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社会保険料(健康保険料・年金保険料)の計算方法と保険料を節約する方法

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社会保険料というのは「健康保険料」+「公的年金保険料(厚生年金保険料)」です。サラリーマンとして働く場合や、一定以上の長時間労働をするアルバイトの場合、勤務先の社会保険に加入することが多いかと思います。

社会保険に加入すると毎月数万円単位でお給料から天引きされれてしまうので、すごくもったいないお金のように感じてしまいます……。

これは働いてもらう側(会社)にとっても同じで、社会保険料は半額を会社が負担しているので社員やアルバイト、パートの社会保険料は非常に重しとなっています。今回はそんな社会保険料の基本的な仕組みとそれを合法的に節約する方法をまとめていきます。

社会保険料の計算方法のしくみ

まず、お給料から天引きされる社会保険料のしくみを理解します。社会保険料は「健康保険料」と「年金保険料」によって構成されますが、その年間を通じての支払額が決定するのは、4月・5月・6月に支給されたお給料の総額(平均)で計算されます。これを定時決定といいます。

この期間で支払われた給料の平均額が「標準報酬月額」となり、その標準報酬月額を基準として保険料が決定します。これがその年の9月~翌年8月まで有効となります。

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上の表は健康保険・厚生年金保険料の速見表です(東京都・平成28年)。
左側にある「標準報酬・月額」に応じて「全国健康保険協会営業健康保険料」「厚生年金保険料」が決められています。ちなみに、「全額」というのは会社と労働者負担の合計額で「折半額」というのが社員(労働者)の負担額です。

仮に4月、5月、6月の平均の給料が15万円の場合、等級は12となり健康保険料は7470円(月額)、厚生年金保険料は13,371円(月額)となります。

 

標準報酬月額の計算方法

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標準報酬月額は4月、5月、6月のお給料+各種手当の合計です。手当には税金上は所得として扱わない「通勤交通費」についても収入として扱われていまうのが特徴です。

たとえば、基本給が12万円、残業手当が2万円、交通費が1万円という場合は15万円が標準報酬月額の計算金額となります。この3カ月の合計を3で割った数字が標準報酬月額です。

 

社会保険料を合法的に節約する方法

基本的に社会保険料は4月、5月、6月の収入で決まってきます。

そのため、社会保険料を合法的に節約するというのであれば、この時期の収入を抑えてあげれば対応できます。

社会保険料というものは会社と労働者(サラリーマン)が折半して負担するものになっているので、労使ともにメリットがある話となります。

会社経営者の方も、サラリーマンとして働いている方も参考にしてください。

 

4月・5月・6月は残業しない、できるだけ歩合を付けない

この定時決定におけるお給料の総額には「残業代」や「歩合給」なども含まれて計算されます。つまり、支給月4月~6月の間にたくさん残業した場合や、歩合によって多くの報酬をもらってしまった場合には、1年間の社会保険料コストも上昇してしまいます。

なので、できるのであれば、支給が4月~6月の間はできる限り残業をしないという選択が保険料を節約する上での有効打となります。

※定時決定は「支給月」で計算されます。例えば、3月分のお給料が4月10日に支払われるような場合には、3月、4月、5月の残業分が年金保険料の計算対象となります。歩合給の場合も同様です。

例えば、毎月のお給料(固定給)が25万円だとします。平均的に毎月3万円の残業代がついているとします。この場合で、4月~6月の間で残業代をゼロとした場合、どれくらい社会保険料を節約できるのかをシミュレーションしてみます。

この場合の標準月額は28万円(21等級)となり、国民健康保険料(40歳未満)で13160円、厚生年金保険料が22,481円となります。合計35,641円(年間427,692円)となります。

一方で、残業代を3ヶ月間だけゼロにした場合の標準月額は24万円(19等級)となり、国民健康保険料(40歳未満)で11280円、厚生年金保険料が19269円となります。合計30549円(年間366,588円)となります。

その差額は61,104円にも上ります。(事業主負担分も加味すればその2倍の122,208円)

もっとも、4月~6月の残業代がゼロになるわけですから、9万円分収入は少なくなります。しかし、4月~6月の残業はしない代わりに7月以降に残業をスライドするなどすればよいだけです。

社会保険料は、従業員と雇用者(事業主)が折半して負担しているので、この対策は事業主にとっても社会保険料の削減で恩恵を受けることができます

7月以降に残業代や歩合給といった「非固定的賃金」が増加した場合でも社会保険料は増加しません。

ただし、ボーナス(賞与)の支給や一定以上の固定給の上昇・下落がある場合は別です。その場合は変更されることがあります(後述します)。

 

交通費を減らす。会社の近くに引っ越しをする

通勤交通費は所得税の計算においては非課税ですが、社会保険料の計算では交通費も収入として計算します。

そのため、同じお給料でも遠方から通勤している人(交通費が高い人)はその分、高くの健康保険料+厚生年金保険料を支払う必要が出てきます。

可能であれば、会社の近くに引っ越しをするというものは有効な方法の一つといえるでしょう。

 

家賃補助よりは借り上げ社宅

家賃補助という福利厚生を行っている会社もあるはずです。ただ、この家賃補助は給料と同じで税金がかかります。社会保険料の標準報酬月額にも含まれます。

一方で、社宅(民間のアパートやマンションを会社が借りて従業員に貸す借り上げ社宅もOK)は違います。

会社がアパート、マンションを借りて、実際の家賃の25%~50%くらいで社員に貸します。会社としては賃料が全額経費、従業員は家賃差額は所得、標準報酬月額に含まれないため、社会保険料の節約だけでなく、所得税・住民税の節税にもなります。

二つの制度があるような場合は、借り上げ社宅を選択するべきです。

また、会社も家賃補助を出すくらいなら借り上げ社宅制度を作ったほうが、社員だけでなく、家賃分が全額経費(損金)にできるメリットがあります。

 

昇給は7月支給分にすれば節約できる?

ちなみに、じゃあ、4月~6月の間の給料だけ安くして、7月以降上げればいいんじゃない?というアイデアも有効です。

会社の提示昇給を7月支給分からにしておけば、定時計算の対象とならないため、社会保険(健康保険料・年金保険料)を幾分か節約できることになります。

ただし、昇給において標準報酬月額が2等級以上「固定的賃金の変動」があった場合は再計算(随意改定)を行う必要がありますので注意が必要です。

 

逆に給料が下がった場合は?

7月以降にお給料が下がった場合はどうなるのでしょうか?コチラの場合も基本給などの固定給が下がった場合には随意改定を行うことができますが、残業代や歩合給といったような「非固定給が下がった場合に随意改定はできません」。

そのため、4月~6月が忙しかったり営業成績がよく、お給料は高かったけど、7月からさっぱりでお給料が安くなったという場合には随意改定ができず、給料(総支給)は下がったけど保険料は高いままといった事態となります。

ちなみに、アルバイトも同様で、4月~6月の給与計算期間中に長めのシフトに入っていて給料が結果的に高くなった場合は社会保険料が高くなりますが、それ以降のシフトが減ってバイト代が下がっても社会保険料は下がりません。
一方で、あまりないと思いますが時給(単価)が下がった場合は社会保険料は随意改定が可能です。

このような状況が恒常的に起こりうる業界・会社の場合は従業員の為にも給与体系の変更や修正を検討したほうがいいかもしれません。

 

社会保険料の節約はサラリーマン、会社ともにメリット大

いかがでしょうか?個人だけで取り組める部分もあれば、法人(会社)も一緒に取り組まなくてはならない項目もあります。社会保険料という保険料の計算方法は税金と違ってやや「大雑把」なところがあります。

そのため、給料の受け取り方ひとつで、社会保険料が増えたり減ったりする人が出てきているのです。制度を悪用するというのは問題でしょうが、上手に活用することに問題は無いと思います。

実際、社会保険料負担はすでに収入の3割(労使合計)に到達しており、ひとによっては所得税や住民税といった税金よりも社会保険料のほうが高いケースも少なくありません。

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自分たちでコントロールできる範囲で、社会保険料の節税(?)をしていきましょう。

 

以上、社会保険料(健康保険料・年金保険料)の計算方法と保険料を節約する方法をまとめてみました。