生命保険を始めとして保険は基本的に加入者は期待値ベースでは損をする金融商品です。
その為、必要最低限の加入をお勧めしていますが、生命保険(死亡保険)は原則として「自分が死んで金銭的に困る人がいる場合に必要なもの」です。DINKSや独身の方の大半にとってはほぼ不要と言えるでしょう。その一方で、自分が死んで困る家族がいる家庭ではやはり備えておきたい保険となります。
そうした一家の大黒柱が加入する遺族のための保険として代表的なものに「定期保険」と「収入保障保険」の2種類があります。
必要な保険金を必要な額だけ用意する方法
このブログでは口を酸っぱくして「保険は加入すると損をする」と言っています。
支払う保険料の大きな部分には保険会社の儲けや高い手数料が内包されているため、必要以上の保険に加入するのは無駄なのです。
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その一方で、保険というものは「自分ではカバーできない大きなリスクを分散化できる」という大きなメリットを持っています。
その代表といえるのが、遺族に対する生活保障でしょう。特に一家の大黒柱として収入面を支えている人にとっては大きな問題です。
小さな子供がいる場合、その子が成人するまで、あるいは大学を卒業するくらいまでの生活費はなんとか面倒見たいと思うのが普通かと思います。
こどもが成人するまでの間に毎年の生活費として年間200万円が必要で、今の子供の年齢が6歳だとすると、現時点で必要なお金は200万円×14年=2800万円となります。
来年になると1年分短くなるので必要額は200万円×13年=2600万円です。
このような大きな資金を確保することができるのが死亡保険です。今回はこうしたニーズに対して保険で備える時の有効な手段として「定期保険(定期死亡保険)」と「収入保障保険」という二つの保険を紹介、比較していきたいと思います。
定期保険とは?
定期保険というのはいわゆる掛け捨て型の死亡保険です。
所定の期間中に死亡した場合には死亡保険金が支払われるという生命保険の中でも最もシンプルな設計の保険です。
掛け捨てというともったいないという印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、ごちゃごちゃといろいろな特約が付いている保険よりわかりやすいですし、終身保険などのように保障は一生涯という商品よりも少ない保険料で大きめの保障をセットすることができる保険となっています。
一般的には契約者の年齢が上がるほど、残された遺族にとっての必要保険金額は小さくなっていきますので10年ごとの更新のたびに保険金額を少なくするといった更新のやり方が一般的です。
収入保障保険とは?
収入保障保険は契約期間内に死亡した場合、それ以降で毎月年金のような形で保険金が支払われるという保険になります。保険金が支払われる期間は年を経るごとに短くなっていくため、必要な保険料も年々下がっていくという形になるのも特徴です。
定期保険と似ていますが、保障される保険金額は下記のようになります。
定期保険と比較してみると、定期保険がブロック状であるのに対して収入保障保険は三角定規のような保険金額になります。
定期保険と収入保障保険の比較
上記で紹介した定期保険と収入保障保険が、一家の収入を支えている大黒柱にとって検討に値する保険となっています。
ではこれらの保険の特徴や特性を比較していきたいと思います。
保険料の合理性では収入保障保険
まず、それぞれほぼ同様の保障と考えた場合、保険料の合理性では収入保障保険に軍配があがります。下記は定期保険、収入保障保険をほぼ同じ条件で並べたときのグラフです。
定期保険は一定期間ごとの更新となる為、少しはみ出ている部分がありますよね?その部分の保険金は本来は不要な部分となります。
そのため、同程度の保障を考えたときの保険料負担は収入保障保険の方が安くなります。
前述の保険は最低限という場合は収入保障保険に分があるといえそうです。
保険金の受け取り方法の差
保険金の受け取りは定期保険は一括受け取り、収入保障保険は毎月の分割給付となります。それぞれ一長一短があります。
一括受け取りのメリット、デメリット
まとまった金額が手元に入る為、それを利用して運用に回すこともできます。
その一方で、本来なら長期的な生活費がまとまった入ることで、無駄遣いなどが増えてしまい、将来の資金不足を招くリスクがあります。
分割給付のメリット、デメリット
毎月一定の収入が保障されるようになるので、生活としては安定しやすいです。
一方でインフレが進むと受取金額が実質的に目減りするリスクがあります。
設計の自由度は定期保険が高い
収入保障保険は15年、20年といったようにある程度長期的な保障プランを組むことになります。そのため、5年、10年といった比較的短期の保障プランを組むのは苦手です。
一方で定期保険は決められた期間だけの短期間の加入ができます。
この自由度の高さは定期保険(定期死亡保険)の大きな強みといえます。
たとえば、下記のようなケースが考えられます。
- 貯蓄の少ない20代、30代の内は保険を使うけど、そのあとは貯金でリスクをカバーしたい
- マイホームの購入予定があり、購入後は団信(※1)もあるので保険金額を少なくしたい
- 保険は必要だと考えているけど、第2子、第3子も考えている
※1:一般にマイホームを購入した場合、以降は家賃が必要なくなるので遺族の生活費は少なくて済むといわれています。団信は契約者が死亡した場合に残りの住宅ローンがゼロになる保険で、住宅ローンを組む場合には強制加入というケースが多いです。
上記のような場合には、必要な保険金額が小さくなったり、大きくなったりします。こうした状況に応じて収入保障保険は柔軟に対応するのが難しく、こうしたケースでは定期保険の方が使い勝手が良いです。
まとめ
遺族のための保険として活用しやすい保険である定期保険(定期死亡保険)と収入保障保険。いずれも特徴があり、どちらか一方が皆にお勧めというものではありません。
それぞれに長所と短所があるので、最低限の保障は収入保障保険で対応し、プラスアルファの部分を定期保険(定期死亡保険)でカバーするといった方法もありますね。
以上、定期保険と収入保障保険についてを比較してみました。
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