未公開株・未上場株投資と詐欺の注意点
証券取引所に上場していない会社の株式を「未公開株」「未上場株」といいます。スタートアップや成長企業に早い段階で投資できる可能性がある一方で、一般の個人投資家に電話・メール・SNSで持ちかけられる未公開株の勧誘には、詐欺的なものが非常に多く含まれます。

特に近年は、SNS広告、著名人なりすまし、LINEグループ、マッチングアプリなどを入口にした投資詐欺が急増しています。警察庁の暫定値では、2025年のSNS型投資詐欺だけで認知件数9,538件、被害額1,274.7億円に達しています。

この記事では、未公開株・未上場株の基本、正規の投資ルート、危険な勧誘の見分け方、詐欺被害に遭わないための確認ポイントを整理します。

この記事の結論

  • 未公開株は上場株と違い、価格の妥当性や売却先を自分で判断しにくい
  • 「もうすぐ上場」「必ず値上がり」「あなただけ特別」は危険サイン
  • 電話・SNS・メールで突然来る未公開株の勧誘は原則疑う
  • 第三者が未公開株を販売・勧誘するには金融商品取引業の登録が重要
  • 金融庁の登録業者一覧や日本証券業協会の注意喚起を確認する
  • 正規ルートの株式投資型クラウドファンディングでもハイリスク投資である
  • 怪しいと感じたら、振り込む前に金融庁・消費生活センター・警察へ相談する

未公開株・未上場株とは?

未公開株とは、証券取引所に上場していない会社の株式です。未上場株とも呼ばれ、意味はほぼ同じです。一方、証券取引所に上場している会社の株式は、上場株、公開株などと呼ばれます。

項目 未公開株・未上場株 上場株
売買場所 取引所市場はない。相対取引や特定の制度を使う 証券取引所で売買できる
価格 取引当事者間で決まるため妥当性を判断しにくい 市場価格がリアルタイムで形成される
換金性 買い手を自分で探す必要があり、非常に低い 市場が開いていれば証券会社経由で売却しやすい
情報開示 財務情報や事業情報が限定的 決算短信、有価証券報告書、適時開示などがある
主なリスク 価格不透明、譲渡制限、詐欺、倒産、換金不能 株価変動、業績悪化、倒産など

日本の会社の大半は未上場企業です。そのため、未公開株そのものが違法というわけではありません。問題は、一般個人に対して「近いうちに上場する」「今だけ買える」「必ず値上がりする」といった形で売り込まれる案件の多くが、極めて危険だという点です。

未公開株投資とIPO投資の違い

未公開株投資とIPO投資は混同されやすいですが、リスクの性質が大きく違います。

IPO投資は、すでに証券取引所への上場が承認された会社の株式を、公募・売出しで購入する投資です。証券会社を通じて募集され、目論見書などの開示資料もあります。

一方で、一般的な未公開株投資は、まだ上場が決まっていない会社の株を取得する投資です。「上場予定」と説明されても、実際に上場審査を通る保証はありません。

「上場予定」と「上場承認済み」は別物

IPO投資は上場承認後の募集です。未公開株の勧誘で使われる「上場予定」「近くIPOする」は、単なる営業トークの場合があります。証券取引所の上場承認や、金融庁EDINETの開示資料など、客観的に確認できる情報があるかを見てください。

IPO投資の仕組みは以下の記事で詳しく解説しています。

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未公開株投資の正規ルート

未公開株への投資には、正規のルートもあります。ただし、正規ルートであってもハイリスクである点は変わりません。

1. 発行会社への直接出資

友人が会社を作る、取引先の会社に出資する、スタートアップの創業メンバーとして株式を取得する、といったケースです。発行会社が新株を発行し、その対価として出資者が株式を取得します。

この場合でも、株主としての権利、譲渡制限、株主間契約、会社の事業計画、資金使途などを確認する必要があります。身近な人からの話であっても、契約書や会社情報を確認せずにお金を出すのは危険です。

2. 株式投資型クラウドファンディング

現在は、金融商品取引法に基づいて運営される株式投資型クラウドファンディングを通じ、未上場企業へ投資できる仕組みがあります。

代表例として、FUNDINNO(ファンディーノ)などのプラットフォームがあります。これは正規の制度に基づく未上場株投資の入り口ですが、投資した会社が上場やM&Aに至らなければ、換金が難しい点は同じです。

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3. エンジェル税制の対象となるベンチャー投資

一定の要件を満たすベンチャー企業に投資した場合、エンジェル税制の対象になることがあります。所得控除や株式譲渡益からの控除など、税制上の優遇を受けられる可能性があります。

ただし、エンジェル税制の対象だから安全という意味ではありません。あくまでリスクマネー供給を後押しする税制であり、投資先が失敗すれば損失が出ます。

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未公開株投資のメリット

未公開株投資の魅力は、上場前の成長企業に早い段階で投資できる可能性があることです。投資先が将来IPOやM&Aに成功すれば、大きなリターンを得られる可能性があります。

また、単なる値上がり益だけでなく、自分が応援したいサービスや企業に資金を届けるという意味もあります。スタートアップ投資やエンジェル投資には、企業の成長を支える楽しさがあります。

メリットは大きいが、成功確率は低く見積もる

未上場企業への投資は、うまくいけば大きなリターンが期待できます。しかし、多くの会社はIPOまで到達しません。投資資金が長期間ロックされる、最悪ゼロになる、という前提で考える必要があります。

未公開株投資のリスクとデメリット

未公開株投資には、上場株よりも大きなリスクがあります。

1. 売りたくても売れない

未公開株には市場価格がありません。売却したいと思っても、買い手を自分で探す必要があります。

また、多くの未上場会社の株式には譲渡制限が付いています。譲渡制限株式の場合、売買するには会社の承認が必要です。買い手が見つかっても、会社が承認しなければ売却できないことがあります。

2. 価格が妥当か判断しにくい

上場企業なら、決算短信、有価証券報告書、適時開示、株価チャートなど、投資判断の材料があります。未上場企業は情報開示が限定的で、外部の個人投資家が企業価値を判断するのは非常に困難です。

「1株10万円で買える」と言われても、それが高いのか安いのかを客観的に判断する材料がほとんどありません。

3. 詐欺案件が多い

未公開株は、価格が不透明で上場期待を煽りやすいため、詐欺の道具に使われやすい商品です。

金融庁も、無登録業者による未公開株取引などの詐欺的な投資勧誘に注意するよう呼びかけています。日本証券業協会も、未公開株には譲渡制限や換金困難性があり、詐欺のセールストークとして「必ずもうかる」「必ず上場する」「高値で買い取る」などが使われると注意喚起しています。

最近増えている未公開株・投資詐欺の手口

2025年のSNS型投資詐欺は過去最大級

警察庁の暫定値では、2025年のSNS型投資詐欺は9,538件、被害額1,274.7億円でした。SNS型投資・ロマンス詐欺全体では15,142件、被害額1,827.0億円に達しています。未公開株に限らず、SNS経由の投資勧誘は非常に危険度が高い状況です。

SNS・マッチングアプリ経由の勧誘

Instagram、X、Facebook、LINE、マッチングアプリなどで接触し、投資グループや個別チャットに誘導する手口です。

「有望な未上場企業を紹介できる」「有名人も投資している」「このグループだけの情報」などと説明し、最終的に指定口座へ振り込ませます。グループ内でサクラが利益報告を繰り返し、信用させるケースもあります。

有名企業・有名経営者をかたる手口

実在する会社名や著名人の名前を勝手に使い、「上場前の特別枠がある」と案内する手口です。

本当に上場間近の有望株なら、見ず知らずの個人へ電話やSNSで売り込む必要はありません。有名企業名が出てきたとしても、相手が本物とは限りません。

劇場型詐欺

複数の人物や業者が役割分担して信用させる手口です。

最初に業者Aが未公開株を売り込み、後から業者Bが「その株を高値で買い取りたい」と連絡してきます。さらに公的機関や金融関係者を装う人物が登場し、「その会社なら大丈夫」と安心させることもあります。

買い取り保証型

「あなたが一度購入してくれれば、後で上乗せして買い取る」「地域限定枠なので代わりに買ってほしい」といった勧誘です。

代金を支払った後、買い取り業者と連絡が取れなくなる典型的な詐欺です。高値買い取りを前提にした未公開株の勧誘は、強く疑ってください。

被害回復を装う二次被害

過去に未公開株詐欺に遭った人へ、「被害を取り戻せる」「別の未公開株に交換すれば損を取り返せる」「手続き費用を払えば返金できる」と連絡する手口です。

被害者名簿が出回り、同じ人が二度三度狙われることがあります。被害回復をうたう連絡が来た場合も、必ず公的な相談窓口へ確認しましょう。

未公開株詐欺の見分け方チェックリスト

1つでも当てはまれば要注意

  • 電話、SNS、メール、DMで突然勧誘された
  • 「もうすぐ上場」「上場確実」と説明された
  • 「必ず値上がりする」「元本保証」「高値で買い取る」と言われた
  • 「あなただけ」「特別枠」「今日中に振込」と急がされた
  • 金融庁の登録業者一覧で業者名を確認できない
  • 会社の公式サイトやIR情報で上場準備を確認できない
  • 支払先が個人名義、海外口座、暗号資産ウォレットになっている
  • 別の業者から同じ株を買い取りたいと連絡が来た
  • 契約書、目論見書、株式の内容、譲渡制限の説明があいまい
  • 断ろうとすると脅す、責める、損を強調してくる

取引前に必ず確認したいこと

未公開株の勧誘を受けた場合、少なくとも以下を確認してください。

確認項目 見るポイント
業者の登録 金融庁の「免許・登録を受けている業者一覧」で金融商品取引業者か確認
日本証券業協会への加入 正規の証券会社・金融機関か確認
発行会社の実在性 公式サイト、登記、代表者、所在地、事業内容を確認
上場予定の根拠 証券取引所の上場承認、EDINETの開示資料など客観資料があるか
株式の内容 普通株か種類株か、譲渡制限の有無、株主権の内容
価格の妥当性 企業価値評価、直近の資金調達条件、財務情報を確認
支払先 個人名義・海外送金・暗号資産送金なら強く警戒
確認できないなら買わない

未公開株投資は、確認できない情報が多いほど危険です。「確認できないけれど儲かりそう」ではなく、「確認できないから買わない」という姿勢が大切です。

未公開株をすでに買ってしまった場合

すでに未公開株を保有していて売却したい場合、選択肢は限られます。

  1. 発行会社に相談する
    発行会社が自己株式として買い取る、または譲渡先を紹介してくれる可能性があります。ただし、会社に応じる義務はありません。
  2. 買い手を自分で探す
    相対売買は可能ですが、譲渡制限がある場合は会社の承認が必要です。買い手を見つけるのも難しいのが現実です。
  3. 上場やM&Aを待つ
    本当に上場・M&Aに至れば換金機会が生まれる可能性があります。ただし、何年かかるか、実現するかは分かりません。
  4. 詐欺の疑いがあるなら相談する
    証券、契約書、振込記録、相手とのやり取りを保存し、相談窓口へ連絡してください。

「損を取り戻すために別の商品へ乗り換えましょう」「手数料を払えば買い取ります」といった連絡は、二次被害の可能性があります。追加でお金を払う前に必ず相談してください。

怪しいと感じたときの相談窓口

未公開株の勧誘を受けた、すでに振り込んでしまった、相手と連絡が取れないという場合は、一人で抱え込まず早めに相談しましょう。

主な相談先

  • 金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811(IP電話からは03-5251-6811)
  • 消費者ホットライン:188
  • 警察相談専用電話:#9110
  • 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC):0120-64-5005
  • 日本証券業協会「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンター

被害に遭った可能性がある場合は、振込明細、相手の電話番号、メール、SNSアカウント、LINE履歴、契約書、パンフレットなどを消さずに残しておきましょう。

まとめ:突然の未公開株勧誘は「買わない」が基本

未公開株・未上場株への投資は、正規のルートであってもハイリスクです。価格の妥当性を判断しにくく、売却先も限られ、投資資金が長期間戻らない可能性があります。

まして、電話、SNS、メール、DMで突然持ちかけられる未公開株の勧誘は、詐欺の可能性が高いと考えるべきです。「上場確実」「必ず儲かる」「高値で買い取る」といった言葉が出たら、投資判断ではなく防犯モードに切り替えてください。

未上場企業へ投資したいなら、金融商品取引業者として登録された正規のプラットフォームを使い、投資額を失っても生活に支障がない範囲に限定しましょう。怪しいと感じたら、振り込む前に公的な相談窓口へ確認することが最も大切です。

投資詐欺全般の見分け方は以下の記事も参考にしてください。

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参考:金融庁 未公開株購入の勧誘にご注意金融庁 詐欺的な投資勧誘等にご注意ください警察庁 令和7年の特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等警察庁 SNS型投資詐欺日本証券業協会 株や社債をかたった投資詐欺の手口

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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