教育訓練給付金で資格取得やリスキリング費用を抑える方法
資格取得、ITスキルの習得、専門学校や大学院での学び直しなど、自分の稼ぐ力を高めるための自己投資にはお金がかかります。そんなときに必ず確認しておきたい公的制度が、雇用保険から受講費用の一部が戻ってくる教育訓練給付金です。

教育訓練給付制度は、現在「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3種類に分かれています。2024年10月以降は一部の給付率が引き上げられ、専門実践教育訓練では条件を満たすと最大80%・年間上限64万円まで戻る仕組みになっています。

この記事では、2026年5月時点の制度内容をもとに、教育訓練給付金の対象者、給付率、申請手順、失業保険や職業訓練との使い分けを整理します。

この記事の結論

  • 教育訓練給付金は、雇用保険から受講費用の一部が戻る制度
  • 対象講座は厚生労働大臣が指定した講座に限られる
  • 一般教育訓練は20%・上限10万円
  • 特定一般教育訓練は最大50%・上限25万円
  • 専門実践教育訓練は最大80%・年間上限64万円
  • 特定一般・専門実践は受講開始前の手続きが重要
  • 失業中なら公共職業訓練や求職者支援制度との比較も必要

教育訓練給付金とは?

教育訓練給付金とは、働く人や離職した人の主体的なスキルアップ・キャリア形成を支援するため、厚生労働大臣が指定した教育訓練を受講・修了した場合に、受講費用の一部が支給される雇用保険の給付制度です。

雇用保険というと失業手当をイメージしがちですが、実は資格取得やリスキリングにも活用できます。会社員、契約社員、派遣社員、パートなどでも、雇用保険の加入期間などの要件を満たせば利用できる可能性があります。

ポイント
教育訓練給付金は「講座を受ければ誰でももらえる給付金」ではありません。対象講座であること、雇用保険の加入期間を満たすこと、期限内に申請することが必要です。

教育訓練給付金は3種類ある

教育訓練給付金は、対象講座の内容やキャリア形成への効果に応じて、次の3種類に分かれています。

制度 主な対象 給付率・上限 初めて使う場合の雇用保険加入期間
一般教育訓練 資格講座、語学、IT、簿記など幅広い講座 20%・上限10万円 1年以上
特定一般教育訓練 速やかな再就職・早期キャリア形成に役立つ資格など 40%・上限20万円
追加要件で最大50%・上限25万円
1年以上
専門実践教育訓練 中長期的なキャリア形成に役立つ専門的講座 50%・年間上限40万円
追加要件で最大80%・年間上限64万円
2年以上

2回目以降の利用では、原則として前回の受講開始日以降に3年以上の雇用保険加入期間が必要になります。以前に教育訓練給付金を使ったことがある人は、次の受講開始日との間隔も確認しておきましょう。

一般教育訓練給付金:20%・上限10万円

一般教育訓練給付金は、最も利用しやすいタイプです。対象講座を修了すると、教育訓練施設に支払った入学金や受講料などの20%が支給されます。ただし、上限は10万円で、支給額が4,000円以下の場合は支給されません。

対象講座は、簿記、FP、宅建、ITパスポート、語学、医療事務、パソコン系講座など幅広く、通信講座にも対象講座があります。

一般教育訓練が向いている人

  • 働きながら資格取得やスキルアップをしたい人
  • まずは比較的短期・低コストの講座から始めたい人
  • 転職や副業の準備として基礎資格を取りたい人

特定一般教育訓練給付金:最大50%・上限25万円

特定一般教育訓練給付金は、速やかな再就職や早期のキャリア形成につながりやすい講座を対象とした制度です。

通常は受講費用の40%・上限20万円が支給されます。さらに、2024年10月1日以降に受講を開始した場合、資格取得や就職など一定の追加要件を満たすと、給付率が最大50%・上限25万円まで引き上げられます。

主な対象講座の例

  • 介護職員初任者研修、介護支援専門員実務研修
  • 大型自動車免許、第二種免許など
  • 宅地建物取引士、税理士、行政書士など
  • ITSSレベル2以上のIT関係資格取得講座など

特定一般教育訓練を利用する場合は、受講開始前に訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成するなどの事前手続きが必要です。

専門実践教育訓練給付金:最大80%・年間上限64万円

専門実践教育訓練給付金は、中長期的なキャリア形成に役立つ専門的な講座が対象です。専門学校、大学院、IT・デジタル分野、医療・福祉系資格など、費用も期間も大きくなりやすい講座で活用されます。

給付の基本は、受講費用の50%・年間上限40万円です。さらに修了後に資格取得や就職などの要件を満たすと70%・年間上限56万円となり、2024年10月以降に受講開始した場合は、賃金が受講開始前と比べて5%以上上昇するなどの追加要件を満たすことで、最大80%・年間上限64万円まで支給されます。

支給の段階 給付率 上限額
受講中・修了時の基本給付 50% 年間40万円
資格取得・就職などの追加要件を満たす場合 70% 年間56万円
さらに賃金が5%以上上昇した場合など 80% 年間64万円

主な対象分野の例

  • 介護福祉士、看護師、美容師、調理師、保育士など
  • 教職大学院、法科大学院、MBAなどの専門職大学院
  • 情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリストなどの高度IT資格
  • AI、データサイエンス、セキュリティなどの専門講座
  • 専門職大学、専門職短期大学、職業実践専門課程など

離職者は教育訓練支援給付金も確認する

専門実践教育訓練を受講する離職者で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす場合は、受講中の生活を支えるための教育訓練支援給付金を受けられる可能性があります。

教育訓練支援給付金は時限措置として、現在のところ2027年(令和9年)3月31日まで延長されています。支給額は、雇用保険の基本手当日額の60%相当額です。

注意
教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練を受ける人なら必ずもらえる制度ではありません。年齢、離職状態、受給資格、受講開始時期などの要件があるため、必ずハローワークで確認しましょう。

申請手続きの流れ

教育訓練給付金は、種類によって申請タイミングが異なります。特に特定一般教育訓練と専門実践教育訓練は、受講開始前の手続きが重要です。

特定一般・専門実践で必要な主な流れ

  1. 教育訓練講座検索システムで対象講座か確認する
  2. ハローワークで受給資格を確認する
  3. 訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成する
  4. 受講開始日の14日前までに受給資格確認の手続きを行う
  5. 受講開始・受講中の支給申請を行う
  6. 修了後、原則1か月以内に支給申請を行う
  7. 追加給付の要件を満たした場合は追加支給の申請を行う

一般教育訓練は、受講修了後に支給申請を行うのが基本です。ただし、申請期限や必要書類は制度の種類や受講内容によって異なります。受講開始前にハローワークまたは公式ページで確認しておくと安心です。

対象講座の探し方

教育訓練給付金を使うには、厚生労働大臣が指定した対象講座である必要があります。講座名が似ていても、指定期間外だったり、同じ学校の別講座が対象外だったりすることがあります。

まずは厚生労働省の教育訓練講座検索システムで、講座名、資格名、分野、地域、通学・通信などの条件から検索しましょう。

講座選びで確認したいこと

  • 教育訓練給付金の対象講座か
  • 一般・特定一般・専門実践のどれに該当するか
  • 指定期間内に受講開始できるか
  • 受講料以外に教材費・試験料・交通費がかかるか
  • 修了要件、出席要件、試験要件を満たせそうか
  • 取得した資格が転職・昇給・副業にどうつながるか

給付率だけで講座を選ぶのは危険です。給付金で安くなるとしても、時間とお金を使う以上、その講座が自分のキャリアにどれだけ効くのかを考える必要があります。自己投資として考えるなら、以下の記事も参考になります。

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失業保険や職業訓練との使い分け

失業中の場合、教育訓練給付金だけでなく、公共職業訓練や求職者支援制度も比較しましょう。

公共職業訓練や求職者支援訓練は、受講料が無料または低負担で、失業手当の給付制限が解除されたり、訓練期間中の生活支援を受けられたりする場合があります。すでに退職していて再就職を目指している人は、教育訓練給付金よりも職業訓練の方が有利になるケースがあります。

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雇用保険を受給できない人や、失業手当が終わった人は、求職者支援制度や生活福祉資金貸付制度なども確認しておくとよいでしょう。

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まとめ:給付金は「資格代の割引」ではなくキャリア投資として使う

教育訓練給付金は、資格取得やリスキリングの費用を大きく抑えられる便利な制度です。特に専門実践教育訓練では、条件を満たせば最大80%・年間上限64万円まで戻るため、看護・介護・IT・専門職大学院など本格的な学び直しを考える人にとっては大きな支援になります。

一方で、給付金が出るからといって、どの講座でも受ければ得というわけではありません。大切なのは、その学びが収入アップ、転職、再就職、副業、現在の仕事の評価向上にどうつながるかです。

まずは公式の講座検索システムで対象講座を確認し、ハローワークで受給資格を確認しましょう。そのうえで、自分のキャリアに必要な講座かどうかを見極めて活用するのがおすすめです。

参考情報

ABOUT ME
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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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