銀行口座を開設するとき、通常は普通預金や定期預金などが一つの通帳で管理される「総合口座」という口座が開設されます。この総合口座には標準の機能として当座貸越・口座貸越(銀行よって呼び名が違う)というサービスが付帯します。
この機能は便利な時もあるのですが、貯金用の銀行ではこの当座貸越と口座貸越は停止しておくべきです。今回はその理由と当座貸越・口座貸越を停止する方法について紹介していきます。
そもそも「当座貸越・口座貸越」とは何か?
これは普通預金と定期預金が一つの通帳で管理されている総合口座だからできるサービスで、預けている定期預金を担保としてその一定額の範囲で借り入れができるというサービスです。
たとえば、定期預金に100万円を預けていて、普通預金に10万円の預金があるとしましょう。
このときに30万円の出金をATMでしようとしたとき、普通預金には10万円しかないので、20万円が不足します。通常であれば残高不足として処理されないわけですが、当座貸越(口座貸越)が利用できる場合は100万円の定期預金を担保に普通預金で不足する20万円分を自動融資してくれるというわけです。
このとき、普通預金の通帳残高は-20万円(マイナス20万円)と表示されます。
当座貸越・口座貸越の問題点
問題点は大きく3つあります。貯金用の口座として利用している場合の貯金規律が甘くなってしまうリスク。金利が発生する問題、最後はセキュリティ上の問題です。
当座貸越で簡単に借りられて貯金しにくくなる
貯金用の銀行と日常遣いの銀行を一緒にしている場合などに考えておかないといけない問題がこれです。
たとえば、積立貯金(積立定期預金)などで貯金をしていたとします。
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この時、当座貸越・口座貸越が有効な状況だと先ほどの例のように定期預金が一定額貯まった状態だとそのお金を普通に引き出せてしまうんです。
せっかく、定期預金という形で引き出しができないような形にしているのに、普通預金の残高以上に引き出せてしまうのであれば、定期預金にしている意味がないという事になってしまいます。
先取貯金といった形で定期預金(積立預金)を利用している人はご注意ください。
当座貸越を利用すると金利がかかる
あと、もう一つの問題として当座貸越を利用していると、その間は金利が発生するということも問題です。
代表的な銀行では当座貸越には下記の利率が発生します(2017年5月11日現在)
三菱UFJ銀行:定期預金利率 +0.5%
みずほ銀行:担保となる定期預金利率+0.5%
ゆうちょ銀行:定期貯金利率+0.5%
いずれも同じ利率ですね。担保となる定期預金の利率よりも上乗せで金利がかかります。この状態(貸越)が続くようであれば、定期預金を続けるのではなく、解約してしまったほうがいいかもしれません。
ちなみに2017年5月の定期預金の金利は1年満期の場合、ネットバンクでも高くて0.1%程度です。そう考えると当座貸越の状態が続くと5倍以上の金利がとられ続けるという事になってしまいます。
普通預金残高がマイナスとなっている人は早めに定期を解約してマイナスを解消するようにしましょう。
キャッシュカードの偽造やデビットカード不正利用のリスクが大きくなる
口座貸越・当座貸越が利用できる状況だと、キャッシュカードの偽造やデビットカードの不正利用などによってATMなどから銀行に預けている定期預金の分まで不正に引き出されるかもしれません。
口座貸越・当座貸越を停止しておけば定期に預けている分は、偽造キャッシュカードだけでは下せず、定期の解約が必要になります。定期解約は印鑑や場合によっては本人確認書類が求められるため簡単には出金できません。
ある程度まとまったお金が入金されている銀行口座については口座貸越・当座貸越を使えないようにしておいたほうがセキュリティ上も安心かと思います。
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なお、上記記事でもっと詳しく紹介していますが、預金者がキャッシュカード偽造や盗難などで不正利用等の被害にあったときは、預金者保護法によって下記のように保護されます。
重大な過失・・・補償されない
軽い過失・・・被害額の75%
故意・重大な過失がない・・・全額保護(100%)
過失がない状態であれば保護されるものの、軽過失あるいは重過失があると判断されてしまえば保護されない可能性もあるという事ですから、不正被害にあわないようにする、あるいはあっても被害を最小限に抑えるようにするというのも大切なことだと思います。
この他、近年では銀行口座(普通預金口座)から即時出金可能な決済サービスのデビットカード(ブランドデビットカード)も多数の銀行で取り扱いが行われております。これらの不正利用の被害にあわないためにも重要です。
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当座貸越・口座貸越を停止する方法
基本的に当座貸越・口座貸越といったサービスは銀行に口座を開設したときに自動的に設定されるケースが多いです。
一方で上記で挙げた理由などでこうしサービスを望まない人もいるため、各銀行では預金者からの申し出があればた貸越サービスを停止してくれるようです。
なお、ネット銀行の場合はそもそも口座貸越のサービス自体を行っていないという銀行も多いようです。
サービス名 | 停止方法 | |
---|---|---|
ゆうちょ銀行 | 貯金担保自動貸付 | 停止方法についての表記なし。窓口でお問い合わせください |
三菱UFJ銀行 | 総合口座貸越 | お届印とお通帳をお持ちのうえ、お近くの当行本支店窓口までお申し付けください。 |
みずほ銀行 | 総合口座 当座貸越機能 | 総合口座貸越選択サービスを利用することで停止可能となっています。 |
三井住友銀行 | 総合口座貸越 | 表記なし |
住信SBIネット銀行 | 当座貸越 | お客さまのご指示により当座貸越のご利用を停止いただくことができます。 |
ソニー銀行 | サービスなし | そもそも定期預金を担保とした貸越が利用できません。 |
楽天銀行 | サービスなし | そもそも定期預金を担保とした貸越が利用できません。 |
PayPay銀行 | サービスなし | そもそも定期預金を担保とした貸越が利用できません。 |
貯金用の銀行口座と普段使いの銀行口座を一緒にしている方は貸越サービスは停止しておいたほうが無難かもしれませんね。あるいは貯金用の銀行と生活費用の銀行を分けておくというのも一つの手ですね。
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以上、貯金用の銀行口座(総合口座)の当座貸越・口座貸越の機能は停止しておくべき3つの理由についてまとめました。
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