自営業者やフリーランス、あるいは無職の方などは公的年金の区分として「第1号被保険者」となります。第1号被保険者は公的年金として1階部分である国民年金に強制的に加入することになります。一方で、サラリーマンが加入している厚生年金と比較すると、保障も老後の年金も少なくなりがちです。

そのため、自営業などの第1号被保険者の方は任意で「個人型確定拠出年金(iDeCo)」「国民年金基金」「付加年金」などの追加的な年金制度に加入することができます。

今回はそんな第1号被保険者(自営業・フリーランス)の方向けにiDeCo(個人型確定拠出年金)と国民年金基金、付加年金の3つの任意加入の年金制度についてどれがお得なのかを比較していきます。

自営業の年金はサラリーマンの年金よりも少ない

日本の年金制度は3階建てといわれています。
国民年金(1階部分)がベースでそのうえに「厚生年金」や「企業年金(共済年金)」が2階建て部分。さらに一部の企業では企業年金(厚生年金基金・確定給付年金・企業型確定拠出年金)が3階建て部分として用意されています。

こうした年金制度の中で、もっとも年金が充実していないのが第1号被保険者(個人事業主・自営業・フリーランス・無職)と第3号被保険者(第2号被保険者の配偶者で収入が年130万円以下)です。

ただ、第3号被保険者(いわゆるサラリーマンの妻)は保険料を納めなくても年金保険料を払ったことになるというむしろ優遇された立場にあります。詳しくは「年金の第3号被保険者制度の問題点とその廃止議論についてのまとめ」。

となると、公的年金制度においてもっとも、充実していないのが第1号被保険者です。

よく比較対象となるサラリーマン(厚生年金加入)との比較については「意外と知らない国民年金と厚生年金の違い」や「実際に支給されている国民年金、厚生年金の平均受給額はいくら?」でもまとめています。老後の年金額はもちろんですが、その他の保障(障害年金・遺族年金)などの面でもサラリーマンの加入する厚生年金に劣ります……。

第1号被保険者は標準だと国民年金のみの加入となります。ただ、それだけでは不安という人のために任意で加入できる年金制度があります。それが「個人型確定拠出年金(iDeCo)」「国民年金基金」「付加年金」の3つです。

付加年金は自営業者の強い味方

毎月の国民年金にプラスして保険料を払うことで老齢基礎年金に上乗せをすることができる制度です。国民年金加入者(第1号被保険者)のみ加入できます。

保険料は月額400円で、老齢年金(老後にもらえる年金)に対して「200円×付加保険料を支払ってきた月数」の年金受取額がアップします。仮に20年(240か月)付加年金に加入したとします。

支払う保険料:400円×12カ月×20年=96,000円
受け取る年金:200円×240カ月=48,000円(年額)

単純に老齢基礎年金を2年以上もらえるなら得ができるという非常にお得な制度で、2年1ヶ月目から払った保険料以上の年金受け取りが始まるということになります。

国民年金は終身年金(死ぬまでもらえる)のでお得です。長生きリスクに備えるには非常に魅力的な年金といえそうです。

これから紹介する個人型確定拠出年金(iDeCo)との併用は可能ですが、国民年金基金の場合は利用できません(国民年金基金に含まれる形となっているため)。

個人型確定拠出年金(iDeCo)と国民年金基金

続いての個人型確定拠出年金(iDeCo)と国民年金基金はどちらも国民年金とは別に加入する年金です。それぞれ別物の年金で、併用することもできます。

ただし、毎月納付することができる保険料の上限額は個人型確定拠出年金と国民年金基金の両方を合計して月額68,000円まで(※2026年12月より月額75,000円に引き上げ予定)と決まっています。どのように振り分けるか、あるいはどちらに加入するかを決めておく必要があります。

まずは、それぞれの特徴を比較してみましょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo) 国民年金基金
支払う年金保険料
(積立金額)
定額(変更可能)、両者を合算して月額68,000円まで。
支払った保険料は全額所得控除される。
保険料の変更 可能(5,000円~68,000円)
ゼロにすることも可能
口数単位で変更可能。
1口あたりの金額は契約時の年齢・性別で変動
受け取れる年金額 支払った保険料+運用成果 契約時の年齢や性別に応じて決定(確定給付)
利回り 運用によって異なる 確定利回り
利用停止 特になし。会社員になった場合でもそのまま掛け金の拠出が継続できる(ただし、支払う保険料の上限は12,000円~23,000円に変動) 第1号被保険者でなくなった時には掛け金の拠出ができなくなる。
受け取り方法 60歳〜75歳の受給のタイミングに決める
・一括
・年金
・その併用
最初に決める必要あり
・終身年金(有期保証)
・終身年金(保証なし)
・有期年金
年金の信用リスク 自分のお金(運用資金)は個人用のアカウントで管理されているので年金の破綻などは関係ない。 自分の掛け金も一緒に国民年金基金として管理されている。

結論から言えば、国民年金基金に入るくらいなら個人型確定拠出年金(iDeCo)の方が圧倒的に商品性が優れていると考えられます。

個人型確定拠出年金のリスクとしては「運用の結果が自己責任である」というところはあります。一方の国民年金基金は確定利回りです。そのため、リスクは負いたくないという人は国民年金基金を選ぶかもしれません。

でも止めておいた方がいいです。その理由は下記の2つ。ちなみに、以下で説明するのは国民年金基金の悪口みたいになっています。確定拠出年金のメリット、デメリットについては該当ページで詳しく紹介しているので、こちらもぜひご一読ください。

【重要】2026年12月のiDeCo大改正について

iDeCoは2026年12月1日施行の法改正により、自営業者・フリーランスにとってさらに魅力的な制度へと大幅にアップデートされます。主な変更点は以下の通りです。

改正項目 改正前(現在) 改正後(2026年12月~)
第1号被保険者の拠出上限 月68,000円(年81.6万円) 月75,000円(年90万円)
加入可能年齢 60歳未満(一部要件で65歳未満) 70歳未満
節税効果(所得控除) 最大81.6万円/年 最大90万円/年

拠出限度額が引き上げられることで、所得控除による節税効果がさらに大きくなります。また、加入可能年齢が70歳未満まで延長されるため、長く働き続ける自営業者にとって、より長期間にわたって老後資金を積み立てながら節税メリットを享受できるようになります。

さらに、iDeCoの受給開始年齢はすでに2022年の改正で柔軟化されており、60歳から最大75歳までの間で受け取り開始時期を自由に選択できるようになっています。

国民年金基金は過去の高利回りを約束した受給者の負担を新規加入者が負っている

国民年金基金をおすすめしない第1の理由です。国民年金基金にはすでに「積立不足」が生じています。国民年金基金は1991年に登場した確定給付の年金です。

積立不足というのは運用の失敗というよりも高利回りを当初に約束したため、約束した予定利率(利回り)で加入者に年金を支払う時に理論上必要な金額に達していないということです。

つまり、財源的にはすでに痛んでいる年金というわけです。利回りを過去にさかのぼって下げるわけにはいかないので新規の加入者(あるは将来の加入者)がこれを負担することになります。

国民年金基金の予定利回りは現在1.5%に設定されています。

ちなみに、過去の国民年金基金の予定利率の推移を見ていきます。

  • 1991年:5.5%
  • 1995年:4.75%
  • 2000年:4.0%
  • 2002年:3.0%
  • 2004年:1.75%
  • 2014年以降現在まで:1.50%

設立当初に入った方はおめでとうございます、ですね。これから入る方は5.5%の高い利回りで運用できている人のために高い掛け金を納める必要があるわけです。
また、このまま積立金不足が深刻になれば年金の存続も危ぶまれるかもしれません。

一方で個人型確定拠出年金の場合、あくまでも個人単位のアカウントで積立が管理されますのでこうしたことは起こりません。

国民年金基金ではインフレリスクに対応できない

預金金利が低い状況下では、1.5%ならまだいいと思うかもしれません。

ただ、国民年金基金の場合、ずーっとこの利率が適用されます。そのため、将来インフレになった場合にはそのリスクに対応できません。

一方の確定拠出年金の場合には、通常の運用商品(投資信託など)で投資されているので、インフレになれば当然運用商品の利回りが向上する可能性があり、インフレリスクにも比較的対応できます。

唯一のメリットは「終身年金」としての選択があること

国民年金基金の唯一のメリットといえるのは「終身年金」としての利用ができること(最初に選ぶ必要がある)です。

確定拠出年金は基本的に自分で積み立てて運用したお金が払われます。一方の国民年金基金の場合、一定以上に長生きをした場合はその分得をできる可能性があります(逆に早死にしたら損)。

年金の目的の一つを「長生きリスクに対するヘッジ」と考えるのであれば大きなメリットといえるかもしれません。

自営業者の節税という意味なら「小規模企業共済」もアリ

iDeCo(確定拠出年金)や国民年金基金、付加年金の加入について掛け金の所得控除を利用した税効果(所得税や住民税の節税)にあるというのであれば、年金ではなく小規模企業共済という選択肢もありです。

iDeCo(確定拠出年金)と国民年金基金、付加年金はいずれも老後まで引き出しができないという点に注意が必要です。一方の小規模企業共済も解約には制限がありますが、契約者貸付としてこれまでに払った掛け金の一定範囲でお金を借りることもできます。

年金同様に差押禁止債権であり、破産した場合でも自由財産として扱われるため確定拠出年金同様に万が一の際にも有効といえます。

非常に自由度が高いですが、難点としては運用によるリターンが少ないところです。小規模企業共済の利回りは平成16年以降の掛け金については1%で運用されます。

小規模企業共済の解約・元本割れリスクに関する注意点
小規模企業共済を「任意解約(自己都合による解約)」する場合、納付月数が240か月(20年)未満だと元本割れ(掛金合計額の80%~99%の受け取り)となります。
また、12か月未満での任意解約は掛け捨て(解約手当金なし)となります。
ただし、事業を廃止した場合(廃業等による共済金Aの受け取り)は、6ヶ月以上の加入で元本が確保されます。加入期間が短くなる可能性がある場合は注意が必要です。

まとめ。付加年金+個人型確定拠出年金+小規模企業共済

まとめとなりますが、個人事業主やフリーランスとして生計を立てているなら、国民年金基金は無視して、付加年金+個人型確定拠出年金(iDeCo)+小規模企業共済の3つを軸に保険料(掛け金)を配分するのがお勧めです。

保険・共済 どんなメリット・特徴がある?
付加年金 月額たったの400円で老後の保障は大きくアップするので、必ず入っておきたい制度です。
個人型確定拠出年金
(iDeCo)
全額所得控除という税メリットが大きい。フリーランスなら掛け金は年最大81.6万円(2026年12月以降は年最大90万円)まで可能です。運用益も課税されませんが、運用に失敗したら自己責任となります。
小規模企業共済 個人型確定拠出年金と併用で加入可能です。掛け金は年最大84万円(月額70,000円)です。
任意解約で元本割れしないためには20年以上の加入が必要ですが、契約者貸付が利用できるなど個人事業主やフリーランス向けにうれしい面も大きいです。

とりあえず付加年金には加入しておいて、個人型確定拠出年金と小規模企業共済について収入に応じてそれぞれを上手に配分するといった方法もよさそうです。

ちなみに、2026年12月以降にiDeCo(最大年90万円)と小規模企業共済(最大年84万円)を両方満額併用すれば、年間で174万円もの所得を圧縮できるということになりますね。個人事業主やフリーランスの節税対策としてもかなり有効な手段になるかと思います。

付加年金の申し込み

市区町村の役所窓口のほか、年金事務所、一部の郵便局で手続きが可能です。また、現在はマイナポータルを利用したスマートフォン等からのオンライン申請にも対応しており、利便性が向上しています。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の申し込み

個人で取り扱っている証券会社や銀行を通じて申し込みます。お勧めの証券会社については「個人型確定拠出年金(iDeCO)のおすすめ証券会社を比較」の記事で比較しているのでこちらもぜひご一読ください。

小規模企業共済の申し込み

中小企業基盤整備機構」で申し込みができます。また、税理士さんなどがいる場合には税理士を通じて申し込みをすることも可能です。

以上、自営業・個人事業主のiDeCo(確定拠出年金)と国民年金基金、付加年金を比較してみました。

ABOUT ME
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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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