インバース型ETFとよばれるETFの取引高が急増しています。このETFの特徴は「インバース:逆」という意味のとおり、株価が上昇すると下落し、株価が下落すると上昇するという特徴があります。

今回はこのインバースETFのまとめと投資への活用について考えていきたいと思います。

ちなみに、ベア型ETFと呼ばれることもあります。ベアとは弱気という意味ですね。対義語はブル(強気)です。

インバース型ETFとは?

日本国内では「日経平均インバース・インデックス連動型ETF(銘柄コード:1571)」と「TOPIXベア上場投信(銘柄コード:1569)」という二種類のインバース型ETFが上場しています。

それぞれベンチマークは日経平均(日経225)と東証株価指数(TOPIX)となっておりますが、このETFは「ベンチマークと逆方向に動くこと」を目的に組成されています。

具体的には、前日比の変動率にマイナス1倍の指数(日経平均インバース・インデックスなど)に連動するように設計されており、1日単位での逆方向の動きを目指すのが特徴です。

たとえば、日経平均インバースETFの場合、日経平均が1%値上がりした場合は1%値下がり、逆に1%値下がりした場合は1%値上がりする、といったように逆に動くように作られています。

以前から、このインバース型の「投資信託」はありました(ブルベアファンドなど)。

しかしながら、ETFとして登場したのは歓迎すべきことだと考えています。このインバース型ETFの登場により、従来までは信用取引や先物取引・オプション取引を使ってでしかできなかったリスクヘッジ取引が手軽に可能になるのです。

こうしたインバース型ETFはあくまでも普通のETFなので、現物株式と同様に売買することができます。手数料も通常の株式取引の手数料と同様になります。

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インバースETFのメリットは手軽なヘッジ取引(リスク回避)

ある現物株を保有しているとします。このとき、インバース型ETFを保有すれば、仮に相場全体が下落したことによる現物株の下落リスクをETFによってヘッジ(回避)することができます。

従来はこのようなリスクヘッジを行いたいという場合には、信用取引で日経平均のETFを空売りするといった手法しかありませんでしたが、それには信用取引口座が必要でした。また、空売りの場合「貸株料」などの付帯するコストも発生します。
(参考:信用取引のコストは手数料より金利・貸株料

一方でインバースETFであれば、普通に現物株を買うのと同じように同ETFを購入するだけでリスクヘッジ取引が可能になります。

あえて信用取引口座を開設しなくてよいというのは大きなメリットといえるかもしれません。

インバースETFはズレ・減価が生じるため長期保有は不適

一方で、インバース型ETFへの投資に当たっては、その「ズレ」に注意が必要です。これらのETFは長期にわたって100%連動することは仕組上できません。

こうしたETFは「前日比」で連動するように作られています。そのため、1日単位(前日比)で見れば狙い通りの値動きとなりますが、2日以上(2営業日以上)でみると動きが変わってきます。

これはあくまでも「前日比」の比率でみているためで、2日以上たつと複利効果が生じることによってどうしても原指数との間にズレ(減価現象)が生じてしまうのです。

ごく短期であればその差は小さいかもしれませんが、仮に0.2%の差が10営業日続けばそれだけで最大2%の差が生まれるリスクがあるわけです。これがインバース型ETFのデメリットといえる部分です。

なので、インバース型ETFというのはあくまでもごく短期のヘッジ取引として利用することをお勧めいたします。その構造上、中長期の投資には向いていません。

インバースETFの減価のしくみ

もう少し詳しく知りたい方向けです。この項目は読み飛ばしてもらってもよいです。仮に日経平均が2万円で、インバースETFの価格が1万円だとしましょう。

  1. 日経平均が5%上昇(インバース5%下落)
    日経:21,000円
    インバースETF:9,500円
  2. 日経平均が3%下落(インバース3%上昇)
    日経:20,370円
    インバースETF:9,785円
  3. 日経平均が3%下落(インバース3%上昇)
    日経:19,759円
    インバースETF:10,079円
  4. 日経平均が2%上昇(インバース2%下落)
    日経:20,154円(0.77%上昇
    インバースETF:9,877円(1.23%下落

こうなります。当初比からみて日経平均は0.77%上昇しています。完全なインバースなら、ETFは0.77%下落である必要があるのですが、インバースETFは1.23%下落しています。

これが前日比で計算するETFの複利効果による宿命で、減価です。市場の上下動を繰り返す場合、原指数のリターンと逆方向のズレが大きくなるため、短期売買に特化する必要があります。

インバースETFのその他のコストとリスク

インバースETFは、通常のETFと比較して信託報酬が高めに設定されている傾向があります。また、ファンド内部で先物取引を利用しているため、先物の取引コストも基準価額に影響を与えます。長期保有ではこうしたコスト負担も重くなる点に注意が必要です。

インバース型ETFの2倍の値動きをする“ダブルインバースETF”も

インバース型ETFについては、通常のインバース型ETFの値動きの2倍の動きをするダブルインバースと呼ばれるタイプのETFがあります。

たとえば、日経インバースであれば、日経平均と反対の値動きをします。日経平均が1%上昇したら、インバースETFは1%下落するといった形ですね。ダブルインバースというのはその動きが2倍になるというETFです。日経平均が1%上昇したらダブルインバースETFは2%下落するといった形になります。

インバースETFよりも有利にヘッジ取引ができるCFD取引

ちなみに、インバースETFよりもより有利にヘッジ取引ができる方法としてCFD取引(差金決済取引)というものがあります。

仕組み的に言えばFX(外国為替証拠金取引)の株式版というようなものです。
日経平均やNYダウなどの株価指数の値動きを売買することができるようになっています。ショートポジション(空売り)をすることも可能です。

なぜインバース型ETFよりもCFDの方が有利なのかというと、CFD取引の場合、仕組み上、空売り(ショートポジション)を取る場合には、オーバーナイト金利(金利調整額)という金利を受け取ることができるようになっているからです(※取引所や市場条件により変動します)。

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証拠金取引になるので必要資金も少ないため、ヘッジ取引(リスク回避取引)を考えているのであればCFD取引も一つの検討材料とするといいかもしれません。

CFD取引のリスクとインバースETFとの比較

ただし、CFD取引にはインバースETFとは異なるリスクが存在します。

CFD取引の主なリスク

CFD取引はレバレッジが効くため、資金効率が良い反面、マーケットが急激に動くと損失が想定以上に大きくなる可能性があり、強制ロスカットのリスクがあります。また、オーバーナイト金利は市場条件により変動し、ポジションによっては金利の支払いが発生するため、こちらも長期保有には向きません。

それぞれの特徴をわかりやすく比較表にまとめました。

要素 インバースETF CFD取引
レバレッジ 無し(通常) 有り(最大10倍程度)
ロスカット 無し(基準価額が下落しても強制ロスカットはなし) 有り(マーケットが急激に動くと強制ロスカット)
オーバーナイト金利 無し(証券会社が保有) 有り(ショートポジションで金利受取、ロングポジションで金利支払いが基本だが変動あり)
長期保有 複利効果の減価により不向き オーバーナイト金利により不向き

【結論】投資戦略の提案

インバースETFもCFD取引も、それぞれメリット・デメリットがありますが、共通して言えることは「短期売買や一時的なリスクヘッジに特化し、長期保有は避けるべき」という点です。
手軽に現物口座でヘッジしたい場合はインバースETF、レバレッジを活用して資金効率よく取引したい場合はリスク管理を徹底した上でCFD取引を選ぶとよいでしょう。

もっとも、CFD取引は仕組みも少し難しいので上記の記事をご一読いただき、しっかりと理解してから取り組むようにしてくださいね。

以上、リスクヘッジに便利なインバース型ETFのメリット、デメリットについてまとめてみました。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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