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家賃と住宅ローン返済額を比較するのは正しいのか?

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マンションや住宅の購入チラシなどに、“今の家賃と比べてみてください”などとして、その物件を購入したときの月々の住宅ローン返済額が記載されていることがよくあります。

確かに、その返済額をみれば今の家賃と同じくらい(あるいは、安い)です。それなら買った方が、資産にもなるんだしお得??と思ってしますかもしれません。ただ、こうした宣伝文句にはいくつかの注意点があります。

それは住宅ローン返済額と家賃比較というシミュレーションにはローン返済額以外の支出やリスクに言及していないからです。

住宅ローン返済額と家賃は単純に比較できない

住宅ローン返済と家賃比較は住宅販売に関するチラシでよく利用されるセールスの常とう手段です。チラシには『頭金無料!月々7万円の返済でマンションが買えます。今の家賃を比べてください』などといったキャッチコピーが並びます。

こうした宣伝文句には注意点があります。

  1. 家を買うとローン返済以外のコストがかかる
  2. そもそものローン返済プランが金利変動リスクを考慮していない

この2点です。

 

住宅ローン返済“以外”のコストに注意

まず、こうした住宅ローン返済額と家賃を比較する広告を見るときに注意したいのはローン返済額は居住コストの総額ではないということです。

賃貸マンションを借りた時にかかるコスト(費用)は通常は家賃くらいです。共益費などがかかる場合もありますが、これは皆さん家賃の一部として認識しているはずです。

一方分譲マンションやマイホーム購入の場合は“修繕費用”や“税金”の問題があります。

<賃貸住宅>
・支払いは家賃のみ

<マンション購入・マイホーム購入>
・住宅ローン返済額
・管理費・修繕積立金(戸建ては不要だが修繕費用は別途負担)
・固定資産税・都市計画税

 

マンションの管理費や修繕積立金は馬鹿にできない

住宅ローン返済額以外に必要となる費用として、大きなものは管理費や修繕積立金があります。

 

管理費はマンションの維持管理のためにかかる費用

管理費というのはマンションの維持管理のために必要なコストです。マンションの清掃費用、管理人やコンシェルジュなどを雇用する費用、エレベーターなどの点検や照明の交換などにかかる費用となっています。

こうした管理費は契約者動向調査(リクルート)によると平均で一か月あたり約15,000円となっています。決してバカにできる金額ではないですよね。

 

修繕積立金はマンションの長期的な建物の修繕や改装のための積立金

将来のマンションの大規模改修や修繕のために積み立てていくのが修繕積立金となります。

国土交通省のガイドラインによると、15階未満・延べ床面積5000平米未満のマンションの場合、居室1平米あたり218円の修繕積立金が必要だといわれています。ざっくり、専有面積が80平米のマンションなら、修繕積立金の目安は17,440円(月)です。

管理費同様、毎月かかる費用で、これらを合計すると3万円を超えてくるわけで、家賃とローン返済額を比較するのであれば、これらの金額も併せて考える必要があります。

 

戸建て住宅は管理費・修繕積立金はないが、別途用意する必要がある

分譲マンションではない戸建て住宅であれば管理費や修繕積立金の負担はありません。

ただし、賃貸住宅の場合、建物が破損した場合などは大家さんの負担で修理してくれます。一方で、マイホームの場合は当然自己負担で修理する必要があります。

また、マイホームも経年劣化に伴う修繕は必要です。外壁の塗装のやり直し、屋根の防水塗装といった大規模な修繕をする場合には数百万円単位のコストがかかることもあります。

 

固定資産税・都市計画税は都心なら最低月1万は負担

固定資産税や都市計画税は、分譲マンションやマイホームなどの“固定資産”を所有することに対して発生する税金です。

賃貸住宅の場合は大家さんが負担しているものですが、自分で家を買ったときは自分で支払いをする必要があります。

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税額についてはマンションの立地(土地の価格)や規模、建物の築年数などによっても変わってきますが、都内のファミリー向けのマンションや一戸建てであれば毎月1万円以上は負担することになるでしょう。

 

住宅ローンの金利シミュレーションは変動金利で35年返済

ローン返済プランが金利変動リスクを考慮していない”という問題についてです。

大抵のマンション購入のローン返済額シミュレーションはもっとも金利の低い変動金利プランで表示されています。また、返済期限は通常35年の最長で借りたケースです。

  • 返済期間中に金利が上昇すると変差額も増える
  • 今の年齢+35年まで返済を続けることはできるのか?

この2点を考えておく必要があります。

2018年3月現在の日本の金利は歴史的な超低金利時代です。
一方で、欧米ではこうした超低金利(金融緩和)についての出口を模索しています。日本もいずれ金融緩和政策を終了すれば、住宅ローン金利も上昇します。そうなれば月々の返済額も高くなります。

また、返済年数も考える必要があります。たとえば定年を65歳とすれば、35年ローンを現役中に返済完了するなら30歳までにローンを組む必要があります。

返済年数を短くすればその分だけ月々の返済額も高くなります。3000万円の住宅ローンを35年返済なら元金部分は月々7万円ちょっとですが、25年にすれば月々10万円になります。返済期間でもローン返済額は変わってきます。

 

まとめ、ローン返済と家賃とを比較するのは好ましくない

  • マンション(戸建て)を買うと様々な“諸費用・税金”がかかる
  • 月々のローン返済額は、計算上であれば“いじれる”

以上の2点を考えると、分譲マンションや一戸建ての購入を検討するときに、現在の家賃と住宅ローン返済額を比較するというのは、あまりにも短絡的すぎると思います。

賃料を払うくらいなら買った方が安い”というのであれば、少なくともこうした諸費用も含めて計算するのが筋だと思います。

 

以上、家賃と住宅ローン返済額を比較するのは正しいのか?という疑問についてまとめました。