ETFの中でも人気が高い商品の代表格といえるのが“レバレッジ型ETF”と“インバース型ETF”の二つです。証券会社における日々の売買代金などを見ても上位にこれらのETFがランクインすることが多いです。
今回はこのレバレッジ型ETFとインバース型ETFについて、それぞれのETFの特徴や商品性のほか、実際に投資をするときの活用方法や注意点などをまとめていきたいと思います。上手に使えばメリットも大きな金融商品ですが、間違った使い方をすると無駄も大きな運用商品となります。注意しましょう。
レバレッジ型ETFとインバース型ETFの特徴
まずは、これらのETFの仕組みを見ていきます。商品性としては比較的単純です。
レバレッジ型ETF | 基準となる指数に対して前日比で2倍の値動きで変動するように設定されているETFです。。たとえば、日経レバETFであれば日経平均株価の前日終値を基準として2倍の変動率で値動きするように設定されているETFです。ブル型ETF(強気)と呼ばれることもあります。 1570:日経平均レバレッジ上場投信 |
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インバース型ETF | インバースとは「逆」という意味。基準となる指数に対して前日比でマイナス1倍の値動きで変動するように設定されているETFです。例えば、日経インバETFであれば、日経平均の前日終値を基準にちょうど反対の値動きをするように設計されているETFです。ベア型ETF(弱気)と呼ばれることもあります。 ちなみに“ダブル”インバースというタイプはインバースのレバレッジであり、マイナス2倍の値動きをします。 1357:日経ダブルインバース上場投信 |
レバレッジETF、インバースETFの仕組みはどうなっているの?
まずは仕組みを紹介します。
レバレッジETFというのは“前日の基準価格(終値)に対する変動率の2倍”となるように設計されています。
たとえば、前日の日経平均株価(終値)が20,000円だったとしましょう。そして本日の日経平均かぶ化は20,500円(2.5%上昇)だったとします。この場合、レバレッジETFは値動きが2倍(5.0%上昇)となります。
一方でインバースETFはどうなのでしょうか。こちらもレバレッジETFと同様です。“前日の基準価格(終値)の変動率の‐1倍”になるようになっています。
先ほどと同様の値動きをした場合、インバースETFは2.5%の下落、ダブルインバースETFは5.0%の下落となります。
レバレッジETFやインバースETFのメリット、デメリット
それでは、実際にレバレッジETFやインバースETFを利用するメリットやデメリットについて紹介していきたいと思います。
信用取引を利用しなくてもレバレッジ取引や空売りができる
メリットとして考えられるのが、レバレッジ取引や空売り(ショートポジション)について信用取引口座を作らなくてもできるということにあります。
株価が上昇しそうだと思うときに、レバレッジETFを購入すれば普通に日経平均やTOPIXのETFを買うよりもリターンが大きくなります(逆方向に動けば損失も大きくなりますが……)。レバレッジ取引というのはリスクも大きくなりますが、うまく使えばリターンも大きくできます。
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また、現物株投資では通常できない“値下がりをが予想できるときにも利益機会がある”というのはインバースETFを利用するメリットといえます。
下落局面で利益を狙うというだけでなく、現物株(保有株)は売りたくないけど、株価下落に備えたいといういわゆるヘッジ取引にも活用できます。
レバレッジ、ダブルインバースは前日比を基準とした値動きなので長期では2倍にならない
これはレバレッジ型ETF、ダブルインバース型ETFに言えるデメリットとされる部分です。
レバレッジETFもダブルインバースETFも日経平均等の動きのプラスマイナス2倍の値動きをしますが、これは前日比基準となります。投資時点から見てではありません。
たとえば、日経平均が20,000円の時にレバレッジETFを購入。その後、日経平均は上下を繰り返しながら22,000円にまで上昇したとしましょう。上昇率は10%です。2倍なら20%の上昇ということになるわけですが実際にはそうなりません。それは書いた通り“前日比の2倍”で動いたからです。
以下の表はスタート時点2万円だった株価のレバETFを買った時の騰落率と実際運用結果を適当に計算したものです。投資時点からの騰落率(倍率)を示しています。ちょうど2倍にはなっていないことがわかります。
どういうことか、実際に見ていきましょう。
ベンチマーク | レバレッジETF | |
1日目 | 1000 | 1000 |
2日目(+5%) | 1050(+5%) | 1100(+10%) |
3日目(-3%) | 1018.5(+1.85%) | 1034(+3.4%) |
4日目(+3%) | 1049.055(+4.90%) | 1096.04(+9.60%) |
5日目(-4%) | 1007.04(+7.04%) | 1008.35(+8.35%) |
ベンチマークとなる指数を初日1000として、その後の変動を示したものです。当初は指数の2倍の動きでしたが、最終的(4日後)には指数の1.18倍にしかなっていません。
前日比の2倍なので、複利効果が発生します、上昇が続けば2倍よりも利益拡大のスピードは大きくなりますが下落が続けば損失拡大のスピードも大きくなります。ダブルインバースの場合はその逆です。
この特性から言える点は以下のとおりです。
- 〇:上昇相場だと2倍以上の結果になることがある
- ×:いったん大きく値を下げてしまうと、上昇相場でも元本は回復しにくい
- ×:レンジ相場(膠着相場)の場合、徐々に切り下がっていく
上昇一辺倒のような相場ではレバレッジETFは2倍以上の動きを見せるものの、いったん大きく下落してしまった場合やレンジ相場ではパフォーマンスは2倍以下となります。
ダブルインバース型ETFは逆に下落相場では2倍以上のパフォーマンスとなりますが、いったん大きく上昇した場合や、レンジ相場ではパフォーマンスは2倍以下となります。
短期で見ればほぼ2倍の動きですが、数か月単位の長期だと2倍にはなりません。レバレッジ型ETFの宿命なのです。
基本的には短期勝負向けのETF、ピンポイント投資に最適
レバレッジETFやダブルインバースETFについては、短期の調整や値動きで相場を
こうした特性がありますので、レバレッジETFやダブルインバースETFについては、“特定のタイミングだけピンポイント投資をする”というのが一つの大きな使い道といえそうです。
ちなみに、ETFですので、どの証券会社でも売買できます。おすすめの証券会社は以下の記事をご参照ください。
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以上、レバレッジETFとインバースETFの活用方法とメリット、デメリットについてまとめました。
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