所得税・住民税 PR

年間10万円以下の医療費でも医療費控除を受ける方法と夫婦のどちらで申告すべきか?

記事内にプロモーションを含む場合があります

確定申告のシーズンですね。去年は医療費がたくさんかかったなぁという方は医療費控除の申告をしましょう。医療費控除は1月1日~12月31日までにかかった医療費(自分と生計を一にする親族)を所得控除できる制度となっています。

ただ、医療費控除を利用するには一般に年間で10万円以上の医療費がかかっていることが前提となります。結構かかったけど、10万円には到達してないな……そういう方でも医療費控除の申告ができる場合があります。

また、共働き世帯の場合、医療費控除は通常は所得が多い人で申告するほうが有利です。そんな医療費控除の仕組みを詳しく見ていきましょう。

医療費控除の仕組みと計算方法

[bloglink url=”https://money-lifehack.com/tax/2449″]

医療費控除の詳しい仕組みについては上記記事もご参照ください。

控除金額=1年間の医療費合計-医療保険の保険金などによる補てん-10万円(※)
※所得が200万円未満の方の場合は、総所得の5%

となっています。そのため、年間に10万円以上の医療費がかかっていないと使えないわけですね。ただし、※で書いている“所得が200万円未満の方の場合は、総所得の5%”という条件もあるわけです。

 

所得が200万円になる人の収入はいくら?収入と所得の関係

所得というものは、収入からその収入を得るための必要経費を控除したものです。

個人事業主の方であれば「仕入れ・必要経費」がそれに該当し、サラリーマンやパートの場合は「給与所得控除」というものがあり給与から控除を差し引いた額が所得です。詳しく知りたい方は以下記事も参考にしてください。

[bloglink url=”https://money-lifehack.com/education/2050″]

さて、医療費控除における「所得200万円以下の方は総所得の5%」という表現ですが、サラリーマンの方なら年収がおよそ312万円=所得200万円となります。つまり、収入が312万円以下の方であれば、医療費控除を受けるにあたっての最低金額はもっと少なくなるわけです。

 

年収別の医療費控除の最低点

具体的な年収別の医療費控除の最低点を計算してみました。およそ以下のようになりますので、最低点以上の医療費を支払っていれば医療費控除が利用できる可能性が高いです。

年収(額面) 所得(収入-給与所得控除) 医療費控除最低点
300万円 192万円 9.6万円
250万円 157万円 7.85万円
200万円 122万円 6.1万円
150万円 85万円 4.25万円

こんな感じになります。

年収が200万円の方であれば61,000円以上の医療費がかかっていればそれを超えた金額分は医療費控除として所得控除できるようになるわけです。

 

“年収が少ない人”が医療費控除を使うほうがお得な場合もある

医療費控除のような所得控除は基本的には“所得税率の高い高所得者が利用するほうがお得”になります。

  • 195万円以下:5%
  • 195万円超330万円以下:10%
  • 330万円超695万円以下:20%
  • 695万円超900万円以下:23%
  • 900万円超1800万円以下:33%
  • 1800万円超4000万円以下:40%
  • 4000万円超:45%

所得控除によって所得が小さくなるわけですが、それによる節税額は「所得控除額×税率」となるので、同じ10万円の所得控除でも税率5%の人なら5000円の節税ですが、税率20%の人なら2万円の節税となります。

ただし、今回の医療費控除のように適用されるにあたっての「最低点」がある場合はその限りではありません。

 

年収と年間医療費別の医療費控除還付額

以下は年収別の年間医療費とそれによって還付される所得税+住民税の金額を示したものです。

※医療費控除による所得税+住民税の還付額の合計を試算。

年収800万円
(税率30%)
年収500万円
(税率20%)
年収200万円
(税率15%)
年間医療費14万円 12,000円還付 8,000円還付 11,850円還付
年間医療費12万円 6,000円還付 4,000円還付 8,850円還付
年間医療費10万円 還付なし 還付なし 5,850円還付
年間医療費8万円 還付なし 還付なし 2,850円還付

これは控除最低点(10万円)が所得200万円(年収だと312万円くらい)以下から小さくなっていくためですね。年収200万円だとかかった医療費から「10万円差し引き」でなく「6.1万円差し引き」でよいため控除額が大きくなるんですね。

 

共働きの場合はどっちで医療費控除を申告するかを考えよう

実際のところ、夫婦のどちらで申告するべきなのかは詳しく計算してみないとわかりません。

上記の試算はあくまでも一般的なケースであって、他の扶養控除や生命保険料控除、社会保険料控除などの所得控除の有無によっても変わってきます。

なので、厳密なところでは計算してみないと分からない部分もあります。

 

共働きでも医療費控除の合算して申告はできるのか?

可能です。共働きであっても、たとえば妻が家族全員の医療費を出しているというのであれば妻が家族分の医療費控除を申告することができます。

また、生計を同一というのは同居を条件としているわけではありません。単身赴任などで住まいが別でも合算可能ですし、大学生の子どもが下宿している場合でも、その医療費は合算可能です。

 

医療費控除は10万円以下でも利用できる可能性がある

医療費控除は年間の医療費が10万円超ないと使えないと思っている人も多いのですが、年収が300万円以下であればそれ未満の医療費でも控除を利用することができます。

医療費控除は病院の費用だけでなく、治療のための交通費や市販薬の購入なども含まれます。また、2017年分からは「セルフメディケーション税制(自主服薬税制)」もスタートしており、年間12000円以上の市販薬こうにゅでも税控除が可能となっています。

 

対象になりそうであれば、一度領収証を整理してみましょう。また、医療費はいつまとまった支出が発生するかわかりませんので、できるだけ領収証は保管しておくようにしましょうね。