海外ETF投資(米国ETF投資)のメリットとデメリット
ETF(上場投資信託)への投資という中でも、海外ETFというのは外国の証券取引所に上場しているETFを指します。なかでも一般的には米国の証券取引所に上場しているETFを指すことが多いです。なので海外ETFではなく、米国ETFと呼ぶこともあります。
米国ETFにはVTI、VOO、IVVなどと呼ばれる非常にコストが安く、長期投資に適したETFがたくさんあります。近年では日本で上場するETFにも低コストのものが増えてはいますが、世界投資(グローバル投資)を考えるのであれば米国ETFは外せません。
今回はそんな海外ETF、米国ETFに投資をする方法とそのメリット、デメリットについてまとめていきます。
海外ETF(米国ETF)への投資の基本
ETFとは、株と同じ様に証券取引所を通じてリアルタイムで売買が可能な投資信託の一種です。
その中でも海外ETF(米国ETF)というのは米国に上場しているETFとなります。こうした海外ETFへの投資の魅力は商品の種類が豊富であることに加えて、運用経費が安く設定されているものが多いという点が特徴です。
日本国内のETFも近年では低コストで運用されているETFも増えており侮れなくはなっていますが、それでも金融先進国である米国の方が圧倒的に低コストなETFが多いのが魅力といえます。
代表的な人気の高いおすすめの米国ETF
以下は米国ETFを代表するおすすめのETFです。現在の状況に合わせて、成長株投資家から絶大な支持を集めるQQQを一覧に加えています。
| ティッカー | 特徴 |
|---|---|
| VT | バンガード・トータル・ワールドストックです。米国をはじめとした各先進国と新興国、大型中小型株と幅広く分散投資された全世界型のETFです。経費率は0.07%となっています。 |
| VTI | バンガード・トータル・ストックマーケット。低コストなインデックスファンドで知られるバンガード社の中でも最も人気の高いETFです。米国株全体に投資をするようになっています。 |
| VOO | バンガードの運用しているETFで、米国の代表的な株価指数であるS&P500の動きに連動するETFです。 |
| QQQ | インベスコQQQトラストです。ナスダック100指数に連動し、テクノロジー株をはじめとする米国の高成長企業へ集中投資を行いたい日本の投資家に非常に人気があります。経費率は0.20%です。 |
| VYM | バンガード・米国高配当株式ETFです。名称のとおり米国の高配当株に投資をするETFです。 |
| VWO | バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETFです。新興国に対して幅広く投資ができるETFとなっています。 |
| SPY | S&P500という、アメリカの証券取引所に上場している約500の銘柄で構成された指数に連動するETFです。 |
| BND | バンガード・米国トータル債券市場ETFは米国の適格債権に投資をするETFです。安定したインカムゲインを目指す方向けのETFです。 |
| GLD | ティッカーからも想像しやすいと思いますが金価格に連動するETFです。 |
これらのETFの何よりの強みは経費率(日本における信託報酬に相当)の安さです。たとえばVTの経費率は0.07%にまで引き下げられており、全世界の株に投資をできるように投資されているETFとしては相当安いです。
たとえば、VT(バンガード・トータル・ワールドストック)と似ている国内ETFに「上場MSCI世界株(1554)」があります。こちらの信託報酬は0.30%となっており、高すぎるとは言いませんが、VTの経費率と比較するとかなりのコスト差があります。
また、コストだけでなく、世界の投資家が投資をしているという点も見逃せません。米国ETFは世界の投資家が売買しているというところもあり、出来高が大きいです。
一方での日本のETFは必ずしも高くありません。たとえば、上記の上場MSCI世界株(1554)はよいETFだとは思いますが、出来高が少なく、過去の取引記録でも一日の売買金額が数百万円程度にとどまる日もあります。
この程度の出来高だと、自分自身の売買注文で価格に影響を与えてしまいます。
(追記)
2017年に楽天投信より上記で紹介したVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)、VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)に間接投資ができる投資信託(楽天・プラスシリーズなど)が登場しています。円建てな上、投資信託の扱いなので米国ETFよりは投資のハードルが低めです。
さらに現在では、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim」シリーズなど、投資信託でありながら米国ETFに迫る、あるいは為替コストを含めるとそれを下回るほどの超低コストな優良投資信託が台頭しており、投資家の選択肢は大幅に広がっています。
海外ETF投資と国内ETF投資の違いとデメリット
海外ETF(米国ETF)は上記のようにコスト的に考えて有利な運用商品が多いわけですが、国内ETFとは異なり、海外(米国)の証券取引所に上場しているETFであるため、国内のETF投資とはまた違った特徴もあります。
大きく「通貨」「手数料」で大きな違いがありますが、この辺りは多くの人にとってデメリットと感じる部分だと思います。詳しく見ていきましょう。
通貨の違い。米ドル建てになるので為替リスクがある
米国ETFは米ドル建てとなっています。そのため、購入するときは円で直接購入はできず、いったん米ドルに円を両替してから投資をする必要があります。
そのため、米国ETFを購入するためには為替手数料(為替スプレッド)もかかることになります。
また、日本円をベースに考えるとドルの為替レートの変動による影響も受けてしまいます。
もっとも、VTで世界株投資、VTIで米国株投資といったように外国株投資をするのであれば為替の影響は避けることはできませんし、日本円だけに集中したポートフォリオも不健全です。
売買の手数料と分配金課税の仕組み(二重課税)
ETFの売買は個別株式の売買に準じることになります。そのため、売買にかかる手数料は株の売買と同じです。
海外ETF(米国ETF)は米国株という扱いになります。一般に米国株の売買手数料については国内株の売買と比較すると手数料は高めになっているため、売買時にかかる手数料は米国ETF>国内ETFとなってしまいます。ただし、現在は最低売買手数料の無料化や、後述する大手ネット証券のサービス拡充により、かつてほど大きな負担ではなくなっています。
経費率(信託報酬)は安いけど売買にかかる初期コストなどを考慮すると、海外ETF(米国ETF)はやや高くついてしまう傾向があります。そのため、米国ETF投資を考える場合は短期売買ではなく、中長期で保有するということをベースに考えておくべきでしょう。
また、米国ETFのもう一つの注意点として「分配金の二重課税」が挙げられます。米国ETFから支払われる分配金には、まず米国現地で10%の源泉税が課され、その後さらに日本国内で20.315%の税金が差し引かれます。確定申告で「外国税額控除」を申請すれば米国現地での課税分の一部を取り戻すことができますが、この手続きには一定の手間がかかります。
【徹底比較】米国ETFと低コスト国内投資信託の使い分け
ここで、VTIやVOOなどの米国ETFと、それらと同等の指標に連動する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などの国内投資信託のスペックを比較してみましょう。
| 比較項目 | 米国ETF(VOOなど) | 国内投資信託(eMAXIS Slimなど) |
|---|---|---|
| 保有コスト(経費率) | 年0.03%(VOOの場合)と非常に低い | 年0.08%前後(S&P500の場合)とETFに肉薄 |
| 為替手数料 | 円から米ドルへの両替時に都度発生 | 不要(日本円のまま直接購入可能) |
| 分配金の取り扱い | 分配金がドルで支払われる(手動で再投資が必要) | ファンド内で自動で無税再投資される |
| 買付の手間と積立 | 証券会社により自動買付対応(後述) | 100円から毎日・毎月の自動積立が容易 |
純粋な保有コストだけを比べれば米国ETFに軍配が上がりますが、為替手数料や分配金に課される税金、再投資の手間を考慮すると、一般的な小口の積立投資であれば国内の低コスト投資信託を利用した方が結果として実質的なトータルリターンで有利になるケースも多くなっています。
新NISA(成長投資枠)と米国ETFの相性
新たな税制優遇制度である新NISAでは、「成長投資枠」を利用して米国ETFを購入することができます。これにより、国内で課される20.315%の税金(売却益および分配金)を完全に非課税にすることが可能です。
ただし、分配金に課される「米国現地源泉税の10%」についてはNISA口座であっても非課税にはなりません。さらに、NISA口座内で発生した取引については税制の仕組み上「外国税額控除」を申請することができないため、現地で課税された10%の税金を取り戻すことは不可能です。「NISA口座で売却益と国内分配金を非課税にする」か、「特定口座で運用して外国税額控除を活用する」か、自身の投資スタイル(値上がり益重視か配当重視か)に合わせて選択する必要があります。
米国ETFへの投資におすすめの証券会社
米国ETFについては米国株投資と同じ扱いとなりますので、すべての証券会社(ネット証券)で扱っているわけではありません。
ネット証券だと、マネックス証券、SBI証券、楽天証券の3社が対応しています。いずれも米国ETF投資をする上で環境が整っています。
各社ともこれまであった「最低手数料」を無料化しており、約定代金の0.45%(税抜・最大20ドル)の手数料体系をとっているほか、為替手数料に関しても業界最安水準を競い合っています。さらに現在では、3社とも特定の米国ETF(VT、VTI、VOOなど)の買付手数料を完全に無料化するプログラムを導入しており、米国ETFへの投資ハードルは格段に下がっています。
| マネックス証券 | SBI証券 | 楽天証券 | |
|---|---|---|---|
| 特定口座対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| NISA口座での投資 | 可能(成長投資枠) | 可能(成長投資枠) | 可能(成長投資枠) |
| 売買手数料 | 0.45%(税抜) 最高20ドル ※指定ETFは買付無料 |
0.45%(税抜) 最高20ドル ※指定ETFは買付無料 |
0.45%(税抜) 最高20ドル ※指定ETFは買付無料 |
| 米国株定期買付 | 対応(毎月) | 対応(毎月・毎週など) | 対応(毎月など) |
| トレードツール | トレードステーション | SBI証券 米国株アプリ | マーケットスピード II |
| 貸株サービス | なし | あり(Kastock) | なし |
特定口座については米国株が非対応の証券会社の場合、一般口座での売買という扱いになり、確定申告が面倒になります。
おすすめの証券会社:マネックス証券
手数料が安く、米国株用の高機能トレードツールである「トレードステーション」が使えるのが魅力的です。米国ETFへの投資を考えるのであれば非常に強力な環境が整っています。トータルで強い印象です。
あと、地味にうれしいのはマネックス証券の場合、米国ETF注文時に指値注文や成行注文はもちろん逆指値、OCO注文などの特殊注文や、毎月の定期自動買付サービスにもしっかりと対応している点です。
米国株投資では非常にお勧めできる証券会社です。
おすすめの証券会社:SBI証券
SBI証券は、米国株・ETFの「定期買付サービス」が非常に充実しており、毎月だけでなく毎週、あるいは複数日指定での自動積立設定が可能です。専用の「SBI証券 米国株アプリ」も提供されており、スマートフォンからの注文も快適に行えます。
また、カストック(Kastock)という米国株の貸株サービスも提供しています。投資した米国ETFを貸株しておけば、配当金とは別に貸株料を受け取ることができます。ただし、NISA口座で預かっている米国ETFは貸株できません。
おすすめの証券会社:楽天証券
楽天証券も、現在の手数料体系は他社と同様に引き下げられており、約定代金の0.45%(最大20ドル・税抜)となっています。VTやVOOなどの主要な米国ETFの買付手数料無料プログラムも他社と同等に実施しているため、小口投資から大口投資まで不利なく運用が可能です。
また、プロ投資家からも評価の高い「マーケットスピード II」を使った米国株・ETF取引に対応しており、毎月の定期買付サービスも利用可能です。楽天ポイントを運用に回せるなど、楽天経済圏を活用している方には特におすすめです。
海外ETF(米国ETF)に自動投資するWealthNavi
自動で世界水準の資産運用を行いたい方に選ばれている海外ETF投資が、WealthNavi(ウェルスナビ)というサービスです。こちらはロボアドバイザー(ロボアド)と呼ばれるシステムが、複数の米国ETFを組み合わせた最適な投資配分を自動で構築し、運用してくれるサービスです。
投資対象としているのはすべて米国ETFで、VTI(米国株)、VEA(日欧株)、VWO(新興国株)、AGG(米国債)、GLD(金)、IYR(不動産)などです。
投資家のリスクレベル(リスク許容度)に応じて1~5のレベルを設定して自動運用してくれます。最低投資額は1万円からに引き下げられており、月々の自動積立投資や新NISA(おまかせNISA)にも対応しています。面倒な投資判断や分配金の再投資、リバランスなどがすべて自動化されるため、投資には興味はあるけど忙しくて細かな分析ができないという方にもおすすめの選択肢です。
以上、海外ETF投資(米国ETF投資)のメリットとデメリットについてまとめてみました。
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