IPO投資は株式投資の中でも勝率や期待リターンが高いこともあって人気の高い運用方法の一つとなっています。一方でIPO投資において問題となるのが資金です。
資金が多いほど、多くの証券会社を通じてIPOへの応募が可能なので当選確率は上がります。また、SBI証券のように抽選が申込口数単位の場合は、資金量が大きい人の方が当選確率がアップします。
そのため、IPO投資を実行する際には資金の確保とその配分がより重要になってくるわけです。今回はそんなIPO投資をより効率的に行うための資金配分・確保について紹介していきます。
IPO投資における資金拘束と当選確率
IPO投資は、よりたくさんの抽選機会に参加することが当選確率をアップさせるうえで重要になります。
実際、「IPO狙いで証券会社を選ぶポイントとおすすめネット証券」の記事などでもIPO投資をするときにおススメの証券会社を紹介しているわけですが、IPO投資の資金拘束も一緒に考える必要があります。
IPOの申し込みと抽選、当選の流れ
まずは、IPOへの申込から抽選、当選といった流れを簡単に説明します。
1)申込(BB申込)
IPOの抽選に応募するための申込です。BB(ブックビルディング・需要申告)といいます。
ブックビルディング期間が定められているので、その期間中に申し込みをします。
ここで、口数(株数)と購入希望価格を入力します。なお、購入希望価格には上限~下限が定められていますが、多くのIPOは上限で決定します。ここで上限以外の金額で需要申告して、IPO価格が上限の場合、そもそも需要申告とのずれがあるということで抽選対象になりません。
原則的には上限価格で申告するのが基本です。証券会社によってはこの段階で資金拘束をするところがあります。SMBC日興証券やマネックス証券などがこれに該当します。
2)抽選
ブックビルディングの後、抽選が行われます。抽選の方法は様々です。一人一票のケースもあれば、申込数量に応じて抽選となるケース、あるいは取引実績が評価されることもあります。
ブックビルディング時には資金拘束をしない証券会社でも、この抽選時には株数×価格分の金額を入れておかないと抽選対象から外れてしまうのが一般的です。(例:SBI証券、auカブコム証券など)
3)当選・落選の決定
抽選後に当選可否が決まります。当選可否が決まった後は購入(最終確認)となります。抽選時に資金拘束がない証券会社でもさすがにこの段階では資金が拘束されます。(例:岡三オンライン証券、SBIネオトレード証券)
申込時(BB申込) | 抽選時 | 抽選方式 | |
---|---|---|---|
SBI証券 | 資金拘束なし | 申込分の資金がないと抽選対象から外れる | 30%分は「IPOチャレンジポイント」。 残りの70%は「申込口数」に応じた完全抽選 |
SMBC日興証券 | 申込時に資金拘束 | 1口座1票の完全抽選 | |
マネックス証券 | 申込時に資金拘束 | 1口座1票の完全抽選 | |
岡三オンライン証券 | 資金拘束なし | 資金拘束なし | 過去の取引実績に応じて、3ステージ分けて抽選。取引実績が高いほど有利。 |
SBIネオトレード証券 | 資金拘束なし | 資金拘束なし | 1口座1票の完全抽選 |
auカブコム証券 | 資金拘束なし | 申込分の資金がないと抽選対象から外れる | 1口座1票の完全抽選 |
資金拘束から考えたIPO株投資のコツとポイント
IPO投資は、複数の証券会社で効率よく申し込みをするのがコツなのです。その一方で資金拘束がされるということは、その分だけの資金を確保しておく必要があるということになります。
このとき、資金が潤沢な方、資金が少ない方とでは戦略が大きく変わってきます。上記のIPOに強いとされる証券会社の中でも戦略が変わってきます。
資金に余裕がある人 | 資金に余裕がない人 | |
---|---|---|
SBI証券 | 抽選形式が「申込口数」なのでできるだけ多くの口数で申し込みをしておくべき。募集件数も多いので確実に抑えておきたい。 優先度:最高 |
完全配分は大口投資家に取られやすいのでチャンスは少ない。ただし、IPOチャレンジポイントがあるので、最低単位くらいは申し込みをしてポイントを貯めたい。 優先度:最高 |
SMBC日興証券 | 1口座1票の完全抽選なので、1口だけ申込をしておくべき。 優先度:高 |
資金拘束が厳しい(申込時)なので、資金に余裕がないなら他社に回したほうが良い 優先度:低 |
マネックス証券 | 1口座1票の完全抽選なので、1口だけ申込をしておくべき。 優先度:高 |
資金拘束が厳しい(申込時)なので、資金に余裕がないなら他社に回したほうが良い 優先度:低 |
岡三オンライン証券 | 完全抽選かつ、資金拘束がないのでいずれにしても最小単位は申し込みをしたい 優先度:最高 |
|
SBIネオトレード証券 | 完全抽選かつ、資金拘束がないのでいずれにしても最小単位は申し込みをしたい 優先度:最高 |
|
auカブコム証券 | 1口座1票の完全抽選なので、1口だけ申込をしておくべき。 優先度:高 |
資金拘束はさほど厳しくないので、とりあえず最低口数は申込をしておいて良いと思う。 優先度:中 |
最終的な資金需要は「抽選日」に集中する
IPOの申し込みにおいて最も資金が必要になるのはその「抽選日」となります。
その日を過ぎれば落選したIPOに関しては資金拘束が解かれるので自由になります。一方で複数のIPOに申し込みをしているようなケースでは資金の配分をよく考える必要があります。
また、投資資金をいろいろな証券会社に移動させるためのルートを確保しておく必要があります。
IPOはすべての証券会社で扱っているわけではないので、今週は○○証券だけど、来週は××証券といったように資金を移動させる必要もあるからです。
1)ネットバンクか都市銀行に口座を持っておく
証券会社間で資金移動をさせるときはリアルタイムの入出金に対応した銀行を利用するのがベストです。その際はやはり対応している証券会社が多いネットバンクか都市銀行を活用しましょう。
ネットバンクであればおすすめは
あたりが多くの証券会社でリアルタイム入出金に対応しているのでお勧めです。
2)万が一のための借入枠を用意するのも手
積極的にお勧めはしませんが、借入枠を持っておくというのも手かもしれません。
消費者金融やカードローンはどうしても金利が高いのですが、日割り計算となります。
仮に10%の金利でお金を借りたとして、抽選日前後で3社日借りたというのであれば100万円でも822円で済みます。
また、一部のキャッシングやカードローンは一定期間の借り入れなら金利が無料になるといったサービスを行っているケースもあります。初回のみといったように条件はありますが、IPOが立て続けにあり資金が追い付かないという場合は、その月だけ使ってみるというのも手かもしれません。
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以上、IPO投資を効率的にするための資金配分と資金確保の方法についてまとめてみました。
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