古い投資信託の乗り換えと信託報酬の見直し

昔に購入したインデックスファンドや銀行・証券会社の窓口で勧められた投資信託を、今もそのまま保有していませんか?

投資信託の世界では、ここ10年ほどで信託報酬の引き下げ競争が大きく進みました。以前は「低コスト」とされていたインデックスファンドでも、現在の水準で見るとかなり割高になっているケースがあります。

ただし、古い投資信託をすぐ売って最新の低コストファンドに乗り換えれば必ず得、というほど単純ではありません。特定口座で含み益が出ている場合、売却時に税金が発生するからです。

この記事の結論

  • これからの新規積立は、できるだけ早く低コストファンドへ切り替える
  • 特定口座の既存残高は、信託報酬差と売却時の税金を比較して判断する
  • 新NISA枠が使えるなら、古いファンドを段階的に売却して移す選択肢もある
  • 含み益が大きい場合は、相場下落時や損益通算のタイミングを活用すると税負担を抑えやすい

今回は、古い投資信託を持ち続けるデメリット、乗り換え時に注意したい税金、そして新NISAを使った現実的な買い替え戦略を整理します。

古いインデックスファンドは信託報酬が高いことがある

インデックスファンドは、日経平均株価、TOPIX、S&P500、全世界株式など、特定の指数に連動することを目指す投資信託です。同じ指数に連動する商品であれば、値動きの方向性は基本的に似ています。

そこで重要になるのが、信託報酬などのコストです。

信託報酬とは?

投資信託を保有している間、ファンドの純資産から日々差し引かれる運用管理費用です。口座から現金で直接支払うわけではないため気づきにくいですが、長期投資ではリターンを確実に押し下げるコストになります。

たとえば、日経平均に連動するインデックスファンドでも、低コストな商品では年0.1%台の信託報酬で投資できる一方、古くからある商品では年0.6%、年0.8%台といった水準のものもあります。

ファンド例 販売手数料 信託報酬の目安 見直しポイント
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)など 無料 年0.1%台 現在の低コスト水準
楽天・プラス・日経225インデックス・ファンドなど 無料 年0.1%台 新規購入候補になりやすい
旧世代のインデックスファンド 無料または有料 年0.4%〜0.8%台 乗り換え検討の対象

同じ日経平均に連動する投資信託でも、信託報酬が年0.143%のファンドと年0.81%のファンドでは、毎年約0.67%の差があります。たった0.67%と思うかもしれませんが、長期運用ではこの差が複利で効いてきます。

古い投資信託を見直したいサイン

  • 信託報酬が年0.5%を超えている
  • 同じ指数に連動する低コストファンドがある
  • 銀行や対面証券で購入し、販売手数料も支払っていた
  • 保有している投資信託の名前に「旧シリーズ」「オープン」などがあり、長年見直していない

コスト差だけで資産額はどれくらい変わる?

信託報酬の差がどれほど大きいかを、シンプルにシミュレーションしてみます。

ここでは100万円を投資し、指数自体のリターンを年3%と仮定します。低コストファンドの信託報酬を年0.143%、高コストファンドの信託報酬を年0.81%、さらに高コストファンドは購入時に1.1%の販売手数料がかかったものとして比較します。

比較項目 低コストファンド 高コストファンド
投資元本 100万円 98万9,000円
販売手数料1.1%控除後
実質利回り 年2.857% 年2.19%
15年後の評価額 約152.5万円 約136.9万円
差額 約15.6万円

同じ指数に投資しているにもかかわらず、コスト差だけで15年後に15万円以上の差が出る計算です。投資信託の乗り換えを考えるうえで、信託報酬のチェックは避けて通れません。

ただし特定口座の乗り換えでは税金が問題になる

ここで注意したいのが、すでに特定口座で保有している投資信託を売却する場合です。

含み益が出ている投資信託を売却すると、売却益に対して20.315%の税金がかかります。税金を支払うと、その分だけ再投資できる元本が減ります。

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乗り換え判断を難しくするポイント

低コストファンドへ乗り換えれば今後の運用効率は上がります。一方で、売却時に税金を払うと再投資元本が減ります。つまり「毎年のコスト削減効果」と「売却時の税負担」を比較する必要があります。

たとえば、高コストファンドを15年保有して100万円が136万8,677円になっていたとします。この時点で売却すると、利益36万8,677円に対して約7.5万円の税金が発生します。売却後に低コストファンドへ再投資できる金額は、約129.4万円まで減ります。

経過年数 古いファンドを継続 低コストファンドへ乗り換え
乗り換え時点 1,368,677円 約1,293,770円
課税後に再投資
5年後 1,525,254円
税引き後:1,418,655円
1,485,737円
税引き後:1,446,654円
10年後 1,699,747円
税引き後:1,557,980円
1,666,036円
税引き後:1,590,323円
15年後 1,894,202円
税引き後:1,713,116円
1,873,124円
税引き後:1,755,340円

評価額だけを見ると、乗り換え直後は税金を払った分だけ不利に見えます。しかし、最終的な手取り額で見ると、低コストファンドの効果が少しずつ効いてきます。

判断の目安

  • 今後も10年以上運用を続けるなら、乗り換えの合理性は高くなりやすい
  • 信託報酬差が大きいほど、乗り換えメリットは大きい
  • 含み益が大きいほど、売却時の税負担は重くなる
  • すぐに使う予定のお金なら、無理に乗り換えない判断もあり

新規の積立投資はすぐ低コストファンドに切り替える

すでに保有している投資信託を売るかどうかは慎重に考える必要があります。一方で、これから買う分については判断がシンプルです。

現在も古い高コストファンドへ毎月積立をしているなら、まずは積立設定を停止し、新規買付分を低コストファンドに切り替えましょう。これなら既存の含み益を売却しないため、税金は発生しません。

先にやるべきこと

  1. 現在積み立てている投資信託の信託報酬を確認する
  2. 同じ指数に連動する低コストファンドを探す
  3. 古いファンドの積立設定を停止する
  4. 新NISAまたは特定口座で、新しいファンドの積立設定を作る

投資信託の見直しにあわせて、証券会社の見直しもしておくと効果的です。ネット証券では、クレカ積立のポイント還元や投信保有ポイントなど、実質的なコストを下げる仕組みが用意されています。

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投資信託の積立口座を作るなら、候補になりやすいのはSBI証券と楽天証券です。どちらも低コストファンドの取扱いが多く、新NISAやクレカ積立にも対応しています。

SBI証券の詳細はこちら

楽天証券の詳細はこちら

https://money-lifehack.com/article/1666

特定口座の古い投信は新NISAへの移し替えも検討

2024年以降の新NISAでは、年間投資枠が拡大し、非課税保有期間も無期限になりました。長期で持ち続けるインデックスファンドほど、新NISAとの相性はよいです。

ただし、特定口座で保有している投資信託を新NISA口座へそのまま移管することはできません。新NISAで保有したい場合は、いったん特定口座の投資信託を売却し、その資金で新NISA口座内で買い直す必要があります。

特定口座から新NISAへ移す流れ

特定口座の古い投信を売却 → 税金を精算 → 現金化 → 新NISA口座で低コストファンドを購入、という流れになります。

相場下落時は買い替えの税負担を抑えやすい

相場が大きく下落すると、保有資産の評価額が下がるため気持ちとしては不安になります。ただ、買い替えという視点では、含み益が圧縮されることで売却時の税金を抑えやすくなります。

同じ指数に投資し続ける前提なら、下落時に古い高コストファンドを売却し、できるだけ間を空けずに新NISAで低コストファンドを買い直すことで、投資対象を維持しながらコストと税負担を調整できます。

損益通算できるタイミングも活用する

特定口座内で損失が出ている株式や投資信託を売却する予定があるなら、古い投資信託の売却益と損益通算できる場合があります。

同じ年に発生した売却益と売却損は相殺できます。古い投信の売却益にかかる税金を、他の損失で減らせる可能性があるわけです。

注意点

新NISA口座内の利益や損失は、特定口座の利益・損失と損益通算できません。損益通算を考える場合は、あくまで特定口座や一般口座で発生する損益同士の話として整理しましょう。

古い投資信託を乗り換えるかの判断フロー

迷ったときは、次の順番で確認すると判断しやすくなります。

確認項目 見るポイント 判断
信託報酬 同じ指数の低コストファンドと比べて高いか 差が大きいほど乗り換え候補
含み益 売却時の税金がどれくらいか 含み益が大きいほど慎重に
運用期間 今後何年保有する予定か 長期ほど低コスト化の効果が出やすい
NISA枠 新NISAで買い直せる余裕があるか 枠があるなら移行候補
損益通算 同じ年に売却損があるか 税負担を抑えられる可能性

投資信託の購入は「買う時」と「持つ時」の両方で最適化する

投資信託を選んだあとは、どの証券会社で買うかも重要です。現在の最適解は、クレカ積立で購入時のポイント還元を受けることと、投信保有ポイントが高い証券会社で長期保有することを組み合わせる考え方です。

投信購入後のチェックポイント

  • 毎月の積立はクレカ積立に対応した証券会社を使う
  • 長期保有するファンドは、投信保有ポイントの対象か確認する
  • ポイント還元よりも、ファンド自体の信託報酬の低さを優先する
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まとめ:新規積立は即見直し、既存残高は税金込みで判断

古い投資信託を保有している場合、信託報酬の高さは長期的なリターンを確実に押し下げます。特にインデックスファンドは、同じ指数に連動するならコストが低い商品を選ぶのが基本です。

一方で、特定口座で含み益が出ている投資信託を売却すると税金が発生します。そのため、既存残高については「税金を払ってでも低コストファンドに乗り換える価値があるか」を冷静に比較する必要があります。

最終的な考え方

  • 新規積立分はすぐに低コストファンドへ切り替える
  • 特定口座の古い投信は、税金と信託報酬差を比較する
  • 新NISA枠があるなら、段階的な買い替えを検討する
  • 相場下落時や損益通算のタイミングは、買い替えの好機になりうる

投資信託の見直しは、派手な投資テクニックではありません。しかし、不要なコストを減らし、NISAの非課税メリットを活かすことは、長期の資産形成ではとても大きな差になります。古いファンドを持ったまま放置している方は、一度信託報酬と保有口座を確認してみましょう。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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