株式投資をするときに配当利回りに注目するというのは非常に良い方法だと思います。高配当銘柄は配当金が安定的であれば、継続的に高いリターンを得ることができます。その一方で注意点もあります。それは高配当が続かない(減配や無配転落)というリスクです。

高配当銘柄(高配当利回りの銘柄)に投資をするときは単純な配当利回りに注目するだけではいけません。今回はそんな高配当銘柄・高配当利回り銘柄に投資をするときの注意点や見るべき財務上の指標を紹介します。

高配当株は株価が安定しやすい

配当利回りは「配当金÷株価×100=配当利回り(%)」で計算されます。
たとえば、1株当たり100円 of の配当を出す会社の株価が2200円の場合、配当利回りは100÷2200×100=4.54%となり、かなり高い水準になります。

こうした高配当銘柄は株価が下落したとしましょう。仮に1600円まで下落したとしましょう。配当金が変わらないとすると配当利回りは100÷1600×100=6.25%と大幅にアップします。

こうなると、配当利回りの高まりによって投資家の買い意欲が増大し、株価下落局面でも株価が安定しやすくなります。

2026年現在の市場環境では、日本銀行の利上げ継続に伴って預金金利が上昇していますが、配当利回り4〜5%台の株式は依然としてインカムゲインの観点から強い魅力を持っています。

高配当株は証券会社のツールなどですぐに見つけられる

こうした高配当株は証券会社が用意しているスクリーニングツールなどで簡単に見つけられます。どの証券会社も配当利回りで企業を検索できるようにしています。

また、配当利回りランキングのような情報を提供しているところもあります。

配当利回りランキングを過信しない

一方でこうした配当利回りランキングについてはそれだけを参考にして投資をするのはお勧めできません。

配当利回りランキングは「前期の配当金(年間)÷現在の株価×100=配当利回り」として計算しています。この計算には今期になって生じた変更点が反映されていない場合があるという点を忘れてはいけません。

業績の下方修正(予想含む)などのマイナスインパクトが生じている可能性

配当利回りは前期(昨年)の配当金をベースに計算しますが、今期もその通りとは限りません。たとえば、今期に業績の大幅な下方修正を行っているというケースを考えてみましょう。

これで株価が大幅に下落、株価が下落すると分子が小さくなるので当然利回りは高くなります。その状態でも配当金の金額を維持できれば利回りは確かに高いままですが、そういう状況では減配(配当金が減る)や無配転落(配当金がゼロになる)というケースもあります。

こういう場合は見かけの配当利回りは高くても実際には利回りが低下あるいはゼロになっているような可能性があります。

実際に例でみてみましょう。
前年度は1000円の株価で30円の配当金が出ていたとします。利回りは3%ですね。ところが業績が急激に悪化して株価が半分の500円にまで下落したとします。この場合、前期配当金をベースにした配当利回りの数字は30円÷500円×100=6%にまで上昇します。

今期も30円の配当が維持できれば6%の配当利回りにはなりますが、これが縮小されるようであれば利回りも当然低くなります。

追加の注意点:特別配当・記念配当の罠
配当利回りランキングの上位には、「創立〇周年記念配当」や「資産売却に伴う特別配当」といった一時的な配当が含まれていることがあります。これらは翌期以降に継続されないため、実態の利回りが歪んで見えてしまいます。投資を検討する際は、決算短信やIR資料で「普通配当」と「特別配当・記念配当」の内訳を必ず確認しましょう。

EPSとDPSは最低でも確認しよう

配当金をベースに株式投資をするときに注目したいのは利回りもそうですが、EPS(一株当たり利益)とDPS(一株当たり配当金)です。

配当金というのは本来、その会社が挙げた利益の一部を投資家に還元するというものです。EPSはその利益水準、DPSはその利益からどの程度を配当金に回しているかを計算する指標です。

「DPS/EPS×100=配当性向(%)」となります。

EPS>DPSであるのが基本

EPSの方がDPSよりも高い必要があります。こうでないならその会社は外部から資金を調達(借金)して投資家に配当金として還元している。いわゆるタコ配状態ということになります。

当然ですが、そんな状態が長く続くはずがありません。

また、EPS>DPSであったとしても、配当性向が高すぎる会社というのはどこか無理をしているといえるでしょう。一般的な主流の見解では、配当性向は30〜50%が健全なバランスとされています。配当性向が高いということはそれだけ、配当金に対するバッファが小さいという事になります。

「利益減=即減配」となるリスクがあります。配当性向については高くても50%くらいをめどにしておきましょう。ただし、一律に60%超が問題とは言い切れない例外もあります。一部の企業では、株価に左右されず株主資本を基準に配当を出す「DOE方式」や内部留保の積極的な活用により、配当性向が100%を超えていても減配リスクが極めて低いケース(例:エーザイなど)も存在するため、企業の配当方針も併せて確認することが大切です。

長期投資を考えるなら配当利回り+EPSの成長を確認しよう

配当利回りをベースに株式投資をする方というのは、短期の株価の変動で利益を取るというよりもその会社の株式を何年もじっくりと保有し、配当金というインカムゲインを安定的に受け取ることが目的のはずです。

そうしたときに重視すべきことはEPSの推移です。EPS(一株利益)が堅調・成長している会社というのを一つの基準としておくとよいでしょう。

増配を続けている

さらにいえば、毎年のように増配している会社というのもおすすめです。連続増配ができるということはそれだけ確確たるビジネスの基盤があるという事の裏返しといえます。

このような企業は大きな問題が生じない限り高配当を維持する傾向があるといえます。

現代的な重要指標:累進配当とDOE(株主資本配当率)
長期投資家が減配リスクを判断するシグナルとして、以下の指標が非常に重視されています。

  • 累進配当:「一度上げた配当は原則として下げない(減配しない)」という企業の明確なコミットメントです。
  • DOE(株主資本配当率):「配当金 ÷ 株主資本」で計算される指標です。一時の利益(EPS)の増減や株価に左右されず、企業の財務健全性と配当の安定性を同時に測ることができます。多くの日本企業が採用を進めており、直近の平均水準は約3.07%です。累進配当とDOEを両方掲げている企業は、長期保有において特に安心感が高くなります。

フリーキャッシュフロー(FCF)のチェックも不可欠
利益(EPS)が計算上で高く出ていても、手元の現金を示す「フリーキャッシュフロー(FCF)」がマイナスの企業は、配当の持続性が低くなります。FCFが安定的にプラスを維持しているかを確認することは、タコ配リスクを別の側面から見抜く標準的な手法です。特にインフラ・通信・金融といったセクターでは、配当余力を測る上でFCFの確認が重要視されています。

新NISA(成長投資枠)と高配当株の相性

高配当株投資を行う上で、税制メリットの活用は外せません。新NISAの「成長投資枠」(年間240万円・生涯投資枠1,200万円)を利用して国内の高配当株を購入すると、通常は約20%課税される国内株の配当金が、完全非課税で受け取ることができます。

ただし、以下の2点には注意が必要です。

  • 外国株の現地課税:米国株などの外国高配当株をNISA口座で保有しても、現地でかかる税金(米国株なら10%)は免除されず、国内株との二重課税を解消する「外国税額控除」もNISA口座内では適用できません。
  • 損益通算が不可:NISA口座内での損失は他の特定口座などと損益通算ができないため、株価が急落して大損するリスクを避けるべく「減配リスクの低い安定銘柄」を最優先に選ぶ戦略が求められます。

※NISA口座で配当金を非課税にするには、証券会社の口座設定で配当金の受取方式を必ず「株式数比例配分方式」に設定しておく必要があります。事前に確認しておきましょう。

ETFで高配当株に投資するという手もある

こうしたチェックが面倒、大変だという方はETF(上場投資信託)を通じてこうした高配当株に間接投資するという手もあります。こちらであればここであげたようなチェックはすでに行われているので手間を省くことができます。

2026年現在、代表的な高配当株ETFとしては以下のような銘柄が挙げられます。これらを活用することで、手軽に多数の銘柄へ分散投資を行うことが可能です。

ETFコード 名称 特徴
1489 NF・日経高配当株50 ETF 直近の配当利回りが約3.9%と高く、信託報酬は0.308%。国内の高配当ETFの中で最も高い人気を誇ります。
1478 iシェアーズ MSCIジャパン高配当利回りETF 幅広い銘柄に分散されており、信託報酬は0.209%と低め。利回りは直近で約2.2%となっています。
インカムゲイン重視。高配当株投資におすすめのETFとその比較株式投資には興味があるけど、短期的な値上がりよりも安定的な高配当(配当金)を重視されるという方もいらっしゃることかと思います。高配当銘柄...

配当利回りで株を買うときのポイントのまとめ

  1. ランキング情報を鵜のみにしない(特別配当や業績悪化による見かけの高利回りに注意)
  2. 財務状況や配当に対する姿勢、経営状況をチェックする(EPS、DPS、配当性向に加え、累進配当、DOE、フリーキャッシュフローも確認)
  3. 新NISA口座を活用する際は、減配リスクの低い安定銘柄を選び、受取方式を「株式数比例配分方式」にする
  4. 面倒なら具体的な高配当株ETF(1489や1478など)を買うという手もある

以上、配当利回りで株式投資をするときの勘所と注意点。見かけの高配当に騙されないコツを紹介しました。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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