個人年金と税金。生命保険料控除が利用でき年末調整、確定申告で税金が戻ってくる
個人年金に加入して保険料を支払うと、「生命保険料控除(個人年金保険料控除)」という所得税および住民税における所得控除を受けることができます。支払った年金保険料の一部を所得から控除することができるため、その分、税金を安くする(負担を軽減する)ことができます。会社員などの給与所得者の場合は年末調整で対応することができ、自営業やフリーランスなどの人は確定申告をすることで税金の負担を軽減できます。
今回はそんな個人年金の保険料控除の仕組みや、控除を受けるための条件、2026年の最新の税制特例、節税効果の具体的な金額、そして受取時の税金について詳しく紹介していきたいと思います。
個人年金保険料控除の基本
個人年金に加入した場合、支払った年金保険料の一部または全部が所得控除されます。
これは生命保険料控除の一種で、条件を満たした個人年金が対象となります。なお、生命保険料控除は平成24年(2012年)1月1日より控除の内容が変わっています。ここでは断りがない限り、現在主流となっている新契約(平成24年1月1日以降契約)について説明します。
生命保険料控除の3つの種類と控除される保険料
新契約における生命保険料控除は以下の3つに分かれています。
- 一般生命保険料控除(死亡保険など)
- 介護医療保険料控除(医療保険やがん保険など)
- 個人年金保険料控除(条件を満たした個人年金保険)
今回説明する個人年金については(3)の「個人年金保険料控除」が該当します。控除される金額は以下の表のようになります。
なお、所得税と住民税でそれぞれ計算式が異なります。
| 年間(1月1日~12月31日)の保険料 | 保険料控除額(所得税) |
|---|---|
| 20,000円以下 | 全額 |
| 20,001円~40,000円 | 保険料×50% + 10,000円 |
| 40,001円~80,000円 | 保険料×25% + 20,000円 |
| 80,001円以上 | 一律 40,000円 |
| 年間(1月1日~12月31日)の保険料 | 保険料控除額(住民税) |
|---|---|
| 12,000円以下 | 全額 |
| 12,001円~32,000円 | 保険料×50% + 6,000円 |
| 32,001円~56,000円 | 保険料×25% + 14,000円 |
| 56,001円以上 | 一律 28,000円 |
どちらにも共通していますが、支払保険料が少額であるほど所得控除の割合は大きくなっています。
所得税の場合、2万円以下なら100%、4万円以下なら75%~100%未満、8万円以下なら50%~75%未満、それ以上なら「4万円÷保険料」となり、控除額の割合は50%未満ということになります。
【2026年(令和8年分)の特例措置について】
2026年分の所得税に関して、23歳未満の扶養親族がいる世帯に限り、一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に一時的に拡大される特例が設けられています(1年限りの時限措置の見通し)。
ただし、今回解説している「個人年金保険料控除」の枠(上限4万円)に変更はありません。また、3枠合計の上限(12万円)も据え置きとなります。
この辺りの税制上の優遇は大きいものの、同じく任意で加入できる個人型確定拠出年金(iDeCo)の方がより節税効果は高くなります。
個人年金控除(所得控除)の税効果・節税効果
実際に、上記の節税効果はどの程度なのでしょうか?
まず、税制上の控除には「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。所得控除は税金を計算する基準となる所得自体を減らすもの。税額控除は計算された後の税金そのものを直接減らすものです。詳しくは以下の記事で説明しています。
今回の個人年金保険料控除は「所得控除」であるため、課税対象となる所得を小さくできます。日本の所得税は以下のように計算されます。
(所得 - 所得控除) × 税率 = 税金
そのため、個人年金控除による節税効果は「所得控除額 × 税率 = 節税額」となるわけです。
たとえば、年間に5万円の個人年金保険料を払っている人で、所得税率が20%、住民税率が10%の人は以下の節税効果があります。
所得控除額(所得税):5万円 × 25% + 20,000円 = 32,500円
所得控除額(住民税):5万円 × 25% + 14,000円 = 26,500円
32,500円 × 20%(所得税率) = 6,500円
26,500円 × 10%(住民税率) = 2,650円
上記合計の9,150円分だけ税金が安くなるということになります。もともと5万円の保険料を払っているわけですから、このケースでは年間保険料の18.3%分が事実上還付された(割引された)ということになるわけです。
個人年金控除は所得が多い人ほど効果的
前述のように日本の所得税は累進課税制度をとっており、所得が多い人ほど税率が高くなります。税率は所得に応じて5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%となっています。
前項の計算は所得税率20%のケースですが、税率が低いと事実上の還付分はより少なく、高いとより多くなります(年間保険料5万円の場合)。
- 税率5%:4,275円(節税率 8.55%)
- 税率10%:5,900円(節税率 11.8%)
- 税率20%:9,150円(節税率 18.3%)
- 税率23%:10,125円(節税率 20.25%)
- 税率33%:13,375円(節税率 26.75%)
- 税率40%:15,650円(節税率 31.30%)
このため、高所得者ほど控除を活用したほうがお得になる計算です。
個人年金保険料の控除を受けるための条件
この控除を受けるには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
- 年金の受取人は契約者本人または配偶者であること
- 年金の被保険者と受取人は同一であること
- 保険料払い込み期間は10年以上であること
- 受け取りが確定年金である場合は、年金の支払開始日は60歳以上、かつ支払期間が10年以上であること
さらに、上記の条件を満たしたうえで、保険契約に「個人年金保険料税制適格特約」を付加する必要があります。この特約が付いていない個人年金保険は、「個人年金保険料控除」の枠ではなく、「一般生命保険料控除」の枠に合算されてしまいます。加入時や見直し時には、証券を確認して適格特約が付加されているか必ずチェックしましょう。
年金の受取人は契約者本人または配偶者であること
たとえば契約者(保険料を払う人)が夫という場合、その保険金(年金)の受取人は本人か妻(配偶者)でないといけません。ただし、夫が払った年金を妻が受け取る場合、夫から妻に対する贈与とみなされ、贈与税が課せられる可能性があります。
よほどの理由がない限りは「契約者=受取人」としておくべきです。
年金の被保険者と受取人は同一であること
被保険者というのは保障の対象者です。「夫が契約者で、夫が被保険者かつ受取人」、または「夫が契約者で、妻が被保険者かつ受取人」というケースで個人年金保険料控除が使えます。
重複になりますが、後者のケースでは妻に贈与税が発生する点に注意が必要です。
保険料払い込み期間は10年以上
一時払い(一括払い)のような保険料の支払い方だと個人年金保険料控除の対象になりません。たとえば55歳まで年金保険料を支払うという個人年金の場合、46歳以上の人は支払期間が10年未満となるため控除の適用外となります。上記の場合は45歳以下で加入する必要があります。
年金の支払開始日は60歳以上、かつ10年以上であること
年金の受け取り開始年齢は60歳以上である必要があり、年金の受給期間(確定給付期間)は10年以上ないと条件を満たしません。60歳以上で受け取っても、年金支払期間が5年しかないというような個人年金は控除対象外となるわけです。
個人年金保険料は受取時に課税される?
個人年金保険料控除は、保険料を支払うときには所得控除の対象となり税負担を軽減してくれます。では、受け取るときはどうなるのでしょうか?
受取方法には大きく分けて「年金形式での受取」と「一括での受取」があり、それぞれ税金の計算方法が異なります。
年金で受け取る場合(雑所得)
年金形式で分割して受け取る場合、その収入は「雑所得」として扱われます。雑所得は、収入から必要経費を差し引いた金額が該当し、他の所得と合算して課税されます。
個人年金保険の場合は、総収入金額(1年あたりの年金額)に対して、払込保険料のうち今年の年金額に相当する金額を「必要経費」として差し引くことができます。
以下に計算例を挙げてみましょう。
- 払い込み保険料の総額:500万円
- 年金の支給期間:10年間
- 1年あたりの年金受取金額:60万円(総額600万円)
上記のケースで計算してみます。1年間の収入は60万円になります。
必要経費は、支払った保険料総額(500万円)を年金の総支給見込み額(600万円)で割った割合を、受け取った金額に掛けて計算します。
60万円 × (500万円 ÷ 600万円) = 50万円(必要経費)
60万円(収入) - 50万円(必要経費) = 10万円(雑所得の額)
一括で受け取る場合(一時所得)
年金としてではなく、一時金として一括で受け取る場合は「一時所得」として課税されます。
一時所得の計算式は以下の通りです。
(受取金額 - 払込保険料総額 - 特別控除50万円) × 1/2 = 課税対象となる一時所得
たとえば、払込保険料総額が500万円で、一括受取額が540万円だった場合、利益は40万円です。この場合、特別控除の50万円を引くとゼロになるため、実質的に非課税となります。年金受取と一括受取で手取り額が変わるため、受取開始時期には税金の仕組みを考慮して選択することが大切です。
個人年金受給者の確定申告は必要?
個人年金を受け取っている場合、税金の確定申告は必要なのでしょうか?状況によって異なります。
他に収入がない方
2026年現在、所得税の基礎控除額は48万円(合計所得金額2,400万円以下の場合)です。したがって、他に収入がなく雑所得が年間48万円以下であれば、確定申告は不要です。さらに2025年分以降の改正により、所得が132万円以下の場合は最大95万円まで控除が拡大されるケースもあります。
給与収入がある会社員など
給与所得以外の所得(個人年金などの雑所得)が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です(住民税の申告は必要です)。ただし、医療費控除やふるさと納税などで確定申告を行う場合は、20万円以下の雑所得であっても併せて申告する必要があります。
公的年金等の収入がある方
公的年金等の収入金額が年間400万円以下であり、かつ公的年金等以外の所得(個人年金などの雑所得)が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。こちらも、医療費控除等で申告を行う場合は合算して申告します。
個人年金の受取による利益が少額であれば、多くの方は「申告不要」の条件を満たせそうです。
他の運用手段(iDeCo)も検討してみよう
老後の資金準備のために個人年金保険に入ろうと思うのであれば、民間保険会社の年金だけでなく、個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)も必ず検討するべきです。
iDeCoは、掛金が全額所得控除になるため、最大4万円しか控除されない個人年金保険料控除よりも圧倒的に高い節税効果を得られます。運用益も非課税となり、受取時にも退職所得控除や公的年金等控除といった税制優遇が受けられます。
【2026年12月からのiDeCo制度改正】
2026年12月より、企業年金がない会社員のiDeCo掛金上限が「月額2.3万円」から「月額6.2万円(年間74.4万円)」に大幅に引き上げられる予定です。
たとえば年収600万円(所得税・住民税率の合計20%)の方が上限まで掛金を拠出した場合、年間の節税額は約14万8,000円にもなり、個人年金保険とは比べ物にならない効果があります。
ただし、iDeCoは原則として60歳まで資金を引き出すことができないという流動性の制限があります。ご自身のライフプランや貯蓄状況に合わせて、手堅い個人年金保険と、節税効果の高いiDeCoを上手に使い分けることが重要です。
以上、個人年金保険に加入したときの税制上のメリットや注意点、特例措置、そして年金受給時の税金についてまとめました。
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