住宅ローン返済トラブルの統計と対処法

住宅ローンは長期の返済が前提になるため、借入時には問題がなくても、病気、離職、収入減少、家計支出の増加で返済が苦しくなることがあります。

返済トラブルを考える時は、「どれくらい破綻しているか」だけでなく、延滞、返済条件の変更、早めの相談で立て直す余地を分けて見る必要があります。

この記事では、住宅金融支援機構の2024年度データをもとに、住宅ローン返済トラブルの統計と、返済が厳しくなった時の動き方を整理します。

この記事の要点

  • 住宅金融支援機構の2024年度資料では、リスク管理債権残高は6,649億円です。
  • 債権額合計に対するリスク管理債権の比率は2.80%です。
  • 三月以上延滞債権は680億円、貸出条件緩和債権は3,408億円です。
  • リスク管理債権のすべてが回収不能や競売を意味するわけではありません。
  • 返済が厳しい時は、滞納前に金融機関へ相談するほうが選択肢を残しやすくなります。

住宅ローン返済トラブルの統計

住宅金融支援機構の2025年度投資家向け説明資料では、2024年度のリスク管理債権残高は6,649億円でした。

債権額合計23兆7,091億円に対する比率は2.80%で、2023年度の3.04%から0.24ポイント下がっています。

この数字は住宅金融支援機構の債権に関する分類であり、日本中の住宅ローン全体の破綻率ではありません。

それでも、住宅ローンの返済トラブルが統計上も一定数存在することを読む手がかりになります。

区分 2023年度 2024年度 変化
リスク管理債権残高 7,483億円 6,649億円 834億円減少
リスク管理債権比率 3.04% 2.80% 0.24ポイント低下
三月以上延滞債権 667億円 680億円 13億円増加
貸出条件緩和債権 4,263億円 3,408億円 855億円減少

資料の数値は億円単位で四捨五入されています。

2026年6月28日に確認した住宅金融支援機構の公表資料では、上記が確認できる直近の年度データです。

リスク管理債権の意味

リスク管理債権は、返済状況や債務者の状態に応じて管理が必要とされる債権です。

住宅金融支援機構の資料では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、三月以上延滞債権、貸出条件緩和債権に分けられています。

三月以上延滞債権は、弁済期限を3か月以上過ぎて延滞となっている貸付金残高のうち、破産更生債権などに該当しないものです。

貸出条件緩和債権は、返済継続を支援するために、金利の減免、利息の支払猶予、元金の返済猶予など、債務者に有利な返済方法の変更を行った債権です。

したがって、「リスク管理債権2.80%」は「2.80%の人が家を失った」という意味ではありません。

返済条件の変更で立て直しを図っている債権も含まれます。

統計を見る時の注意点

  • 金額ベースの統計であり、人数ベースではありません。
  • 住宅金融支援機構の債権であり、民間住宅ローン全体ではありません。
  • 返済条件を変更した債権も含まれます。
  • 担保などから回収される部分もあるため、すべてが回収不能ではありません。

返済が厳しくなった時の初動

住宅ローンの返済が厳しくなった時は、滞納してから動くより、返済日前に金融機関へ相談するほうが選択肢を残しやすくなります。

住宅金融支援機構は、返済で困っている人向けに返済方法の変更メニューを用意しています。

具体的には、離職や病気などで返済が大変になった場合、しばらく返済額を減らしたい場合、ボーナス返済が負担になっている場合などに応じたメニューがあります。

返済方法の変更には審査があり、希望どおりにならないこともあります。

それでも、滞納が長引く前に相談したほうが、期間延長、一時的な返済額軽減、ボーナス返済の見直しなどを検討しやすくなります。

相談前に整理するもの

  • 現在の毎月返済額とボーナス返済額
  • 手取り収入、賞与見込み、今後の収入変化
  • 生活費、教育費、車関連費、保険料などの固定費
  • 預貯金、売却できる資産、親族からの一時支援の可能性
  • 何か月なら通常返済へ戻せそうか
  • 借り換え、売却、任意売却を検討する必要があるか

相談時に家計の数字を出せると、金融機関側も返済継続の見込みを判断しやすくなります。

住宅ローンの保証料や保証会社の仕組みは住宅ローンの保証料の記事で解説しています。

滞納後に起こりやすい流れ

住宅ローンを滞納すると、まず金融機関から督促や連絡が入ります。

滞納が続くと、期限の利益を失い、残債の一括請求や保証会社による代位弁済へ進むことがあります。

その後も解決できない場合は、任意売却や競売が現実的な選択肢になります。

ただし、実際の流れや時期は金融機関、保証会社、ローン契約、延滞状況によって違います。

滞納後の詳しい流れは住宅ローンが払えない時の対処法で整理しています。

返済トラブルを防ぐ借入前の目安

住宅ローンの返済トラブルは、借入時の返済計画である程度防げます。

毎月返済額が家賃並みに見えても、持ち家には固定資産税、修繕費、火災保険料、管理費、車関連費、教育費の増加が重なります。

変動金利を選ぶ場合は、金利上昇時に返済額がどれくらい増えるかを試算します。

ボーナス返済を大きくしすぎると、賞与減少や転職時に家計が崩れやすくなります。

確認項目 借入前に見ること
返済負担率 額面年収ではなく手取りと固定費で考える
金利上昇 変動金利が上がった時の返済額を試算する
ボーナス返済 賞与が減っても払える金額に抑える
生活防衛資金 失業や病気に備えて現金を残す
住宅維持費 固定資産税、修繕費、保険料を別枠で見込む

住宅ローンの事務手数料は定率型と定額型の違いで、生活防衛資金の考え方はリスク許容度の記事で確認できます。

次に読む記事

返済が厳しい人は、まず滞納後の流れと相談手順を確認します。

借入前の人は、保証料、事務手数料、生活防衛資金を合わせて見ると、返済トラブルを避けやすくなります。

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参考:住宅金融支援機構「投資家向け説明資料」住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」住宅金融支援機構「返済方法の変更を希望するとき」住宅金融支援機構「タイプ別返済方法変更メニュー」フラット35「返済できなくなった場合はどうなるのでしょうか」

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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