはイデコで運用した資産を受け取るときに、できるだけ節税になるように行動するということです。
特に、退職金が多い方についてはイデコの受け取り時期をしっかり考えておかないと、思わぬ高い税金を負担することにもなりかねません。以下はあくまでも一般論としての紹介になります。場合によっては数十万円、100万円単位で税額が変わることもあるので、最終的には税理士などの専門家にしっかりと相談するようにしてください。
イデコを一時金として受け取るメリット、デメリット
個人型確定拠出年金として積み立てたイデコの財産を一時金として受け取る場合には「退職所得控除」という税制優遇制度が利用できます。これは個人型確定拠出年金に加入していた期間に応じて控除額が大きくなります。
この年数は会社の勤務年数ではないのでご注意ください。iDeCoの加入期間です。
【退職所得控除の計算式】
・加入期間が20年以下の場合: 40万円 × 加入年数
・加入期間が20年を超える場合: 800万円 + 70万円 × (加入年数 - 20年)
仮に30年加入していた場合、退職所得控除=(40万円×20年 + 70万円×10年)= 1,500万円となります。
受け取る金額が上記の控除額以下なら、全額非課税で受け取ることができます。上記金額を超えた場合には、超えた部分の所得を1/2にした上で通常の所得税が課税されます(退職所得)。
退職金が出る場合の退職所得控除の計算
会社から退職金も出る場合、退職所得控除の計算において「勤務年数」と「個人型確定拠出年金加入期間」の重複している期間は二重に計算されず、原則として長いほうの年数で計算されます。仮に勤務年数が30年、イデコへの加入期間が25年で、完全に期間が重複している場合は、30年で計算されます。
仮にこのケースで、退職金とイデコを同じ年に一時金で全額受け取り、合計が3,000万円(退職金2,000万円、イデコの一時金1,000万円)だったとしましょう。
30年の勤続年数だと退職所得控除は「40万円×20年 + 70万円×10年 = 1,500万円」となります。
退職所得 = (3,000万円 - 1,500万円) × 1/2 = 750万円
このケースだと、750万円の退職所得として課税対象になります。
退職所得に対する税率
退職所得に対する所得税の税率は、下記のような累進税率となります。
| A 課税退職所得金額 | B 税率 | C 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
| 1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
750万円の退職所得の場合、750万円 × 23% - 636,000円 = 1,089,000円の所得税がかかることになります。これに加えて住民税が一律10%で750,000円かかり、合計 1,839,000円の税金がかかるわけです。
結構取られますね。
会社から退職金がたくさん出る人は要注意!
会社から退職金がたくさん出る場合は、退職所得の額に応じて累進課税となるため、税額も一気に跳ね上がります。そのため、イデコ受け取り方として、退職金が多い方は同じタイミングで一時金として受け取ることには注意しましょう。
【重要】2026年から「10年ルール」へ変更!退職金との受け取り時期のずらし方に注意
以前は、iDeCoの受け取りと退職金の受け取りを「5年間」ずらすことで、退職所得控除をそれぞれフルに活用する(いわゆる「5年ルール」)という節税テクニックが有効でした。
しかし、2025年度税制改正により、2026年1月1日以降はこの期間が「10年」に延長されます(10年ルール)。
つまり、「60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を受け取る」という従来の戦略では、控除の重複部分が差し引かれ、想定通りの節税効果が得られなくなってしまいます。2026年以降に両方を一時金で受け取る予定の方は、「60歳でiDeCoを受け取り、70歳で退職金を受け取る」など10年以上の期間を空けるか、iDeCoを年金形式で受け取る戦略を再検討する必要があります。
小規模企業共済と併用する場合の注意点
自営業やフリーランス、中小企業経営者の方で「小規模企業共済」を利用している場合も要注意です。小規模企業共済の共済金(一時金)も退職所得扱いとなります。iDeCoの一時金と同じ年、あるいは近い年に受け取ると、退職所得控除が合算・調整され、税負担が大きくなるリスクがありますので、専門家に受取計画を相談しましょう。
退職金が出ない、少ない人は一時金が有利
一方で退職金が出ない人や、職を転々としていて退職金をあまりたくさんもらわない人は、イデコの退職所得控除で受取額の大半を控除することができるはずです。
たとえば、30年勤務(またはiDeCo加入)している場合の退職所得控除は1,500万円です。退職金が無いような場合には退職所得控除の枠が丸々余っているため、これをイデコの受け取りに使えば、ほぼ非課税でイデコの受け取りが可能となります。
イデコを年金として受け取るメリット、デメリット
年金として受け取る場合は、雑所得扱いとなり「公的年金等控除」を利用することができます。2020年の税制改正により、現在の控除額は以下の通り変更されています(公的年金等以外の所得が1,000万円以下の場合)。
| 年金を受け取る人の年齢 | (a)公的年金等の収入金額の合計額 | (b)割合 | (c)控除額 |
|---|---|---|---|
| 65歳未満 | ※収入金額が600,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。 | ||
| 600,001円から1,299,999円まで | 100% | 600,000円 | |
| 1,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 275,000円 | |
| 4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 685,000円 | |
| 65歳以上 | ※収入金額が1,100,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。 | ||
| 1,100,001円から3,299,999円まで | 100% | 1,100,000円 | |
| 3,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 275,000円 | |
| 4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 685,000円 | |
上記の控除額を超えた部分について、雑所得として総合課税の対象となります。確定拠出年金の年金分もこの公的年金等控除が適用されますが、国民年金や厚生年金、企業年金などを別途受け取る場合はその年金分も含めて合算計算されます。
なお、この年金方式は、65歳以上で「厚生年金 + 個人型確定拠出年金(iDeCo)」を受け取るようになると、非課税枠(110万円)を超えてしまう可能性が高く、課税されやすくなります。
所得税や住民税がかかるだけでなく、合計所得が増えることで健康保険料(国民健康保険料など)や介護保険料の算定基準が上がり、社会保険料の負担が増加する点が大きなデメリットとなります。
60歳~64歳までは年金でもらい、65歳以降に一時金として受け取るのがベストか?
現在の多くの現役世代の人は、公的年金(老齢厚生年金など)の受給は原則65歳になってからです。ということは、60歳から64歳までの5年間は、毎年60万円の「公的年金等控除」の非課税枠が丸々余ることになります。
これを利用し、60歳~64歳までの5年間は毎年60万円ずつを年金形式で受け取り、残りを65歳以降に一時金として受け取るという併用戦略が考えられます。ただし、先述の「10年ルール」の施行(2026年〜)により、65歳時点で退職金とiDeCo一時金の両方を受け取ると退職所得控除が調整されるリスクがあるため、ご自身の退職金の受け取り時期と慎重にすり合わせる必要があります。
控除枠を上手く使って分割+一時金で受け取ることで、すべてを同じタイミングで一時金として受け取るよりも、税金を大幅に圧縮できるケースがあります。具体的な計算は、勤務先の退職金規定やご自身のiDeCo残高によって異なるため、シミュレーションを行うことが重要です。
iDeCoの受け取り手続きの具体的なステップ
節税戦略を決めたら、実際の手続きにも注意が必要です。受け取り時期になって慌てないよう、以下の流れを押さえておきましょう。
- 受給権発生の案内が届く
受給開始年齢(60歳など)に到達する誕生月の約1〜3ヶ月前に、国民年金基金連合会または運営管理機関から裁定請求書などの案内書類が届きます。 - 受け取り方法(一時金・年金・併用)を決める
この記事で紹介したようなご自身の退職金等の状況を踏まえ、有利な受け取り方を選択します。 - 必要書類を提出する
「老齢給付金裁定請求書」や本人確認書類、退職金がある場合は「退職所得の受給に関する申告書」などを運営管理機関へ提出します。 - 給付金の受け取り
手続き完了後、指定した銀行口座に入金されます。運用商品の現金化に時間がかかるため、書類提出から実際の入金まで1〜2ヶ月程度かかるのが一般的です。
結論。現在の会社の退職金や年金制度と合わせて考える
厚生年金など手厚い公的年金がある人は、iDeCoをすべて年金方式で受け取ると公的年金等控除枠を超える可能性が高いため、あまりお勧めしません。基本は「一時金」として受け取るのが有利になることが多いですが、退職金が多い人は、退職金とiDeCoの受け取り時期を「10年ルール」に抵触しないようにずらすなどの工夫が必要です。
また、60歳~64歳までは公的年金等控除が余る可能性が高いため、その期間だけiDeCoを年金として受け取り、残りを一時金にする「併用」も有効な選択肢です。
このようにお得な個人型確定拠出年金(iDeCo)も、受け取り方(出口戦略)次第で手元に残る金額が数十万円から百万円単位で変わることがあります。
イデコは入り口(加入による節税)も大切ですが、出口をどう設計するかがそれ以上に重要です。現在の会社の制度やご自身のライフプランに合わせて、最適な受け取り方を事前にシミュレーションしておきましょう。
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