主に投資用不動産において、売買情報サイトや投資情報サイトはたくさんありますが、そうした中でも、一般に公開されてない、いわゆる「未公開物件(非公開物件)」と呼ばれるものがあります。
インターネット等で広く出回っている物件ではないので、この未公開物件(非公開物件)の情報を求める方も多いようです。
その一方で、こうした「未公開物件=掘り出し物」という考え方は必ずしも正しくない場合があります。現役の不動産投資マンと対談した内容をまとめます。
未公開物件(非公開物件)を買うメリット
インターネットなどで物件情報を便利に探せるようになりましたが、不動産情報の中にはネットに出回ることなく非公開のまま売買が成立する「未公開物件(非公開物件)」というものがあります。
こうした物件はいわゆる“掘り出し物”もあります。販売戦略など取らなくても条件が良いのですぐに売れるから、公開しないという物件ですね。
こうした掘り出し物の物件を求めて、非公開物件はないのか?と探す不動産投資家もいらっしゃいます。
ただし、実際に対談した不動産投資会社では物件の1/3から半分くらいはインターネットで公開せずに未公開物件としているというお話でした。
実際にそうした物件が掘り出し物の物件なのか?といわれるとそれはケースバイケースであって必ずしもそうではないという事です。
未公開物件(非公開物件)はなぜ生まれるのか?
そもそも論ですが、なぜ未公開物件(非公開物件)というものが存在するのかといわれると、売主による都合によるものと、仲介する業者都合によるものがあります。
売主の都合による未公開物件
多くの非公開物件はこの売主側の都合(意向)によるものが大きいそうです。
- 自分が住んでいる家を売ることを周囲に知られたくない
- 売却スケジュールが、まだ曖昧な状況にある(新居が決まっていない)
- 懇意にしている不動産会社がいて任せている
例えば、自分が住んでいる家を売却するということをご近所に知られたくないことや売却までのスケジュール(新たな住みかが決まっていないことなど)がはっきりとしていない場合、あまり公にせずに、売りたいというニーズがあるわけです。
また、その他には特定の不動産業者一社だけに任せたいので広告活動をおこないなどケースもあります。これについては一度広告してしまうと、他の不動産業者からウチでも売らせてほしいとの問い合わせがくることがありますので、余計な問い合わせを嫌う売主は物件を未公開(非公開)にすることがあります。
仲介業者の都合による未公開物件
続いては不動産会社側の事情によるものです。
- 両手取引できそうなので自社で完結させたい(他社を間に入れたくない)
- 販売戦略の一つとして非公開にしている
不動産売買の媒介に携わる業者が受け取れる仲介手数料には上限があり、600万円を超える取引の場合には3%+6万円が一方から受け取れる手数料の上限です。
ただし、売主と買主の双方の間に立ついわゆる両手取引の場合には、売主側からの手数料、買主側からも手数料を受け取れますので、この場合の受け取れる手数料の上限は6%+12万円となり、手数料が倍になります。
このような不動産業界の手数料システムがあるため、売りやすい(条件が良い)物件の媒介を依頼された場合、あえて公開せずに自社内で完結させようとするケースもあるわけです。
このような物件は売却する不動産の状態に対しての価格が比較的安いことが多いため、購入者側からみるとお買い得かもしれません。
ただ、これは売り手からすると本来ならもっと高く売れるはずなのに、不動産仲介業者が自社の利益のために不当に安く売っているということになります。売主の立場からすれば、非公開にする理由がないのに、非公開で売ろうとするところは注意をしたほうがいいかもしれません。
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また、販売戦略の一環として非公開物件にするケースもあります。
実際に稀少性がある地域の物件などならあえて公開しないことで、稀少性・プレミアム感を煽って、即断即決させようという販売ツールとして活用している場合もあるわけです。
この他、あまりにも一般的でない物件も非公開とする場合があります。高額すぎる物件、作りが特殊で買い手を選ぶような場合も非公開物件として、合致した人だけに「非公開物件がありまして……」と紹介するほうが売買成立しやすいといいったものですね。
未公開物件(非公開物件)の注意点
そんなわけで、未公開物件(非公開物件)というものは、物件を購入したいと考えている購入者側にとって必ずしもお得というわけではないわけです。
結局のところ、未公開物件の中には掘り出し物もあるけど、そうでないものもある。不動産投資会社のプロによると、逆に一般個人にはおすすめできないケースもあるそうです。
近隣とのトラブルを抱えている物件の可能性も
物件が未公開(非公開)になる理由の売主側の都合で説明で、ご近所に物件を売却していることを知られたくないと記載しました。
これは、お隣さんにも物件売却について話していないこともあります。
仮に隣との土地の境界があやふやな物件の場合にはどうなるでしょうか?
買い手が見つかっていないのならまだしも、新たな買い手が見つかったあとで、自分が思っていた土地の境界と隣人が思っていた境界に食い違いがあるなどの問題をはらんでいた場合には、新たな買主がトラブルを引き継ぐか、売買自体がうまくいかないことがあります。未公開物件の場合には土地を仲介する業者も大っぴらに動くことができないので、このようなご近所とのトラブルを詳しく調査することは困難です。
上記では土地の境界問題について話ましたが、その他にも不動産には様々なトラブルがあり、問題が大きければ購入者側にとっての被害は図りしれないものとなることがあります。
これが一般的に公開されているような物件なら、多くの不動産業者が見ていますので、トラブルになりそうな危険性があれば指摘をすることができ、購入者側にとってはより安全な取引を未公開物件よりも安全な取引を行えるかもしれません。
本当の掘り出し物(非公開物件)なのかの選別眼が必要
非公開物件の中には、確かに掘り出し物もあります。
ただし、それが本当に掘り出し物なのか?業者の販売戦略や売主の個人的な都合だけで非公開になっているだけで別にお得ではないものなのか?
という点について判断する目が必要になります。
取引経験も豊富で多くの物件情報を知っている人であればそれを選別することもできるかもしれません。
一方で、取引経験もすくない一般の投資家がそれを判断できるか?と言われると難しいでしょう。
そうした中で、経験値の少ない個人投資家が非公開物件で掘り出し物な物件を買うというのは、正直難しいと思います。
それならば、非公開物件・未公開物件にこだわって、不動産屋さんをホッピングするのではなく、信頼できる不動産屋さんを見つけるほうが、より自分にあった物件を見つけることができるのではないかと思います。
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