年金の扶養親族等申告書が届いたら?2027年分から住民税のみの人も提出対象

年金受給者向けの「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は、2027年分から送付対象が広がります。
日本年金機構は、65歳以上では年金額148万円以上、65歳未満では98万円以上の人へ、2026年10月から申告書を順次送る予定です。
これまで所得税が年金から源泉徴収されていなかった人にも、住民税の控除を申告するための書類が届く場合があります。
ただし、申告書が届いた人全員に提出義務があるわけではありません。
本人が障害者、寡婦、ひとり親に該当する場合や、控除対象となる配偶者、親族がいる場合などに提出します。
届いた後の判断
書類の対象年と提出期限を確認し、本人または扶養親族等について受けられる控除があれば提出します。
控除対象者も住民税欄の申告事項もなければ、原則として提出は不要です。
2027年分から変わる送付対象
2027年分の変更点は、所得税の源泉徴収対象者だけでなく、住民税の人的控除を申告する可能性がある年金受給者にも書類が送られることです。
2026年分までは、原則として年金から所得税が源泉徴収される金額以上の人が送付対象でした。
2027年分は、住民税が課税される可能性のある年金額まで送付範囲が広がります。
| 対象 | 2026年分の送付目安 | 2027年分の送付目安 |
|---|---|---|
| 65歳以上 | 年金205万円以上 | 年金148万円以上 |
| 65歳未満 | 年金155万円以上 | 年金98万円以上 |
2027年分の所得税の源泉徴収が始まる年金額は、65歳以上が214万円以上、65歳未満が164万円以上です。
そのため、65歳以上では148万円以上214万円未満、65歳未満では98万円以上164万円未満の人が、新たに申告書を受け取る中心層になります。
住民税の非課税限度額は住所地の級地区分で異なります。
単身者の場合、65歳以上は148万円、151万5,000円、155万円、65歳未満は98万円、101万5,000円、105万円のいずれかが目安です。
日本年金機構は、このうち最も低い金額を基準に申告書を送る予定です。
申告書の提出が必要になる人
申告書は、年金から計算される所得税や翌年度の住民税で、配偶者控除、扶養控除、障害者控除などの人的控除を受けるために使います。
次のいずれかに当てはまる場合は、届いた申告書の記載内容を確認します。
| 状況 | 確認する欄 | 提出判断 |
|---|---|---|
| 本人が障害者、寡婦、ひとり親に該当する | 本人の区分 | 該当する控除を受けるなら提出 |
| 控除対象となる配偶者や親族がいる | 配偶者、源泉控除対象親族 | 所得見積額などを確認して提出 |
| 16歳未満の扶養親族がいる | 住民税に関する事項 | 住民税の申告事項があれば提出 |
| 退職手当等を受ける見込みの配偶者や親族がいる | 住民税に関する事項 | 該当事項を記入して提出 |
| 上記のどれにも該当しない | 申告事項なし | 原則として提出不要 |
2027年分では、扶養親族などの合計所得金額の要件が原則62万円以下です。
配偶者や19歳から22歳の親族には別の所得区分があるため、年金、給与、事業などを合計した見積所得で判定します。
収入額と所得額は同じではありません。
書類に同封される手引きの所得計算表を使い、収入だけで対象外と判断しないことが必要です。
年金180万円の人に書類が届く理由
65歳以上で、2027年中に受け取る老齢年金の見込み額が180万円の人を例にします。
180万円は所得税の源泉徴収が始まる214万円を下回るため、年金から所得税が差し引かれない範囲です。
一方で、申告書の送付目安である148万円以上には該当します。
| 年金見込み額 | 180万円 |
|---|---|
| 所得税の源泉徴収 | 214万円未満なので原則なし |
| 申告書の送付 | 148万円以上なので対象 |
| 提出の意味 | 該当する人的控除を住民税へ反映する |
この例で扶養する配偶者がいる場合や、本人が障害者に該当する場合は、申告書を提出して住民税の控除を申告します。
ただし、住所地の非課税基準、ほかの所得、社会保険料控除などで税額は変わります。
申告書を提出しただけで、全員の住民税が必ず安くなるわけではありません。
書類が届いてから提出するまでの手順
- 表面上部で「令和9年分」と年金の支払者を確認する
- 書類に記載された提出期限を確認する
- 本人、配偶者、親族、住民税欄の該当事項を確認する
- 対象者の2027年中の所得見積額を計算する
- 紙または案内された電子申請で提出する
- 提出内容の控えや電子申請の受付状況を保管する
紙で提出する場合は、同封された返信用封筒と手引きを使います。
電子申請の案内が届いた人は、マイナポータルとねんきんネットを連携し、スマートフォンやパソコンから提出できます。
電子申請にはマイナンバーカード、署名用電子証明書のパスワード、対応スマートフォンまたはカードリーダー付きパソコンが必要です。
電子申請を完了した場合は、同じ申告書を紙で重ねて提出しません。
提出期限を過ぎた場合の対応
国税庁が示す法令上の提出時期は、2027年最初の年金支払日の前日までです。
実際の事務では、日本年金機構から届く申告書に提出期限が記載されるため、その日までの提出を優先します。
期限を過ぎても書類を処分せず、年金の支払者へ早めに提出方法を確認します。
年金の源泉徴収や住民税に控除が反映されなかった場合は、所得税の確定申告または住所地の住民税申告で手続きが必要になることがあります。
2027年分の具体的な再案内日や期限後の再計算方法は、2026年7月29日時点では日本年金機構から公表されていません。
届いた書類の連絡先と最新案内を確認し、前年の期限をそのまま当てはめないでください。
申告書が届かないときの確認先
申告書が届かない理由には、年金見込み額が送付基準未満、電子申請後のペーパーレス化、住所変更が未反映、年金の支払者が日本年金機構以外などがあります。
まずマイナポータルとねんきんネットのお知らせ、登録住所、年金の支払者を確認します。
送付目安以上の年金を受け取る見込みがあるのに案内が見つからない場合は、日本年金機構または年金の支払者へ確認します。
住民税の控除だけを申告したい場合は、住所地の市区町村にも提出方法を確認します。
確定申告との違い
扶養親族等申告書で扱うのは、年金の源泉徴収と住民税に反映する人的控除が中心です。
医療費控除、寄附金控除、初年度の住宅ローン控除などは、この申告書だけでは手続きできません。
これらの控除を受ける場合は、別途、所得税の確定申告や住民税申告を検討します。
2026年12月の年金支払時に行われる所得税の精算は、次の記事で解説しています。
年金受給者がふるさと納税をする場合の控除上限と申告方法は、次の記事で確認できます。
住民税の所得割と控除後の計算方法は、次の記事で整理しています。
よくある質問
扶養している家族がいなくても提出しますか
本人が障害者、寡婦、ひとり親に該当する場合は、扶養親族がいなくても提出対象になり得ます。
本人の控除にも該当せず、住民税欄に書く事項もなければ、原則として提出は不要です。
65歳以上で年金148万円以上なら住民税が必ずかかりますか
必ずかかるわけではありません。
住民税の非課税限度額は住所地、扶養人数、障害者等の該当、ほかの所得によって変わります。
148万円は、日本年金機構が申告書を送る全国共通の下限として使う金額です。
スマートフォンだけで提出できますか
日本年金機構から電子申請の案内が届き、マイナンバーカード、署名用電子証明書のパスワード、対応スマートフォンを用意できれば提出できます。
事前にマイナポータルの利用者登録とねんきんネットとの連携が必要です。
前年と家族の状況が同じでも確認が必要ですか
必要です。
申告対象年、所得見積額、年齢区分、住所、障害者等の区分を確認し、届いた手引きに従って変更の有無を申告します。
届いたら最初に確認する3項目
2027年分からは、所得税が年金から引かれない人にも扶養親族等申告書が届く場合があります。
受け取ったら、対象年と期限、本人や家族の控除、住民税欄の申告事項を順番に確認します。
該当する控除があれば、所得見積額を計算して紙または電子申請で提出します。
該当事項がなければ、届いたという理由だけで提出する必要はありません。
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