働いている会社がある日、突然倒産してしまった。今回はそんなひどい目にあった時に、そこで働いている社員やアルバイト、パートがどうするべきか?ということについて紹介していきます。
会社の倒産には破産や廃業のように消滅するケースもあれば、民事再生、会社更生といったように再建を目指す場合があります。
前者はもちろんですが、後者のケースでも従業員が解雇されることがありますので、解雇された後のことも考える必要があります。勤務先が倒産するといろいろ大変ではありますが、まずは行動しましょう。
解雇された社員・アルバイト・パートがやるべきこと
会社が倒産したとき働いていたすべての社員(アルバイト、パートを含む)がやるべきことをまとめます。
一番にやることは会社が破産した場合、裁判所から破産管財人となる弁護士が選任されます。今後の破産手続きについてはこの管財人に問い合わせることになりますので、連絡先を控えていつでも連絡できるようにしましょう。
続いて、このやるべきことには大きく2つがあります。
- 倒産した会社に対する債権(未払い給与や退職金)をとりもどす
- 生活再建、再就職先を探す
勤務先から未払いの給与等の債権を取り戻す
会社で働いていた労働者の給料は月末締めの翌月10日払いといったように一般的に後払いとなっています。
この場合、会社は倒産したとしても働いてきた従業員に対する未払い給与という債権があります。
また、退職金制度がある場合も同様で債権となります。
ただ、会社が倒産した場合、債務の支払い能力がないケースも多いです。
未払賃金立替払制度を利用する
一定の条件を満たした会社が倒産したときで、賃金が支払われないまま倒産した労働者に対して未払い賃金の一部を立て替え払いする制度があります。
これが「未払賃金立替払制度」です。
立て替え払いされる金額は未払い額の8割が上限となります。なお、これには未払いの退職金も含まれます。
今後の再就職のため、生活のためにも当座のお金は必要になるはずですので早めに動きましょう。相談先は所轄の労働基準監督署です。
未払い給与があり、会社が支払いを行えないような場合は早めに制度を利用しましょう。
ちなみに未払賃金立替払制度は「独立行政法人 労働者健康安全機構」が実施しています。
未払賃金立替払制度の制度の詳しい内容や相談については「 未払賃金の立替払事業(労働者健康安全機構)」からも行えます。
立替制度から漏れた債権はどうなる?
未払賃金立替払制度の対象にならない債権はどうするか?というと破産手続き等の中で換価された会社の残余財産から配当を受けることになります。
どのくらい戻ってくるものなのかというと、それは倒産した会社の状況によって変わってきます。
資産がたくさん残っている状況で諦めてしまったケースだと配当が多いかもしれませんが、ギリギリまで資産を切り売りして大幅な債務超過、税金も滞納しているというようなケースでは分配はあまり期待できません。
勤務先が倒産しても関係ない財産もある
ちなみに、給料から天引きされている財形貯蓄を利用している場合はそもそも会社の管理外なので保全されています。
また、企業型確定拠出年金や中退共などの外部積立の年金・退職金もこちらも守られているので、勤務先が倒産してもこれまでの掛金分は守られます。ご安心ください。
生活再建、再就職先を探す
勤務先が倒産したからといって自分の生活まで破綻してはいけなせん。
セーフティーネットを活用しながら生活の再建と再就職先を探すという行動をとらなければなりません。
失業給付を受ける
雇用保険に加入していた場合、失業期間中は失業給付を受けることができます。手続きはハローワークです。今回は勤務先が倒産したケースとなりますので会社都合で待期期間などなしで失業保険を利用することができます。
ちなみに、給付額、給付期間は勤続年数などによって異なります。詳しくは下記の記事でもまとめているのでご一読ください。
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社会保険から外れるので国民健康保険と国民年金の手続きをする
勤務先で社会保険に加入していた場合は、倒産(退職)によって脱退することになります。
この場合「健康保険+厚生年金」から「国民健康保険+国民年金」への切り替えが必要になります。
会社都合の解雇だと国保の保険料を減額してもらえる
国民健康保険は保険料が高いといわれていますが、勤務先が倒産して解雇(会社都合)となった場合、保険料が減額されるという仕組みがあります。
健康保険から国民健康保険に切り替えるときには必ずこの減額を申請してください。
国保の保険料は前年所得で決まりますが、これを30/100として計算してくれます。前年所得が300万円なら100万円ということになります。実際の保険料の計算は自治体によって異なります。
国民年金は支払いが必要だが“免除”や“猶予”ができる
厚生年金から国民年金に切り替わります。こちらは月額固定で年金保険料の支払いが必要となりますが、勤務先が倒産した場合などは免除が受けられます。ただし、パートナー(あるいは同居の両親)が働いているなどして世帯所得が一定を超えている場合は減免できない場合があります。
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共働きなら妻(夫)の社会保険の扶養に入るという手もある
また、社会保険上の扶養に入っている配偶者がいる場合、配偶者は第3号被保険者から第1号被保険者になるので、そちらの手続きも必要となります。
一方で夫婦がどちらも正社員などで社会保険に加入している場合で、たとえば夫の勤務先が倒産した場合、夫は妻の社会保険の被扶養者として第3号被保険者となることもできます。この場合、健康保険料はかかりませんし、年金負担もありません。これは男女関係ありません。
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ただし、失業保険を受給している間は第3号被保険者となれない場合があります。
基本的には日額3,612円以上の失業保険の基本手当があるとダメです。3,612円×365=131.8万円となり、社会保険上の扶養基準である130万円を超えるためです。
協会けんぽは基本的に上記対応ですが、大企業等の健康保険組合は対応が違う場合もあるようです。後者であれば組合にご確認ください。
お金がどうしても必要な場合は公的融資を受けることもできる
勤務先が倒産してどうしてもお金が必要なんだけど、お金がないという場合は公的な融資(貸付)などを受けることができる場合もあります。
失業している場合は生活福祉資金貸付制度における「総合支援資金」による融資が受けられる可能性があります。このほかにも、再就職中に失業保険が切れてしまった場合には「求職者支援制度」などが利用できます。
公的な形で低利でお金を借りて生活の再建に役立てることができます。
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再就職先を探す
失業保険や社会保険などのセーフティーネット、公的支援なども活用しながら再就職先を探しましょう。
再就職先についてはその時々の景気や状況によっても異なりますが、ハローワークだけでなく、民間の転職支援サービスも活用しましょう。
転職サイトや転職エージェントといったようないろいろなサービスがあります。積極的に活用しましょう。
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まとめ。勤務先が倒産したらいち早く動き出そう
大企業でも倒産する時代です。普通の会社が倒産するというのはあり得ることです。新しく起業した会社は5年で8割、10年で9割が倒産するともまことしやかに言われています。統計上の真偽は不明ですが、会社というのは考えている以上にもろいです。
勤務先が倒産したからといって、自分の人生まで巻き添えになることはありません。
その時に何をするべきかを把握して、行動し、公的なセーフティーネットも活用しながら、再就職を探しましょう。
以上、働いている会社が倒産したらやるべきことについてまとめました。
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