東京カンテイが公表している「マンションPBR」という指標をご存知でしょうか。

マンションPBRは、首都圏、近畿圏、中部圏などの各エリアにおける「過去10年間に販売されたマンション価格」と「新築マンション価格」とを比較した指標です。本記事では、このマンションPBRの数値データや最新の市場動向から読み解く、マンション購入や不動産投資のポイントについて解説します。

ちなみにPBRやPERは、元々株式投資の世界で使われる指標です。それらをマンション価格に当てはめたものが、本記事で解説するマンションPBRおよびマンションPERとなります。
PBR(株価純資産倍率)に関する解説
PER(株価収益率)に関する解説

マンションPBRの計算方法

マンションPBRは、株式投資におけるPBRとは少し意味合いが異なります。計算式は以下の通りです。

マンションPBR = 中古マンション価格 ÷ 新築マンション価格

過去10年間に販売されたマンションの70㎡換算価値を「駅ごと」に算出し、その流通価格が新築時価格の何倍になっているのかを示す指標です。そのため、マンションPBRは駅周辺の資産価値を測る目安として利用されます。

たとえば、首都圏の平均マンションPBRが「0.93倍」というデータがある場合、過去10年間に販売されたマンションの平均価格が新築時から7%下落しているということを意味します。

マンションPBRから読める、買いエリアと売りエリア(過去データの具体例)

同じ首都圏であっても、地域によってマンションPBRにはかなりの差が生じます。指標が公表された2012年当時のデータを例に見てみましょう。

エリア傾向 該当駅(2012年当時のデータ例) マンションPBR 意味合い
上位(都心部) 外苑前
銀座1丁目
三越前
1.46倍
1.40倍
1.35倍
新築購入時よりも中古売却価格が大きく上昇している
下位(周辺郊外部) 作草部(千葉県)
吹上(埼玉県)
勝田台(千葉県)
0.54倍
0.59倍
0.64倍
新築購入時から価値が半値近くまで下落している

当時のデータを見ると、PBR上位陣には「都心部」がずらりと並び、逆に下位陣には「周辺部(郊外)」が並んでいることが分かります。
これだけを単純に見ると「マンションを買うなら都心部が有利」と判断できそうですが、同じ都心部でも「赤坂見附:0.70倍」「西永福:0.71倍」のようにPBRが低い地域も存在していた点には注意が必要です。

2026年最新動向から読み解くマンションPBRと価格推移

マンションPBRの傾向は、現在(2026年時点)においても二極化が進んでいます。

東京カンテイのデータ動向によると、首都圏の中古マンション(70㎡換算)の売出価格は上昇基調にあります。過去の傾向と同様に、都心部(六本木周辺など)ではPBRが1.5倍を超える駅が増加している一方で、郊外では下落傾向が続いている状況です。

ただし、都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の2026年2月データでは、在庫の積み上がりにより37ヶ月ぶりに価格がわずかに下落(前月比-0.2%)する動きも見られました。全体として、金利上昇や供給増の影響を受け、首都圏平均のPBRは0.9倍〜1.0倍前後で推移しています。

東京都心部はその他の地域と比較して価格下落が緩やか(あるいは上昇しやすい)傾向がある一方で、周辺部は資産価値(売却価格)の下落率が高くなりやすいという点は、不動産選びの大きな指標となります。

PBRが高い地域は買いなのか?投資の注意点

PBRが高い地域とは「新築で買うよりも中古で売った方が高く売れる(資産価値が落ちにくい)」地域を指します。外苑前のようにマンションPBRが1.46倍であれば、購入価格よりも高額で売却できたということです。

しかし、この数字を盲目的に信じるのは危険です。以下の注意点を把握しておきましょう。

1. PBRはあくまで「過去10年間の結果」である
PBRが高いというのは「10年前に買っておけばよかった」という過去の実績です。金利動向、景気、今後の再開発の有無などによって変動するため、これからもその地域の価格が上昇し続けることを保証するものではありません。

2. すでに「割高」になっている可能性
マンションPBRが高いということは、現在の不動産価格が買われすぎている(割高である)可能性も示唆しています。逆にPBRが低い地域は、販売時点でのプレミアム(上乗せ価格)が大きすぎたために下落率が高くなったとも分析できます。

3. 比較検討が必要
同じ駅の周辺であっても、複数物件の比較、築年数、管理状態(修繕の履歴など)によって実際の価値は大きく異なります。

今後の不動産投資やマンション購入を考える上で、マンションPBRは「資産価値の保たれやすさ」を測る参考数値のひとつとして活用することをおすすめします。

もう一つの指標「マンションPER」とは何か?

マンションの「収益性」に注目した指標がマンションPERです。

マンションPER = マンション価格 ÷ 年間賃料

これも株式投資におけるPERと同じ考え方で、「何年分の賃料でマンションの購入費用を回収できるか(モトを取れるか)」を示す数字です。収益還元法にも近い考え方と言えます。

一般的に、マンションPERが「20未満」であれば高収益な物件(目安)と評価される傾向があります。

関連:マンション投資の基本と指標について

マンションPERを見るときの注意点
計算式自体は単純ですが、実際の運用はそう簡単ではありません。マンションは購入して終わりではなく、以下のような様々な維持費用やリスクが発生します。

そのため、単純な投資回収期間として鵜呑みにするのではなく、これら経費や空室リスクを差し引いてシミュレーションを行う必要があります。複数の購入候補マンションがある場合に、比較材料のひとつとして使うのが正しい活用法です。

まとめ

「マンションを買うなら都心部が良い」とよく言われますが、マンションPBRのデータを見る限り、都心部は資産価値の下落が緩やかである(または上昇する)という明確な傾向があります。近畿圏や中部圏などの他の地方都市でも、中心部と郊外部で似たようなデータが出ています。

  • マンションPBR:中古価格÷新築価格。資産価値の維持率(値下がりしにくさ)を測る参考指標。
  • マンションPER:物件価格÷年間賃料。何年で資金回収できるか(収益性)を測る指標。目安は20未満。

どちらも有益なデータですが、「PBRは過去の実績であること」「PERは諸経費やリスクが含まれていないこと」を理解した上で、冷静な物件比較のためのツールとして活用してください。

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ふかちゃん
マネーライフハックの編集長 兼 管理人です。節約やマネー術などについての情報発信を2004年から続けています。
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