マンション購入後にかかる諸費用・税金の一つとして「固定資産税(都市計画税)」が挙げられます。新築、中古を問わず、マンションを購入するとその建物+土地の所有者となりますので、それに合わせた固定資産税が毎年かかるようになります。
今回はそんな新築マンションや中古マンションを買った後で必要になる固定資産税の計算方法や、軽減措置、経年劣化(減価)による補正などマンション購入と維持で知っておきたい固定資産税についてわかりやすくまとめていきます。
そもそもマンションと固定資産税とは何か?
固定資産税とは、土地建物といった不動産の所有者が負担することになっている税金です。マンションを購入した場合には持ち分に応じた土地と建物についての固定資産税を納付する必要があります。
市町村(東京は都)が作成した固定資産課税台帳に基づき、毎年1月1日時点の所有者に対して課税される税金です。基本的には4月、7月、12月、2月の年4回に分けて納付期限が決められています(ただし、納期限は条例で定めることができるため市町村でことなる)。
固定資産税の計算方法
固定資産税は「課税標準額×1.4%」となっています。ただし、1.4%は標準税率なのでこちらも市町村で異なることがあります。また、固定資産税と合わせて、都市計画税という税金もあり、こちらも固定資産税と一緒に課税されます。税額は「課税標準額×0.3%」です。
ざっくり評価額が3000万円なら、3000万円×1.4%=42万円が固定資産税、3000万円×0.3%=9万円が都市計画税になるということになります。合計51万円です。結構な金額になりますよね……。
固定資産税評価額とは何か?
固定資産税評価額というのは土地や建物(マンション)の課税計算上の評価額です、前述の“課税標準額”とほぼ同じ意味で使われていますが、特例措置などによって固定資産税評価額よりも課税標準が引き下げられることもあります。
<土地の場合>
公示価格の7割程度を目標として計算します。ちなに、公示価格というのは国交省が計算する土地の公的な価格調査です。土地価格は変動するため3年ごとに評価替えが行われます、土地価格が下がれば評価額は下がりますが、土地価格が上昇すれば評価額は上がります。
マンションの場合、土地分は敷地面積を自分の所有する割合に按分して計算します。
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<建物の場合>
同じ建物を建て替えた場合にかかる費用(再建築費用)を基礎として計算します。
土地と同様に3年ごとに評価替えが行われます。一般的にマンションなどの建物は時間の経過によって減価(価値が減少)します。そのため、評価替えごとに評価額も下がるのが一般的です。
ただし、小規模なリフォーム程度なら別ですが、建築許可申請が必要なレベルの大規模リフォームや建物の増築を行った場合には固定資産税評価額が上がることもあります。
マンションの場合、新築マンションはおおよその評価額の予想になります(家屋調査が行われていないため)。一方で中古マンションの場合は前オーナーが納税しているので、直近の課税額を確認できます。
マンションにおける固定資産税の軽減措置
住宅用として利用している土地建物については実は固定資産税の軽減措置というものがあります。これを利用すれば課税標準額を大幅に縮小することができます。
<土地部分>
- 小規模住宅用地(200㎡以下):課税標準が1/6 (1/3)
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分):課税標準が1/3(2/3)
例えば、土地が300㎡の場合は200㎡分が1/6で残りの100㎡分が1/3の評価になります。なお()内は固定資産税ではなく、都市計画税の軽減措置になります。マンションの場合はよっぽどのケースを除き基本200㎡以下になるはずです。
<建物部分>
建物部分については新築から一定の期間、課税床面積120㎡以下部分について固定資産税の額が1/2になる軽減措置があります。なお、都市計画税には原則軽減特例はありません(市町村で軽減措置がある場合もあり)
- 2018年3月31日までに新築された住宅
- 店舗併用住宅の場合、居住用部分が1/2以上
- 居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下
マンションの場合は専有部分の床面積+共用部分を専有部分の面積割合で按分した面積といった計算をします。
一般住宅:3年間(長期優良住宅は5年)
3階建て以上の耐火住宅:5年間(長期優良住宅は7年)
新築マンションの固定資産税は5年経過後に急激に高くなる?
マンションの場合、土地の持ち分というのはマンションの規模によっても違いますがほとんどありません。なので、課税標準の大部分は建物部分が占めることになります。
3年目、6年目には評価替えで減価されるわけですが鉄筋コンクリートの建物の耐用年数は40年超なので正直さほど減価は大きくないです。
たとえば、5年経過時の経年限定補正率(東京)は0.8569※です(新築時の85.69%)。一方で半額軽減が切れてしまうと、建物の固定資産税は2倍になるので、軽減措置期間が切れたあと、固定資産税が急に高くなってしまう……という状況になるので少し注意が必要です。
※平成26年11月28日付け総務省告示第421号による改正後の固定資産評価基 準(昭和38年12月25日自治省告示第158号)の「木造家屋経年補正率基準表」及び「非 木造家屋経年減点補正率基準表」から平均値を算出し,「積雪地域又は寒冷地域の級地 の区分」による補正を加えたもの
中古マンションの固定資産税はどうなる?
中古マンションを購入する時、その維持費でもある固定資産税・都市計画税についてはよく知っておく必要があります。
10年未満の築浅の物件の場合は、評価額に対する固定資産税もそれなりにかかります。一方で築20年、築30年といった古めのマンションの場合は経年減点補正が大きくなるため、評価額が抑えられ固定資産税・都市計画税は意外と安く済むというケースもあります。
ちなみに、年の途中で購入した場合の固定資産税は売主(旧オーナー)と日数で按分(分ける)のが一般的です(買主が売主に支払う形)。
固定資産税の計算方法と税額の目安
最後にマンションの固定資産税の計算方法についてと、その目安についてまとめたいと思います。たとえば70㎡のマンションを4500万円で購入したとします。マンション価格は土地と建物が分かれているわけではないうえ、按分割合は個々のマンションによって異なります。ここでは仮に、土地を1000万円、建物相当を3500万円とします。
<土地>
固定資産税評価額は実勢価格ではなく公示地価の7割程度です。ざっくりと600万円としましょう。
課税標準:600万円×1/6(特例・固定資産)=100万円(200万円)
固定資産税:100万円×1.4%=1.4万円
都市計画税:200万円×0.3%=0.6万円
合計額:2万円
<建物>
建物の評価額を3500万円とします。
課税標準:3500万円
固定資産税:3500万円×1.4%=49万円→軽減措置で1/2→24.5万円
都市計画税:3500万円×0.3%=10.5万円
合計額:34.5万円(軽減措置なしだと59.5万円)
仮に新築マンションを買った場合は36.5万円(年間)ほどの固定資産税と都市計画税がかかる計算になるわけですね。軽減措置が無ければ59.5万円です。
なお、計算してお分かりの方も多いかと思いますが、固定資産税は“土地の割合が大きいほど優遇される”と言うことになります。同じ価格(物件価格)ならタワマンのように土地面積に対して住人が多いマンションよりは小規模マンションの方が固定資産税は安くなります。また、マンションと戸建てなら戸建ての方が安くなります。
意外とバカにならないマンションの固定資産税(都市計画税)
マンションの都市計画税は住宅の維持管理においてバカにならないコストです。
たとえば、宝くじに当たって高額当選した人が1億とか2億とかするような豪邸や億ションに住むとその維持費(修繕費等)だけじゃなくてバカ高い固定資産税がかかってくるわけです。
仮に土地建物固定資産税評価額が1億円の物件なら年間の固定資産税+都市計画税は170万円もかかるわけです。もともとの収入で億ションや豪邸を買える人であれば、そうした税金も含めて収入で払っていけるのでしょうが、宝くじのように一度きりの収入というケースではその維持費で破綻することにもなりかねません。
そんなわけで、マンションを買うときはその維持費として固定資産税にも注目しましょうというお話でした。
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