お得な制度として知られている“ふるさと納税”は、税金が安くなって、お礼の品ももらえるということで人気を集めています。ただ、お得な制度という情報ばかりが先行しているように思います。
今回はそんな“ふるさと納税で損をする人”ということをテーマに、ふるさと納税の損得について、家計やキャッシュフロー、あるいは収入による寄付とお礼の品の関係についてまとめていきたいと思います。
ふるさと納税のデメリットもしっかりと理解しておこう
ふるさと納税は上手に使えばお得な制度であることに間違いはありません。
でも、“上手に使えれば”です。間違った使い方や認識で寄付をすると思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれませんよ。
そんな思わぬ落とし穴といえる項目としては大きく
- それなりの手間や手続きが必要
- お金が戻ってくるのは来年(ずれがある)
- 寄付可能額が少ない人はほとんど得できない
- そもそもお礼の品は本当に欲しいもの?
それなりの手間や手続きが必要
ふるさと納税は寄付をして終わりではありません。寄付をしたあとに手続きをしないと税金が戻ってきません。ただの寄付で終わってしまいます。
大きく「ワンストップ特例制度を利用」「確定申告(還付申告)をする」という2つの方法があります。ワンストップ特例は確定申告をしない人向けの制度です。
ワンストップ特例制度を利用する場合
- 寄付時にワンストップ特例制度を利用する旨を伝える
- 自治体から用紙が届くので記入+身分証明書+マイナンバーのコピーを添えて提出
となります。手間といえばこの程度ではありますが、5か所の自治体に寄付をした場合は5通作成する必要があります。2016年以降はマイナンバーが必要になったのでコピーする必要が出てきて面倒になりました。
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確定申告(還付申告)を利用する場合
給料以外の収入がある、株の確定申告が必要、医療費控除などを受ける、6か所以上に寄付(ふるさと納税)をしたというのであれば申告が必要になります。還付申告自体はパソコンからも可能です。
この場合は申告書と寄付金受領証明書を合わせて申告(郵送)する必要があります。
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いずれの方法も数時間あれば作業自体は終わりますが、こういったことになれていない方にとっては面倒に感じるかもしれませんね。
お金が戻ってくるのは来年(家計のキャッシュフロー的な痛手)
ふるさと納税はお金が戻ってくるのは戻ってくるのですが、それは寄付をしたあとずいぶん先になってからです。
どのタイミングで戻ってくるのかについては、ワンストップ特例制度を利用した場合と確定申告を利用した場合とで違います。ちなみに戻ってくる金額自体はどちらの方法でも同じです。タイミングがずれるだけですね。
ワンストップ特例制度 | 来年の住民税が安くなる形で還元されます。 サラリーマンの場合は来年の6月から再来年の5月まで徴収される住民税が安くなる形となります。 サラリーマン以外の方は年4回(1期分-6月末支払分、2期分-8月末支払分 3期分-10月末支払分 4期分-1月末支払分)ですね。 |
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確定申告 | ふるさと納税を確定申告した場合、所得税の還付と住民税が安くなるという2段構えとなります。所得税還付分は還付申告から数週間後、住民税分はワンストップ特例制度を利用した場合と同じです。 |
今年寄付したお金が戻ってくるのに1年以上かかる
たとえば、2017年の2月にふるさと納税(寄付)をしたとしましょう。この場合、寄付をしたお金が戻ってくるのは来年になってからです。仮に10万円を寄付して、ワンストップ特例制度を利用した場合を考えてみましょう。
自己負担を除く98,000円が還付されるわけですが、2018年の6月(5月労働分)から2019年の5月にかけて住民税が毎月8100円くらい安くなる形で1年以上という時間をかけてもどってくるわけですね。
タイミング的には年末のふるさと納税がいいけど
ふるさと納税(寄付)と税金が戻ってくるタイムラグを小さくしたいのであれば年末の寄付がおすすめということになります。
ふるさと納税は2017年分といった1年で一つです。2017年1月の寄付でも2017年12月の寄付でも戻ってくるのは2018年6月~2019年5月(住民税・ワンストップ特例)です。年始と年末とで戻ってくる時期が約1年も変わるわけです。
ただ、年末になるとふるさと納税は駆け込みが増えて、希望のお礼の品が売り切れになるなどの問題もあります。
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寄付可能額が少ない人はふるさと納税はあまり得できない
この点はご存知の方も多いと思いますが、ふるさと納税を最低自己負担額(2000円)で寄付できる金額はその人の収入(所得)によって変わってきます。
年収が高い人ほど寄付可能な金額が大きくなり、年収が少ないと、どうしても寄付可能額は小さくなります。
そもそもが、ふるさと納税は“払った税金が戻ってくる”というシステムになっています。なので、所得税や住民税などの税金をそもそも払っていないという人は寄付をしても戻ってくる税金がないので、還付はありません。
年収300万円なら28,000円ほど寄付可能ですが、年収200万円なら15,000円、年収150万円なら8,000円ほどになります(独身または共働き)。
お礼の品の価値は寄付額の30%程度が目安
もちろん、ふるさと納税で受け取ることができるお礼の品の価値が2000円を超えていれば、ふるさと納税をする価値があります。一方で、ふるさと納税のお礼の品の価値はおおよそ寄付額の30%程度が目安となっています。
2016年までは50%を超えるような返礼率のお礼も多かったのですが、2017年に総務省が30%以下とするように通達を出したことでおおむねこの水準になっています。
仮に30%のお礼の品がもらえるとして、寄付額とお礼の品の価値、2000円の自己負担を考えると、ふるさと納税でいくら得するかは以下のようになります。
寄付可能額 | お礼の品の目安 | 自己負担との差 | |
---|---|---|---|
年収300万円 | 28,000円 | 8,400円相当 | 6,400円お得 |
年収200万円 | 15,000円 | 4,500円相当 | 2,500円お得 |
年収150万円 | 8,000円 | 2,400円相当 | 400円お得 |
年収150万円の方でも得といえば得なのですが、わざわざ寄付をして手続きまでして戻ってくるのがこの金額か……となると、お礼の品を目的としてあえてふるさと納税をするメリットはほとんどないといえそうです。
あえて、損得ラインを上げるとすれば年収200万円以上くらいからといったところでしょうか。
そのほかの控除が大きい人も要注意
また、上記の損得ライン以上の方でも以下のような方は、各種控除によって変わってくることがあります。上記はあくまでもサラリーマン(独身・共働き)の一般的なケースです。
税金の計算は「収入-経費-各種所得控除=課税所得」となります。
ふるさと納税の限度額は“課税所得”をベースに決まりますので、所得控除が
- 妻(配偶者)を扶養してる(配偶者控除・配偶者特別控除)
- 高校生以上の子どもや両親などを扶養している(扶養控除・特定扶養控除)
- シングルマザー(ファザー)である(寡婦控除・寡夫控除)
- 生命保険、個人年金などに加入している(生命保険料控除)
- iDeCo(イデコ)に加入している(小規模企業共済等控除)
このような場合は、状況に応じて所得控除が行われますので、その控除相当額を収入から差し引いて考える必要があります。より詳しい計算方法については以下の記事を参考にしてみてください。
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そもそもお礼の品は本当に欲しいもの?返礼品の選び方
最後に考えたいのがふるさと納税の“お礼の品の選び方”です。
とにかくお得だから何でもいいから寄付しとけというのも一つの考えかとは思いますが、使わないもの、いらないものをもらっても無駄です。ふるさと納税の寄付サイトはいくつもあり、お礼の品の特徴もあるので、上手に利用してください。
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ふるさと納税というと、お米やお肉、魚介類、果物などの地域特産品のお礼の品が多いのですが、独身の方などはそんなに食べきれないという声もよく耳にします。そういう人は以下のようなふるさと納税サイトもおすすめです。
ふるなびグルメポイントならふるさと納税で外食できる
ふるなびグルメポイントは、ふるさと納税で寄付をするとポイントがもらえ、そのポイントを使って外食ができるというサービスです。2017年11月時点では東京、大阪、名古屋、神奈川とエリアがやや限られているに注意が必要です。
寄付先に応じて、常陸牛、飛騨牛、松坂牛、ふぐなどを各提携店で食べることができます。
寄付金額の30%が“ふるなびグルメポイント”として付与され、1ポイント1円として使えますので、実質30%還元となります。
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まとめ。ふるさと納税はお得だけど上手に使おう
ここまで紹介したように、ふるさと納税についてはいくつかの注意点や収入水準によっては寄付をしてもあまりお得でないという面も理解しておくべきです。
損をする人、得をする人と書きましたが、前述のように手続きをしなければならないというのと、払った寄付金と戻ってくるお金のタイミングにずれがあるという点を除けば、年収ベースで200万円を超える人であれば、寄付をする経済的なメリットは十分に出てくると思われます。
上手にふるさと納税ライフを楽しんでください。
以上、ふるさと納税で損する人と得する人。損得ラインはどこにある?というお話でした。
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