75歳以上は株の利益で医療保険料が上がる?金融所得反映の対象・時期・NISA

後期高齢者医療では今後、上場株式の配当や売却益などを、確定申告したかどうかにかかわらず、保険料と医療機関の窓口負担割合の判定へ反映する仕組みが導入されます。
現在は、特定口座(源泉徴収あり)で確定申告しなければ自治体が金融所得を把握できず、後期高齢者医療へ反映されない場合があります。同じ所得でも申告の有無で負担が変わる不公平を解消する改正です。
ただし、2026年7月時点で直ちに始まったわけではありません。施行日は法律の公布後5年以内に政令で定められ、非課税のNISAは対象外です。
この記事の結論
- 改正後は、確定申告しない上場株式等の配当・利子・譲渡所得も後期高齢者医療へ反映されます。
- 金融機関が法定調書を後期高齢者医療広域連合へオンライン提出する仕組みで、本人の新しい申請を前提としません。
- 反映先は保険料だけでなく、医療機関の窓口負担割合や給付判定などです。
- NISA口座内で非課税となる配当・譲渡益は対象外です。
- 開始は公布後5年以内の政令日で、2026年7月時点では具体的な施行日と個人別計算の細部が未確定です。
なぜ金融所得を反映するのか
年金、給与、不動産所得などは、市区町村が税情報を通じて把握し、後期高齢者医療の保険料と窓口負担割合の判定に使います。
一方、上場株式の配当や譲渡益は、特定口座(源泉徴収あり)で課税を終え、確定申告しない選択ができます。この場合、自治体が所得を把握できず、医療保険の負担判定へ入らないことがあります。
| 金融所得の扱い | 現行 | 改正後 |
|---|---|---|
| 確定申告した上場株の配当・譲渡益 | 原則反映 | 反映 |
| 源泉徴収だけで確定申告しない所得 | 反映されない場合がある | 法定調書を使って反映 |
| NISAの非課税所得 | 非課税 | 対象外 |
| 預貯金残高そのもの | 反映しない | 金融資産残高を課税する制度ではない |
改正の目的は、金融資産を多く持つ人へ一律に追加負担を求めることではありません。同じ課税所得があるのに、申告方法だけで医療保険の負担が違う状態をなくすことです。
銀行や証券会社にある資産残高の全額が保険料計算へ入る制度ではありません。
対象は法定調書で把握する上場株式等の配当・利子・譲渡所得であり、資産額と所得額を混同しないでください。
何に影響する?保険料だけではない
後期高齢者医療では、所得に応じて所得割保険料が決まり、世帯の所得区分によって窓口負担が1割、2割、3割に分かれます。
金融所得が反映されると、個人によって次の判定が変わる可能性があります。
- 後期高齢者医療の所得割保険料
- 均等割保険料の軽減判定
- 医療機関の窓口負担割合
- 高額療養費の所得区分と自己負担上限
- 入院時の食費など所得区分に連動する負担
厚生労働省の説明例では、夫婦とも後期高齢者で、本人の年金230万円、金融所得50万円、配偶者の基礎年金83万円という世帯で、金融所得を反映するかどうかにより窓口負担1割・2割や年間保険料に差が出るケースが示されています。
実際の金額は、施行時の保険料率、基礎控除、世帯構成、金融所得、自治体の広域連合で変わります。説明資料の例を自分の確定額と考えないでください。
対象となる金融所得
厚生労働省の検討資料では、まず上場株式等の配当・利子・譲渡所得を対象にし、金融機関が税務署へ提出する法定調書を活用する方針です。
| 対象の考え方 | 例 |
|---|---|
| 課税口座の上場株式等の配当 | 特定口座で受け取る株式配当など |
| 課税口座の譲渡所得 | 上場株式、ETF、投資信託などの売却益 |
| 特定公社債等の利子 | 対象法定調書で把握する課税所得 |
| 対象外 | NISAで非課税となる配当・譲渡益 |
一般の預貯金利子や金融資産残高をどこまで将来対象にするかは、別の検討論点です。2026年7月時点で「全預金の利息や残高がすぐ反映される」と広げて解釈しない方がよいでしょう。
NISAは対象外。ただし受け取り方法に注意
NISA口座で取得した上場株式や投資信託の配当・分配金、売却益は、制度要件を満たして非課税となる限り、今回の金融所得反映の対象外です。
上場株式の配当をNISAで非課税にするには、証券会社経由で受け取る株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。発行会社から直接受け取る方式では課税扱いになることがあります。
- NISA口座と課税口座の保有銘柄を分けて一覧にします。
- NISAの株式配当が株式数比例配分方式になっているか確認します。
- 課税口座で毎年生じる配当と売却益を把握します。
- 後期高齢者医療の窓口負担が変わる所得境界に近いか確認します。
- 施行日と計算方法が確定してから、売却・贈与・NISA利用を再検討します。
すでに課税口座にある含み益をNISAへそのまま移管することはできません。一度売却してNISAで買い直せば、その売却時点で利益が確定し、税金や将来の医療保険判定に影響する可能性があります。
「NISAが対象外だから、今すぐ課税口座を全部売る」という判断は早計です。
売却益の確定、相場変動、税金、買い直し価格、NISA枠を合わせて判断してください。
いつから始まる?今すぐではない
改正法は、金融機関が法定調書を後期高齢者医療広域連合へオンライン提出する義務などを設けます。
施行日は公布後5年以内に政令で定める日です。法律が成立・公布されても、金融機関と広域連合のシステム整備、データ連携、計算実務の準備が必要です。
| 時点 | 状態 | 家計での対応 |
|---|---|---|
| 2026年7月 | 法律は公布、具体的施行日は未定 | 制度把握と口座整理 |
| 政令・詳細公表 | 開始日、対象年分、連携方法が明確化 | 自分の所得で影響試算 |
| 施行後 | 申告の有無にかかわらず対象所得を反映 | 保険料通知と負担割合証を確認 |
2026年度や2027年度の保険料に、未申告の株式利益が自動で追加されたと断定できる段階ではありません。自治体から届く保険料額決定通知書と、施行後の制度案内を確認します。
確定申告をしない方が得、は今後通用しにくい
現行では、特定口座(源泉徴収あり)の利益を確定申告しないことで、後期高齢者医療の保険料や窓口負担への影響を避けられる場合があります。
一方、損失繰越や損益通算、配当控除、源泉徴収税の還付を受けるために確定申告した方が税金は下がっても、保険料が上がることがあります。この比較が高齢投資家の重要な判断でした。
改正後は、対象金融所得が申告しなくても把握されるため、「医療保険へ反映させないため申告しない」という差が縮小します。それでも所得税・住民税の申告有無による損益通算や控除の効果は残るため、税金と保険料を合わせた計算が必要です。
株式配当の申告で社会保険料や扶養判定が変わる現行ルールはこちらです。
NISAを使う投資信託の選び方と低コスト運用はこちらで確認できます。
医療保険証と資格確認書の最新ルールはこちらです。
よくある質問
株を持っているだけで保険料が上がりますか
保有資産額そのものではなく、対象となる配当・利子・譲渡所得を反映する仕組みです。含み益だけで直ちに所得が生じるわけではありません。
NISAの利益も対象ですか
制度要件を満たして非課税となるNISAの配当・譲渡益は対象外です。課税口座の利益やNISAで課税扱いになる受取方法は別に確認します。
いつの保険料から上がりますか
2026年7月時点で具体的な施行日は未定です。公布後5年以内に政令で定める日からで、対象年分や通知への反映時期は今後の案内を待ちます。
確定申告しなければ反映を避けられますか
改正後は金融機関の法定調書を使うため、対象所得は確定申告の有無にかかわらず反映される方向です。申告は税金の損益通算や控除で判断します。
施行日確定後に世帯単位で試算する
金融所得の反映は決まりましたが、2026年7月時点で開始日と細部は未確定です。今すぐ投資をやめたり、含み益を一斉に確定したりする必要はありません。
NISAと課税口座を整理し、年間の配当・売却益、本人と配偶者の年金、窓口負担の境界を把握しておき、政令と具体的計算が出た段階で世帯全体を試算しましょう。
記載内容は2026年7月15日時点です。具体的な施行日と保険料計算は今後の政令・通知を優先してください。
参照:厚生労働省「後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映」
参照:国税庁「NISA制度」
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