サラリーマンを辞めて求職中の方、自営業やフリーランスの方などが支払っている国民健康保険料。届いた請求額を見てびっくりしたという方も多いのではないでしょうか。なぜ国民健康保険料はそんなに高いのでしょうか?今回はその根本的な理由を説明していきます。

また、負担の大きい国民健康保険料(国民健康保険税)を少しでも節約・安くする方法や、利用できる軽減・減免制度についても最新情報を交えて紹介していきます。

この記事のポイント

  • 国民健康保険料がサラリーマンの健康保険より高く感じる理由
  • 2026年最新の保険料上限や支援金などの制度変更点
  • 法人化や世帯分離・合併など、保険料を節約・安くする方法
  • 低所得世帯や子育て世帯向けの軽減・免除制度

国民健康保険料が高い理由

少子高齢化が進んでいるなどの構造的な問題によって健康保険料全体が高くなっているわけですが、中でも国民健康保険料が、サラリーマンなどが加入している健康保険と比較して高いと感じる理由は大きく二つあります。

それは「保険料の負担をしている人の違い」と「実際の加入者構造の違い」という2つの点で高額化しています。

サラリーマンの健康保険は半分会社が負担している

特に、サラリーマンを退職した方が最初にびっくりするのが健康保険料の違いでしょう。これまでは会社が給料から天引きしていた健康保険料との金額の差に驚くケースが多いです。この理由は、サラリーマンの健康保険料が「労使折半」のため、実際に天引きされていた保険料と同額を会社が負担してくれていたからです。

サラリーマンを退職したときは、国民健康保険に入るのではなく「任意継続」という方法も選べます。任意継続の場合、会社は半額負担をしてくれませんが、退職前の収入や家族構成によっては任意継続を選択したほうがお得になるケースもあります。ただし、2022年1月の健康保険法改正により、任意継続の保険料を「退職時の標準報酬月額」ではなく「退職前の平均値」などから算定する選択が可能になり、条件が複雑化しました。一概にどちらがお得とは言えないため、ご自身の状況に合わせてしっかり比較検討する必要があります。

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国民健康保険は低所得者の加入が多く、中所得者にしわ寄せがいっている

もう一つの理由は、国民健康保険の加入者構造にあります。

国民健康保険に加入している人は「無職」「自営業者」「高齢者」が中心です。現在の日本の人口構成を見ると明らかですが、「高齢者」が多数を占めています。彼らは資産は持っていても所得自体は少ない人が多い傾向にあります。

一方で、高齢者ほど医療機関にかかりやすいため、国民健康保険は「保険料収入は少ないのに保険金の支払いが厳しい」という状態になっています。そうはいっても医療財源を確保する必要があるため、収入がある人から取るという構造にならざるを得ません。結果として、ある程度の収入がある現役世代・中間層に対して、高額な国民健康保険料という形でおおきなしわ寄せが来ているのです。

【2026年最新】保険料上限額の引き上げと「子ども・子育て支援金」

さらに近年、制度改正によって保険料の負担感が増しています。

2026年度の国民健康保険料の年間上限額は、110万円(医療分67万円・支援金分26万円・介護分17万円)へと引き上げられました。過去5年間で11万円も引き上げられており、高所得層にとって大きな影響があります。

また、2026年度からは「子ども・子育て支援金」として、月額数百円相当が健康保険料に上乗せして徴収されるようになりました。これは国民健康保険だけでなく、会社員の健康保険にも影響する制度変更であり、こうした要因も保険料負担が増している理由の一つです。

国民健康保険料を節約・安くする方法

高すぎる、でも理由があるから仕方がない……ということで終わらせることはできません。では、どうすれば国民健康保険料を節約することができるのでしょうか。

負担を軽減する方法はいくつかあります。ご自身の状況にあった方法を選択しましょう。

1)法人化する

自営業やフリーランスの方で、ある程度の安定した収入があるのであれば、法人化(マイクロ法人など)するのも手です。法人化した場合、代表者1人のみでも社会保険(厚生年金+協会けんぽなど)に加入することになります。

国民健康保険は「世帯人数」でも保険料が加算されますが、社会保険の健康保険の場合、人数を問わず被保険者の役員報酬(標準報酬月額)のみで保険料が決まります。そのため、扶養家族が多い人はより有利になる構造となっています。

特に配偶者がいる場合、要件を満たせば配偶者を「第3号被保険者」とすることで、配偶者自身の保険料負担をゼロにすることができます。夫婦のケースでは法人化して社会保険に入ったほうが、結果的に世帯全体の保険料が安くなるという可能性もあります。

※ただし、近年は「第3号被保険者制度」の廃止論議が続いており、将来的に制度が変更される可能性もあるため、最新の動向には注意が必要です。

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2)「世帯合併」と「世帯分離」の活用

国民健康保険料の計算には、世帯単位でかかる「平等割」や、加入者一人ひとりにかかる「均等割」などがあります。これを踏まえて、世帯のあり方を工夫することで節約できる場合があります。

・世帯を一つにまとめる(世帯合併)
「平等割」がある地域では、二世帯住宅などで世帯を2つから1つにまとめることで、平等割を1世帯分(数万円)節約できる場合があります。また、どちらの世帯も一定の収入がある場合、世帯を一つにすることで世帯当たりの保険料上限(110万円)に達しやすくなり、上限を超えた部分の保険料負担がなくなることで結果的に節約できる可能性があります。

・世帯を分ける(世帯分離)
逆に、親世帯と同居している場合など、世帯を分離することで節約になるケースもあります。世帯を分けることで、所得の低い親世帯が後述する「低所得者向けの軽減措置」の対象となり、トータルでの保険料が安くなる可能性があります。

ただし、世帯合併や世帯分離については、他に利用している行政サービスや介護保険などにも影響を与えることがあるため、一概にどちらが安くなるとは言えません。ケースバイケースで慎重にシミュレーションを行う必要があります。

3)保険料の安い自治体に引っ越しをする

現実的かどうかは別ですが、国民健康保険は市町村が窓口となっているため、住んでいる場所によって保険料が変わってきます。都道府県をまたぐ引越しの場合、同じ所得水準でも年間の保険料が何十万円も変わってくる例があります。

ただし、2018年度から国民健康保険の財政運営主体が「都道府県単位」へ移行しました。現在は都道府県が財政を管理し、市町村が窓口を担うという二段構造になっており、同一都道府県内での市町村間の保険料格差は縮小傾向にあります。

もしも何らかの事情で都道府県をまたぐ引越しをする際は、事前に移転先の健康保険料の水準も調べておくとよいでしょう。

4)確定申告の方法を工夫する(株の配当や売却益など)

自営業や投資家の方にとって重要なのが確定申告の方法です。国民健康保険料は、前年の「総所得金額等」をもとに計算されます。

たとえば、特定口座(源泉徴収あり)で得た上場株式の配当金や売却益について、「総合課税」や「申告分離課税」で確定申告をしてしまうと、その利益が総所得金額等に合算され、結果として翌年の国民健康保険料が跳ね上がってしまうことがあります。

こうした利益は「申告不要制度」を選択することで、国民健康保険料の計算対象から外すことが可能です。税金の還付額と保険料の増加額を比較し、トータルで損をしない申告方法を選ぶことが節約につながります。

国民健康保険料の軽減・減免制度を活用する

節約方法に加えて、条件を満たせば自動的に保険料が安くなる「軽減制度」や、申請によって利用できる「減免制度」が存在します。

低所得世帯向けの軽減制度(7割・5割・2割軽減)

収入が低い世帯に対しては、申請不要で自動的に「均等割」と「平等割」が軽減される制度があります。

世帯の前年所得合計額が一定の基準以下の場合、その所得水準に応じて保険料が7割・5割・2割軽減されます。ご自身の世帯が対象になるかどうか、具体的な所得基準額については自治体や年度によって異なるため、お住まいの市区町村のホームページ等で確認してみてください。

子育て世帯・出産時の軽減制度

近年、子育て世帯の負担を軽減する制度も拡充されています。

  • 未就学児の均等割軽減:2022年度から、小学校入学前(未就学児)の子どもにかかる均等割保険料が一律で5割軽減されています。(さらに2027年度からは0〜18歳へ対象拡大の予定も報じられています)
  • 産前産後の保険料免除:2024年1月からは、国民健康保険の被保険者が出産する場合、出産予定月(または出産月)の前月から4か月間(多胎妊娠の場合は3か月前から6か月間)、その方の「所得割保険料」と「均等割保険料」が免除される制度が始まっています。

収入減少などに応じて相談・減免申請をする

「単に払いたくない」というケースでは無理ですが、災害、病気、失業(倒産や解雇などの非自発的失業)等の理由によって生活が著しく困難になった場合や、前年とくらべて大幅に所得が減少している場合などは、市区町村の窓口にて保険料の減免申請が可能です。

審査はありますが、本当に納付が困難な場合は放置せずに、まずは役所へ相談することをお勧めします。

少子高齢化の進行は今後も続き、健康保険料は高くなることはあっても、安くなるという可能性はあまり高くないのが現状です。そうした中でも、各種制度の仕組みや軽減措置を正しく理解し、賢く付き合っていくことが大切です。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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