個人のインフレ対策はどうする?強い・弱い金融商品と新NISAや住宅ローン見直し等の具体策
将来のインフレリスクに備えようという動きをみせる投資家の方も多いようです。
日本は長年にわたってデフレと利下げを繰り返してきましたが、2024年から2026年にかけて状況は大きく変わり、インフレはすでに現実のものとなっています。
日銀の2026年4月展望レポートによると、2025年度のコアCPIは前年比+2.7%、2026年度も約+1.5%と予測されており、物価上昇が続いています。また、日銀は2024年3月にマイナス金利を解除し、現在は段階的な利上げを実施中(2026年4月時点の政策金利は0.75%)です。
「将来インフレが来るかもしれないから備えよう」という段階はすでに過ぎており、現在進行形のインフレにどう対応するかを考える段階になっています。
そうなると、私たち個人も保有している資産をインフレ率以上の利回りで殖やしていないと実質的に資産が目減りすることになります。今回は、個人でも可能なインフレ対策となる金融商品や資産を紹介していきます。
そもそもインフレとは?
インフレ(インフレーション)というのは貨幣価値の下落であるため、現金を保有したままだと実質的に価値が目減りしてしまいます。今年100円で買えたものは来年は100円より高いお金を出さないと買えなくなるからです(物価高)。
たとえば、インフレ率2%というのは1年間で物価が2%上昇すること、今年100円で買えたものが102円ださないと買えなくなるわけですね。となると、この物価上昇に対して資産を減らさないためには「インフレ率以上の運用利回りを出さなくてはならない」ということになるわけです。
インフレに強い金融商品、弱い金融商品の種類と特徴
まずは、一般論としてインフレに強い金融商品と弱い金融商品の紹介とそれぞれの特徴を紹介していきたいと思います。
インフレに強い金融商品
- 変動金利型の運用商品・貯蓄商品全般
- 金や土地といった実物資産
- 外貨
- 株や投資信託
- 個人向け国債(10年・変動型)
- 固定金利で借りているローン
まとめると上記のようになります。よく言われている内容ですが、市場金利に応じて金利が変動するタイプの運用商品や、金(ゴールド)や不動産といったような貴金属や実物資産などはインフレに強いです。
外貨(外貨預金やFXなど)もインフレには強いです。為替レートは通貨間の相対的な金利によっても変動するので、インフレの進行=円安となり、外貨預金などの外貨資産を保有していれば円安によって円ベースの資産が増加することになります。
株式投資(企業)は、その企業の価値の源泉は稼ぎ出す収益(利益)に依存するわけで、インフレになればインフレになった分だけ利益額も増えることで株価上昇となります。ただ、企業価値の大部分が現金みたいな会社はインフレに弱いかもしれませんね。
個人向け国債については、10年タイプは半年ごとの変動金利型となっているので、市場金利に合わせて利率も高くなるので抗インフレ力が強い商品となっています。3年、5年タイプは固定金利なのでそうは言えません。
最後の「固定金利のローン」はインフレ率が上回れば実質的にマイナス金利の商品となり、負債ですが収益資産と同じように働きます。インフレ率がローン金利を上回ったような場合は返済しないほうがお得になりますね。
インフレに弱い金融資産
- 固定金利型の運用商品・貯蓄商品全般
- 現金
- 学資保険、養老保険
- 長期固定金利の預金
- 長期期間の債券
- 変動金利で借りているローン
逆に、インフレに弱い資産は現金と固定金利(固定の利率)で運用されることが決まっている金融商品です。
現金がダメなのはわかりますよね。タンス預金としてキャッシュで保管していても1円も増えません。デフレ時代ならいいですが、インフレ時代だと全く価値がありません。(デフレのタイミングでもタンス預金はそもそもお勧めしませんが……。)
他に不利な商品としての代表格は貯蓄性の保険ですね。特に学資保険や養老保険といった貯蓄性が高い保険は弱いです。中途解約の場合は元本割れの恐れがあるだけでなく、一般に10年、15年と長期の運用になりますので、インフレになっても好条件の商品に乗り換えるための解約も難しく、インフレで実質目減りと良いことなしです。
金利下落局面では強いのですが、上昇局面を考えると厳しい商品性ですね。
また、長期債(一般的な債券・社債などは固定利率)も同じ理由で不利になります。
最後に、固定金利のケースとは逆に、変動金利で借りているローンはインフレになり金利が上昇すると利息負担が大きくなります。後述しますが、変動金利の住宅ローンなどを借りている方は、現在進行形で多大な負担増のリスクを抱えています。
個人がやるべきインフレ対策にはどんなものがある?
株や貴金属、不動産などは確かにインフレに強い金融商品です。しかしながら、金融や投資に強い人であれば株や投資信託をやればいいと思いますが、そうでない方も多いでしょう。
株や不動産、貴金属といった抗インフレ商品の場合、インフレリスクは少ないかもしれませんが、別のリスクを抱えることになります。
株なら株価が下落するリスクがありますし、投資した企業が倒産するリスクもあります。不動産も価格変動や流動性の問題を抱えています。
他の投資商品への投資は「インフレリスク」をカバーすることはできても同時に他のリスクを抱え込むことになるため、「安全運用」をしたいという方にはあまり向いているものではありません。もちろん、そのようなリスクを把握した上で、さらにインフレ対策として考えているというのであれば、株や不動産、貴金属などは優良な投資先といえます。
以下では、個人がインフレ対策として取り入れておける具体的な方法を紹介していきます。
定期預金は金利上昇を捉えることでインフレに対応
ハイパーインフレなどの極端なインフレを除き、現状のようなインフレ環境であれば、過度に恐れる必要はありません。
現金そのままでは目減りしますが、2026年4月現在、日銀の利上げを受けてネット銀行や地方銀行の定期預金金利は大幅に上昇しています。主要ネット銀行の1年定期は0.5%〜1.0%台に達しており、ゆうちょ銀行の5年定期も0.7%となっています(2026年2月時点)。
インフレ率(約2%台)には完全に届きませんが、ゼロ金利時代と比べれば状況は大幅に改善しています。今後も日銀が追加利上げを進めれば、預金金利はさらに上昇が見込まれます。
インフレ対策として定期預金を利用するのであれば、1年以下の短期定期預金を自動継続で運用していくスタイルが有効です。満期が来るたびに、上昇した新しい金利で預け直すことができるからです。
その際は預金金利が高めのネットバンクを利用するようにしましょう。現段階でも都市銀行とネット銀行の間では金利に大きな差が開いており、少しでも高い利回りを確保することが重要です。
あるいはインフレ対策商品のところでも書いた「個人向け国債」も悪くありません。個人向け国債は証券会社で頻繁にキャッシュバックキャンペーンを行っているので、1年毎に解約できるメリットを生かしてキャンペーンを取り続けていくというのも有効な手段です。
住宅ローンは金利上昇の現実に直面!変動から固定への借り換え検討
もう一つは、ローンを見直すというものです。
特に住宅ローンを組んでいる方は、インフレとそれに伴う利上げの影響を直接受けています。2026年4月時点で、大手銀行の変動金利住宅ローンの適用金利は15年ぶりの高水準(最優遇金利で平均1%超え)に上昇しています。
2020年〜2022年頃に超低金利で変動型住宅ローンを組んだ方は、「将来のリスク」ではなく、今後の返済額上昇に備えた資金計画の見直しが「現在の急務」となっています。
インフレが進行し金利が上がる環境下では、実質的な利息負担を固定化できる「固定金利」への借り換えも選択肢の一つです。ただし、現在の固定金利もすでに上昇しているため、借り換えにかかる諸費用や残りの返済期間を踏まえた慎重な試算が必要です。
逆にこれから金利が下がるというように考えるのであれば変動金利のままにしておく方が有効です。
不動産自体はインフレに強く、インフレが進めば住宅価格(不動産価格)も高くなる傾向があります。資産価値の上昇とローン金利の固定化を組み合わせることができれば理想的です。
新NISA活用による積立投資がインフレ対策の本命
2024年1月からスタートした新NISAにより、インフレ対策としての株式投資へのハードルは大きく下がりました。
新NISA制度では、年間最大360万円(生涯投資枠1,800万円)まで株式や投資信託の運用益が非課税となります。NYダウやS&P500、オルカン(全世界株式)などのインデックスファンドへの積立投資は、インフレ対策として最もシンプルかつ有効な手段の一つです。
100円から月次積立を設定できるネット証券も多く、少額からでもコツコツと資産を世界の成長に乗せることで、長期的にはインフレに強い資産形成が可能になります。インフレに対抗する実物資産(企業価値)への投資において、現在は最適な制度環境が整っていると言えます。
ハイパーインフレへの備えは金などの実物資産
通常のインフレであれば定期預金やインデックスファンドへの投資でカバーできますが、政府の経済政策がコントロールを失うような極端なインフレ(ハイパーインフレ)が起こった場合には、日本円ベースの預金だけでは資産を守りきれません。
そうした究極のリスクに対する対策として有効なのは、世界中で価値が認められている「実物資産」を持つことです。具体的には、金地金や金貨、金ETFなどのゴールド(金)が代表的です。
インフレ対策としてどこまで備えるかによりますが、極端なインフレリスクまで考慮するのであれば、資産の一部を金などの実物資産や外貨に分散しておくことは有効な防衛策となります。
以上、個人の資産を守るために現在取り組むべきインフレ対策について紹介しました。
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