住宅ローン固定金利特約のメリットと注意点

固定金利特約とは、住宅ローンの金利を5年、10年、20年など一定期間だけ固定する仕組みです。

金融機関によっては「固定期間選択型」と呼ばれます。

借入当初の金利を全期間固定より低くしやすい一方で、固定期間が終わると、その時点の金利と優遇幅で返済額が再計算されます。

そのため、当初10年の返済額だけを見て借入額を決めると、固定期間終了後に家計が苦しくなることがあります。

この記事では、固定金利特約の仕組み、変動金利や全期間固定との違い、終了後の選択肢、返済額の増え方、借換えや繰上返済を考えるタイミングを整理します。

金利条件は2026年6月30日時点で確認できる公開情報をもとに、考え方がわかるようにまとめています。

この記事の要点

  • 固定金利特約は、一定期間だけ金利を固定する住宅ローンです。
  • 固定期間終了後は、変動金利へ移るか、再び固定期間を選ぶのが一般的です。
  • 当初引下げ型は、最初の固定期間だけ金利優遇が大きく、終了後の優遇幅が小さくなることがあります。
  • 金利が上がらなくても、優遇幅が縮むだけで返済額が増える場合があります。
  • 固定期間が終わる2年から3年前には、借換え、繰上返済、返済額増加への備えを確認します。

固定金利特約と変動金利、全期間固定の違い

住宅ローンの金利タイプは、大きく変動金利、固定金利特約、全期間固定に分けられます。

固定金利特約は、変動金利と全期間固定の中間にある仕組みです。

固定期間中は返済額を読みやすくできますが、完済まで金利が固定されるわけではありません。

金利タイプ 特徴 向いている人
変動金利 金利が低めになりやすいが、将来の金利上昇リスクを借り手が負う 返済余力があり、金利上昇時に繰上返済や借換えを検討できる人
固定金利特約 5年、10年、20年など一定期間だけ金利を固定する 一定期間の返済額を安定させつつ、全期間固定より低い金利を狙いたい人
全期間固定 完済まで金利と返済額が原則として決まる 返済額の変動を避け、長期の家計計画を固めたい人

固定金利特約は「10年固定」と表示されるため、10年後も同じ条件が続くように見えます。

しかし、固定されるのは最初の10年間だけです。

11年目以降は、その時点の金利条件で新しい金利タイプを選ぶことになります。

固定金利特約のメリット

固定金利特約のメリットは、固定期間中の返済額を確定しながら、全期間固定より低い金利を選べる場合があることです。

子どもの教育費が増える時期まで返済額を安定させたい人や、10年から15年程度で繰上返済を進めたい人には使いやすい場面があります。

借入直後はローン残高が大きいため、当初の金利が低いと元金の減り方にも影響します。

ただし、住宅ローン控除を受けている期間中は、繰上返済によって控除額や手元資金がどう変わるかも合わせて見ます。

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固定金利特約のデメリット

固定金利特約のデメリットは、固定期間が終わった後の返済額が読みにくいことです。

金利上昇だけでなく、金利優遇幅の縮小でも返済額が増えます。

三菱UFJ銀行の住宅ローン金利ページでは、当初固定期間終了後の固定10年、固定20年について、当初とは別の引下げ幅が示されています。

このように、当初の大きな優遇がずっと続く前提で返済計画を作ると、終了後の負担を過小評価します。

固定期間終了後に返済額が増える主な理由

  • 市場金利が上がり、基準金利が上がる
  • 当初の金利優遇幅より、終了後の優遇幅が小さくなる
  • 再度選ぶ固定期間の種類によって適用金利が変わる
  • 変動金利へ移った場合の返済額見直しルールが契約ごとに違う

当初引下げ型と全期間引下げ型の違い

固定金利特約を選ぶときは、当初引下げ型と全期間引下げ型を分けて見ます。

当初引下げ型は、最初の固定期間の金利を大きく下げる代わりに、固定期間終了後の優遇幅が小さくなるタイプです。

全期間引下げ型は、借入期間中の優遇幅が比較的一定になりやすいタイプです。

当初の見た目の金利だけなら、当初引下げ型が有利に見えることがあります。

しかし、固定期間終了後も返済が長く続く人は、終了後の優遇幅と残り期間の返済額まで見ないと判断できません。

タイプ 見たいポイント 注意点
当初引下げ型 最初の固定期間の適用金利 固定期間終了後に優遇幅が小さくなり、返済額が増えやすい
全期間引下げ型 借入期間全体の優遇幅 当初金利は当初引下げ型より高く見えることがある

固定期間終了後の選択肢

固定期間が終わると、借り手は変動金利へ移るか、再び固定金利特約を選ぶのが一般的です。

どちらを選んでも、契約時の金利ではなく、終了時点の金利条件が使われます。

固定期間終了の案内が届いてから慌てて選ぶと、借換えや繰上返済の検討時間が足りません。

遅くとも終了の1年前、できれば2年から3年前には、残高、残り期間、家計の余力、他行借換えの条件を並べておきます。

変動金利へ移る場合

変動金利へ移ると、固定期間終了後の金利を下げられる場合があります。

ただし、将来の金利上昇リスクは借り手が負います。

変動金利には返済額の見直しルールがありますが、固定金利特約から移った後にどう扱われるかは契約条件で異なります。

返済額の上限ルールだけを見て安心せず、未払利息や元金の減り方まで確認します。

再び固定金利特約を選ぶ場合

再び固定金利特約を選べば、次の固定期間中の返済額は読みやすくなります。

一方で、終了時点の固定金利が上がっていれば、返済額も増えます。

当初引下げ型で借りている場合、同じ10年固定を選んでも、最初の10年と同じ優遇幅が使われるとは限りません。

返済額はどれくらい増えるか

返済額の増え方は、残高、残り期間、終了後の金利で変わります。

例として、3,000万円を35年返済、当初10年の金利1.2%で借りたとします。

この場合、毎月返済額は約87,500円です。

10年後の残高が約2,267万円残り、残り25年を2.5%で返すなら、毎月返済額は約101,700円になります。

3.0%なら約107,500円、3.5%なら約113,500円です。

前提 毎月返済額の目安 当初比
当初10年、1.2% 約87,500円 基準
終了後25年、2.5% 約101,700円 約14,200円増
終了後25年、3.0% 約107,500円 約20,000円増
終了後25年、3.5% 約113,500円 約26,000円増

この試算は、元利均等返済、ボーナス返済なしで概算しています。

実際の返済額は金融機関の計算方法、保証料、団体信用生命保険、手数料、返済方式で変わります。

それでも、固定期間終了後の返済額が月1万円から2万円以上増える可能性を家計に入れておく意味はあります。

固定金利特約を選ぶ前に見る項目

固定金利特約は、危険な商品というより、終了後の設計が必要な商品です。

当初金利だけで選ばず、次の項目を確認します。

契約前に見る項目

  • 当初固定期間中の適用金利
  • 固定期間終了後の金利優遇幅
  • 変動金利へ移った場合の返済額見直しルール
  • 再度固定金利特約を選ぶときの手数料
  • 繰上返済手数料と一部繰上返済のしやすさ
  • 借換え時の事務手数料、保証料、登記費用
  • 団体信用生命保険の保障内容

返済額の余裕を確認するなら、借入前にストレステストをしておくと判断しやすくなります。

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借換えを考えるタイミング

固定期間終了が近づいたら、同じ銀行で更新するだけでなく、借換えも候補に入れます。

借換えには事務手数料、保証料、登記費用などがかかるため、金利差だけで判断できません。

残高が大きく、残り期間が長く、金利差があるほど、借換え効果は出やすくなります。

反対に、残高が少ない、残り期間が短い、諸費用が高い場合は、同じ銀行での条件変更や一部繰上返済のほうが現実的なこともあります。

低金利時代に長期固定へ借り換える考え方は、次の記事でも扱っています。

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固定金利特約が向いている人

固定金利特約が向いているのは、固定期間中に返済計画を進められる人です。

たとえば、10年固定を選び、10年後までに繰上返済資金を準備する、教育費のピークを過ぎる、収入増を見込むといった計画がある場合です。

一方で、当初の返済額で家計がぎりぎりなら、固定期間終了後の負担増に耐えにくくなります。

この場合は、借入額を下げる、全期間固定を検討する、返済期間や頭金を見直すほうが堅実です。

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参考:三菱UFJ銀行「住宅ローン金利」。確認日:2026年6月30日。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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