オンラインバンキングで口座から不正送金されてお金がなくなってしまう。という被害が増えているそうです。最近では、より巧妙な手口によってパスワードが盗まれたりする被害が出ているようです。大切な預金を預けているからこそ、こうした不正による被害は気になるところですよね?
今回は、そんな銀行を利用するときのキャッシュカードや通帳を利用した不正出金とオンラインバンキングによる口座の不正利用で損害が発生した場合の補償についてまとめていきたいと思います。
銀行口座に関する犯罪被害で最多は盗難キャッシュカード
銀行口座から不正にお金を引き出されてしまうなどの犯罪被害は年々増加傾向にあります。2018年にはついに年間で1万件の大台を突破しています。
その中でも、最も多いのはキャッシュカードの盗難によるもので全被害の87%は盗難によるものとなっています。
一方で1件あたりの被害額が大きいのは被害額が大きいのインターネットバンキングによる不正利用です。キャッシュカードの場合、多くのケースで1日あたりの利用制限がありますが、オンラインバンキングによる振込の場合は振込可能額が大きいため、被害額も高額となりやすいのです。
預金者保護法によるキャッシュカードの不正利用と保護
2005年に制定された預金者保護法は、キャッシュカードの偽造や盗難などにより口座から不正にお金が引き出された場合に、その被害額を金融機関側に補償するように定めた法律です。
財布を落としてしまった、あるいはキャッシュカードが盗難されたなどしてATMで不正に利用されお金が引き出された場合でも、預金者の過失に応じて最大100%が補償されます。なお、補償と過失については下記のように決められています。
- 重大な過失・・・補償されない
- 軽い過失・・・被害額の75%
- 故意・重大な過失がない・・・全額保護(100%)
過失がなければ全額が保護されますが、過失があったとされた場合は一部または全部が保護されない可能性があります。
重大な過失とはどのようなケースが該当するのか?
以下のようなケースでは過失または重過失があったとみなされる可能性があります。
- 暗証番号を通帳にメモするなどしていた
- 通帳を他人(親族含む)に渡してた
- 通帳と印鑑を一緒に保管していた
- 暗証番号が生年月日や電話番号など推測されやすい番号だった
- 通帳やカードを盗難(紛失)していたのに銀行に速やかに通知していなかった
上記のような条件に該当した場合は、補償額が減らされたり、場合によっては補償が受けられない可能性もあります。
デビットカードの不正利用はどうなる?
最近はクレジットカードのようにVISAやJCBなどの加盟店で決済できるブランドデビットカード機能が付帯したキャッシュカードが増えています。
こうしたデビットカードの場合、利用で即時口座から引き落とされるうえ、暗証番号が不要な場合も多く盗難時などは不正利用から身を守るが難しいです。ただ、デビットカードの不正利用については、クレジットカードの「盗難保険」とほぼ同様の保険がセットされていることが多いです。
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ただし、補償額に対しては上限などが設定されているので、こうした被害に遭わないためにもデビットカードの利用上限額を設定しておくなどの防衛策も必要になるかと思います。
インターネット被害は個別対応
前述の預金者保護法による想定はATMによる不正利用が想定されており、最近話題になっているインターネットバンキング(オンラインバンキング)による不正利用は保護の対象外となっています。
全銀協(全国銀行協会)では、2008年にオンラインバンキングによる被害についても自主ルールとして被害額を過失がなければ全額補償するというように決定しました。
しかしながら、預金者側に「過失」があった場合については個別協議としており定められていません。具体的には預金者の利用状況等を加味して個別判断となるそうです。
対応自体は各銀行の判断に任せるというわけです。まあ、とりあえずは保護されるということで一安心な状況にはなっているわけです。
ただ、ネットバンクや都市銀行等のホームページを見てみても、具体的にどいういうものが過失にあたるのかということが明示されていないというのが怖いところです。
たとえば、下記のようなケース。
- ウイルス(キーロガーなど)に感染してパスワードが流出してしまった場合で、ウイルス対策ソフトをパソコンにインストールしていなかったことは預金者の過失にあたるのか?
- フィッシングサイトに騙されてIDやパスワード、暗証番号などを入力してしまい、結果として不正利用された場合に預金者に過失はあるのか?
こんなところは、過失があるのかないのかが分かりにくく判断が難しいですよね。
また、日々のオンラインバンキングでの利用方法についても過失とされるかもしれません。
- ソフトウェアキーボードを使用していたか?
- パスワードは定期的に変更していたか?
- パスワードなどを他のサイトと使い回ししていなかったか?
など、過失点を挙げようと思えばきりがないかもしれません。
ただ、銀行側が具体的事例を挙げられないのはそれだけ判断しなければならないポイントが多いということに他ならないので、預金者としてはそうした過失を指摘されないよう精一杯の対策をとっておくことが望ましいといえるでしょう。パスワードを変更しましょう、と指摘されたら素直に変更しておきましょうね。
ちなみに、全銀協の会員金融機関が不正送金被害者に対して補償を実施した割合は平成23年度は全体の96.5%、平成24年度は91.7%となっているそうです。
決して低くはないですが、下落傾向にあることは銀行側が預金者に対して求める「責任」が大きくなっていることを意味していると考えることもできます。
不正被害に対して保険に入っている銀行も
ちなみに、PayPay銀行と楽天銀行ではそれぞれ不正利用に対する保険に加入しています(保険料は銀行負担)。それぞれ、口座の不正利用における被害額を補償する保険で、2012年12月現在、楽天銀行:300万円~1000万円、PayPay銀行:300万円~500万円の不正被害保険となっています。
なお、楽天銀行(旧イーバンク)とPayPay銀行は、2008年の全銀協方針以前からオンラインバンキングサービスを積極的に提供していたので預金者に対する保護姿勢のためにこれらを使う必要があったのでしょうね。
どうしてもセキュリティが心配という方は、オンラインバンキングの利用にこれらの銀行を使ってみるのもいいかもしれませんね。
また、何よりも不正被害に遭わないためには、ウイルス対策ソフトのインストール、パスワードやIDをしっかりと守る&複雑化など自己防衛をすることが大切です。
オンラインバンキング不正被害防止のためにできること
- パスワードを強化する
できるだけ推測しにくいアルファベットや数字の組み合わせを使うようにします。また、他で使用しているパスワードを使い回ししないようにします。 - パスワードは定期的に変更する
一定期間ごとに銀行等で使用しているパスワードを変更するようにすればさらにセキュリティ度はアップします。 - 信頼できない端末でパスワードを入力しない
オンラインバンキングへのログインなどは信用できる端末(PC等のデバイス)だけで行うようにします。 - 適切なセキュリティ対策を行う
ウイルス対策ソフトなどのPC等のセキュリティ対策を実施する。最近ではスマホ(スマートフォン)に対するウイルスなどもあるようなのでそちらも対策する。 - ワンタイムパスワードを使用する
対応している銀行に限られますが、ワンタイムパスワードのようなセキュリティ性が高いパスワードを使用することで不正被害のリスクを下げることができます。
オンラインバンキングなどでの不正被害を防止するには、銀行に対策を求めることも重要ですが、預金者である私たちによる、自分のアカウント保護の姿勢も重要になります。
以上、オンラインバンキングの不正利用と補償制度について紹介しました。
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