国民年金の育児免除を利用する自営業の親と赤ちゃんのイメージ

2026年10月から、自営業者やフリーランスなどが子どもを育てる期間の国民年金保険料を免除する制度が始まります。

所得制限がなく、免除された月も老齢基礎年金では保険料を納めた月として全額反映されるのが大きな特徴です。

夫婦とも国民年金の第1号被保険者なら、父母がそれぞれ利用できます。

この記事では、2026年7月11日までに公表された法令と日本年金機構の案内を基に、対象者、免除期間、金額、申請方法、既存の免除制度との違いを解説します。

国民年金の育児免除は、収入が減った人だけの制度ではありません。

第1号被保険者が1歳未満の子どもを養育するなどの要件を満たせば、所得や育児休業の有無にかかわらず申請できます。

国民年金の育児免除は2026年10月に開始

正式には「育児期間に係る国民年金保険料の免除措置」といい、2026年10月1日に施行されます。

対象になるのは、対象月に国民年金の第1号被保険者で、1歳未満の子どもを養育している人です。

第1号被保険者は、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人のうち、厚生年金加入者やその被扶養配偶者ではない人が基本です。

区分 主な人 育児免除の対象
第1号被保険者 自営業者、フリーランス、学生、無職の人など 要件を満たせば対象
第2号被保険者 厚生年金に加入する会社員や公務員 この制度の対象外
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養される配偶者 もともと本人負担がないため対象外

会社員には、産前産後休業や育児休業中の健康保険・厚生年金保険料を免除する別制度があります。

会社を退職した人や扶養から外れた人は、対象月にどの被保険者区分だったかを月ごとに確認します。

制度の基準日:2026年7月11日

制度は法律で成立していますが、受付開始時期、最終的な添付書類、遡って申請できる期限などの運用細目は、施行前に更新される可能性があります。

所得制限も育児休業の要件もない

一般の国民年金保険料免除では、本人、配偶者、世帯主の前年所得が審査されます。

育児期間の免除には所得制限がないため、事業所得がある自営業者や仕事を続けるフリーランスでも対象になり得ます。

仕事を休むことや売上が減ることも、制度上の要件として掲げられていません。

対象になり得る親と養育者

  • 子どもの実父と実母が対象になります。
  • 養父と養母も対象になります。
  • 特別養子縁組の成立前に監護している人も、所定の要件を満たせば対象になります。
  • 養子縁組里親に委託されている子どもなど、法律が定める子を養育する人も対象になり得ます。
  • 夫婦とも第1号被保険者なら、一人分だけではなく双方が申請できます。

対象になるには、子どもとの法律上の関係が継続し、原則として子どもと同じ住所で生活していることが必要です。

別居、離婚、養育状況の変更などがあった場合は、免除期間の終了や届出が必要になる可能性があります。

父は最大12か月、出産した母は追加で最大9か月

父や養親などは、子どもの養育を開始した月から1歳の誕生日の前月までが対象となり、最大12か月免除されます。

出産した母には、すでに産前産後期間の国民年金保険料免除があります。

単胎妊娠の場合は産前産後免除4か月が先に適用され、その後に育児期間の免除が最大9か月追加されるため、合わせて最大13か月になります。

対象者 育児免除の期間 既存制度との関係
父、養親等 養育開始月から1歳の誕生日の前月まで、最大12か月 育児免除のみ
出産した母 産前産後免除の終了後から最大9か月 単胎なら産前産後4か月と合わせて最大13か月
2026年10月時点で1歳未満の子の親 2026年10月から1歳の誕生日の前月まで 施行前の月は対象外

2026年10月より前の育児期間へ遡って免除される制度ではありません。

たとえば2026年1月1日生まれの子どもなら、父等の対象は2026年10月から12月までの3か月です。

多胎妊娠、養育開始日の変更、複数の子どもの対象期間が重なる場合は、一般的な単胎の例だけで判断せず、市区町村または年金事務所へ確認してください。

2026年10月生まれなら夫婦で約38万円を免除

国民年金保険料は年度ごとに変わるため、1歳になるまでの金額を計算するときは年度をまたいで計算します。

2026年度の月額は17,920円、2027年度の月額は18,290円です。

ここでは2026年10月1日に子どもが生まれ、父母とも全期間で第1号被保険者である単胎出産の例を計算します。

対象者・期間 計算 免除額
父:2026年10月~2027年9月 17,920円×6か月+18,290円×6か月 217,260円
母の育児免除:2027年1月~9月 17,920円×3か月+18,290円×6か月 163,500円
新しい育児免除の夫婦合計 217,260円+163,500円 380,760円
母の産前産後免除:2026年9月~12月 17,920円×4か月 71,680円
産前産後免除を含む世帯合計 380,760円+71,680円 452,440円

「40万円以上得する」という説明には、従来からある母の産前産後免除まで含めた数字が混ざることがあります。

新制度だけの効果と従来制度を含む総額を分け、各年度の月額で計算することが大切です。

実際の対象月は出生日、出産予定日、養育開始日、被保険者区分によって変わります。

免除額がそのまま手取り増になるとは限らない

国民年金保険料を自分で支払うと、その年の所得税と住民税で社会保険料控除を受けられます。

育児免除で支払わなかった保険料は控除対象にならないため、保険料の免除額と家計の実質的な改善額は完全には一致しません。

父の免除額217,260円について、所得税と住民税を合わせた限界税率を単純化して計算すると次のとおりです。

想定する限界税率 失う控除効果の目安 家計改善額の目安
15% 約32,600円 約184,700円
20% 約43,500円 約173,800円
30% 約65,200円 約152,100円

この試算は所得控除額に一定税率を掛けただけの概算です。

所得税率、住民税、他の所得控除、家族構成、事業所得の状況により実際の差額は変わります。

社会保険料控除の基本は次の記事で確認できます。

産休・育休中は配偶者控除の対象になる?給付金の非課税と2025年改正後の所得基準 共働きでも、産休・育休でその年の給与収入が大きく減った場合、配偶者控除や配偶者特別控除の対象になることがあります。出産手当金や育児休業...

一般免除より将来の年金額で有利

育児期間の免除は、保険料を払わなくても老齢基礎年金の計算では納付済み期間として全額反映されます。

所得が少ない人向けの一般免除や学生納付特例とは、将来の年金額への反映方法が異なります。

制度 所得審査 老齢基礎年金への反映
育児期間免除 なし 納付済みとして全額反映
一般の全額免除 あり 原則として2分の1を反映
納付猶予・学生納付特例 あり 追納しない限り年金額には反映されない

すでに一般免除、納付猶予、学生納付特例の承認を受けている期間でも、育児免除の要件を満たす月は育児免除として届け出る意味があります。

将来の年金額を減らさず、追納も不要になるためです。

所得減少時の国民年金免除との違いは、次の記事でも確認できます。

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前納済みでも申請し、付加保険料は別に考える

国民年金保険料を6か月、1年、2年前納していても、育児免除の対象から外れるわけではありません。

免除が認められた月の前納分は、将来の保険料へ充当または還付されるため、前納済みでも申請します。

口座振替やクレジットカード納付を設定している人は、免除開始後の請求と還付方法も確認してください。

付加保険料は月400円を続けられる

育児期間の免除中も、付加保険料の月400円は納付できます。

将来の付加年金額は「200円×付加保険料を納めた月数」で計算されるため、原則として受給開始後2年で納付額相当を回収できる仕組みです。

ただし、国民年金基金やiDeCoとの併用条件は制度開始までに運用案内が更新される可能性があるため、現時点で一律に断定しません。

申請はマイナポータル、窓口、郵送を予定

日本年金機構は、マイナポータルからの電子申請、市区町村の国民年金窓口、年金事務所への書面提出または郵送を案内しています。

自動的に免除される制度ではないため、対象者本人が届出を行う必要があります。

申請前に確認する順番
  1. 対象月に自分が第1号被保険者かを確認します。
  2. 子どもの出生日、養育開始日、1歳の誕生日を確認します。
  3. 子どもと同じ住所で養育していることを確認します。
  4. 母は産前産後免除と重なる月を分けます。
  5. 夫婦とも第1号なら、それぞれが届出を準備します。
  6. 前納済み保険料、口座振替、付加保険料の扱いを確認します。
  7. 受付開始後に日本年金機構の最新様式と添付書類を確認します。

申請期限や添付書類を、現段階で既存の産前産後免除と同じだと決めつけないでください。

施行規則と受付システムの最終案内が更新されたら、日本年金機構の専用ページで確認する必要があります。

国民健康保険料は自動で免除されない

この制度が免除するのは国民年金保険料です。

自営業者等が加入する国民健康保険料や国民健康保険税まで、同じ期間に全額免除される制度ではありません。

国民健康保険には、出産する被保険者の産前産後期間について所得割額と均等割額を軽減する別制度があります。

対象者、期間、届出方法は自治体と加入制度で確認してください。

国民年金の育児免除に関するよくある質問

収入が多い自営業者も利用できますか?

利用できます。

育児期間の免除には所得制限がなく、仕事を継続していることだけを理由に対象外にはなりません。

フリーランスの父親も対象ですか?

対象月に第1号被保険者で、1歳未満の子どもを同居して養育するなどの要件を満たせば対象です。

母だけに限定された制度ではありません。

夫婦ともフリーランスなら二人とも申請できますか?

夫婦とも対象月に第1号被保険者であれば、それぞれ申請できます。

夫婦のうち一人分しか認められない制度ではありません。

2026年10月より前に生まれた子も対象ですか?

2026年10月時点で1歳未満などの要件を満たしていれば、2026年10月以後の残りの対象月について申請できます。

2026年9月以前の月は育児免除の対象になりません。

免除を受けると将来の年金が減りますか?

育児免除の承認月は、老齢基礎年金の計算で保険料を納付した月として全額反映されます。

一般の全額免除のように反映が2分の1になる制度ではありません。

会社員の夫や妻は申請できますか?

厚生年金に加入する第2号被保険者は、この国民年金の育児免除の対象外です。

産前産後休業・育児休業中の社会保険料免除を確認してください。

前納していたら申請する意味はありませんか?

前納済みでも申請する意味があります。

承認された対象月の保険料は、他の期間への充当または還付の対象になります。

iDeCoを続けられますか?

育児免除期間のiDeCo加入・拠出条件は、2026年7月時点では利用者向けの最終的な運用案内を確認できないため、この記事では断定しません。

掛金を止めたり変更したりする前に、国民年金基金連合会と利用中の運営管理機関の最新案内を確認してください。

まとめ

2026年10月からの育児免除は、第1号被保険者が1歳未満の子どもを育てる期間の国民年金保険料を免除する制度です。

所得制限がなく、夫婦とも第1号なら双方が使え、免除月も将来の老齢基礎年金へ全額反映されます。

自動適用ではないため、出生日、被保険者区分、産前産後免除との重複、前納分を整理し、受付開始後に最新の様式で申請しましょう。

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