日経平均株価やTOPIX、S&P500といったような株価指数に連動するように作られているファンドをインデックスファンド(パッシブファンド)と呼び、そうした指数よりも高いリターンを得ることができるようにファンドマネージャーが投資対象を相場観や特定の投資戦略をもって投資するファンドをアクティブファンドと呼びます。
投資信託で資産運用をするとき、インデックスファンドで運用するのが有利なのか?それともアクティブファンドで運用するのが有利なのか?この二つは投資信託業界では大きなテーマとなっていました。
ただ、こうした結果についてアクティブファンドはインデックスファンドにパフォーマンスで勝てないという、証券会社や銀行といった販売者側からすると大変不都合な真実が浮き上がってきています。今回はそんなアクティブファンドとインデックスファンドの比較について考えていきたいと思います。
指数に連動するインデックス運用とプロによるアクティブ運用
要するに日経平均に直接投資するような投資スタイルがいいのか?それとも投資のプロが日本株の中から、これは上がりそうだという相場観などをもって選別した株の方がいいのか?という論争になります。
この辺りは、色々と調査されております。結果はアクティブファンドの惨敗です。投資のプロは株価指数に勝てないという結果が出ています。
SPIVAスコアカードによる分析
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが分析、結果を公表している記録結果です。アクティブ運用とパッシブ運用(指数運用)はどちらが良いのか?という分析を行ったものです。統計にも続く調査なので、結果としては信頼できるものになっているはずです。
以下の表は、S&Pが統計をとった日本で販売されているアクティブファンドが、S&Pの各種株価指数に対してアンダーパフォーム(下回った)アfンドの比率を示したものです。ファンドの5年前にパッシブ運用したケースと比較して約7割のアクティブファンドがそれを下回る結果しか出せなかったということになります。
データ引用元:SPIVA ® Japan Scorecard
3年間 | 5年間 | 10年間 | |
---|---|---|---|
S&PJapan500 (日本株全体) |
62.88% | 69.33% | 69.06% |
S&P/TOPIX150 (日本大型株) |
60.30% | 73.72% | 68.67% |
S&P Japan MidSmallCap (日本中小型株) |
62.60% | 52.41% | 67.69% |
S&P500 (米国株) |
100% | 96.55% | 90.00% |
S&P Global1200 (世界株) |
90.73% | 91.43% | 93.65% |
S&P Emerging BMI (新興国株) |
83.33% | 93.15% | 95.45% |
日本のアクティブファンドだからというわけではないのかもしれませんが、日本株も負け越していますが、外国株に対するアクティブファンドの負けっぷりがすごいですね。米国株、世界株、新興国株は90%以上負けています。
これを見ると、アクティブファンドは国内株はともかく(それでも6~7割は負ける)として、外国株についてあはアクティブファンドで投資をするのがほぼ指数に負けるという結果になってしまいます。
なぜアクティブファンドは指数(インデックス)に勝てないのか?
いくつか理由があると思いますが、私は以下の2点が大きいように考えています。
- 手数料(運用コスト)が高すぎる
- そもそもの指数はアクティブ投資家によってつくられた数字
手数料(運用コスト)が高すぎる
アクティブファンドがインデックスファンド(パッシブ運用)に勝てないもっとも大きな理由はその運用コストの高さが挙げられます。日本の投資信託では「信託報酬」といって投資信託の純資産総額に対して定率の手数料を徴収しています。
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アクティブファンドはこの信託報酬の設定が高いです。特に外国株投資に投資をするようなファンドの場合、年率で2%近い信託報酬が設定されれいるファンドも珍しくありません。
仮に2%が運用経費として差し引かれるとすると、インデックス運用よりも高いリターンをあげる必要があります。それだけの高いリターンを常に上げ続けるというのは困難になるというのがアクティブファンドがインデックスファンドに負けるもっとも大きな理由といえるでしょう。
そもそもの指数はアクティブ投資家によってつくられた数字
そうはいっても、アクティブファンドのファンドマネージャーはプロの投資家なんだから、数%程度のリターン差くらいプロの実力でインデックス(指数)を上回れるんじゃないの?という考えもあるでしょう。
それは確かにその通りなのかもしれませんが、そもそもの株価指数自体が、多くのプロ投資家による価格形成プロセスを経た合理的な金額になっているという事もプロ投資家がインデックスファンド(指数)に勝てないよう原因の一つです。
世の中には多くの市場参加者(プレイヤー)がいます。アクティブファンドによる運用もその一つです。保険会社や投資会社などの機関投資家も株式等で資産運用をしています。このようなプロの投資家による投資が日々行われており、そうしたプロの投資家による売買の結果で算出されているものが日経平均株価やTOPIXといった株価指数なわけです。
つまり、TOPIXや日経平均株価、S&P500、MSCIコクサイといったようなインデックスファンド(パッシブ運用)というもの自体が多数のアクティブ投資家たちが、企業分析や業界分析などをして汗水たらして形成した合理的な価格になっているわけです。
インデックスファンド(インデックス投資)というのはそうしたプロ投資家による価格形成にほぼタダ乗り(フリーライド・フリーランチ)しているような状況であるといえます。
そういった意味で世の中のすべての投資家がアクティブ投資をやめてインデックス投資(パッシブ投資)をするようになると、合理的な価格形成はできないということになります。そうなってくると、そうしたインデックスの動きを逆に利用するアクティブファンド(アクティブ運用)が儲かるようになるんでしょうけど。ちなみに、経済学ではこうしたことを合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)といいます。
コンサートでみんなが座っている中で一人だけ立てばよく見えますが、周りみんなが経ったら経っているという事についてのアドバンテージがなくなってしまうという話です。
インデックス投資は合理的な投資家として最良の選択である
まとめると以下のような感じでしょうか。
インデックス運用というのは、アクティブ投資家たち(アクティブファンドに投資をしている人を含む)たちが手間やコスト(手数料)を払ってくれているおかげでできている投資になっている。
そのため、インデックス運用というのは合理的に考えるとフリーライダーであるという非難をアクティブ投資家から浴びることはあるものの、選択としては最良の運用方法である。
というわけで、私は多くのアクティブ投資家の皆様に感謝の気持ちを込めながらインデックス投資をしていきます。
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さらにいえば、その上で儲けに対する税金を払わないっていう方法まであります。代表的なのがNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)ですね。中長期の投資であればNISAやiDeCoを使ってインデックスファンドに投資(積立投資)をしていくというのが最高に効率的だと思います。
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すべてのインデックスファンドがいいわけではない
当たり前のことですが、インデックスファンド=よいファンドというわけではありません。
たとえば、「日経平均株価に連動するおすすめの投資信託(インデックスファンド)」でも書いていますが、同じ日経平均に連動させるインデックスファンドでも手数料がバカ高いものも多数あります。
そのため、投資対象については証券会社のファンド検索ツールなどを利用して調べる必要があります。
アクティブファンドは絶対悪というわけではない
また、アクティブファンドすべてがダメだというつもりはありません。コストを含めてもインデックス運用を大きく上回るファンドもあります。
実際には運用をする人の相場観や銘柄選定(目利き)がうまくいっているファンドもあります。最近だと“ひふみ投信(ひふみプラス・ひふみ年金)”なんかが有名どころですね。
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インデックスファンド>アクティブファンドというのは、全体で見たときにあえてアクティブファンドを選択する優位性はないというお話です。
以上、アクティブファンドはインデックスファンドに収益性で勝てない事実と理由について説明しました。
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