2015年の相続税改正に伴って相続税の課税対象となる方が増えています。
特に都市部に不動産(住宅)を保有されている方にとって相続税は決して他人事ではありません。
また、同時に考えておきたいのが「二次相続」です。夫から妻への相続はうまく行っても、そのあとの妻(母)から子の相続(二次相続)についても同時に考えておく必要があります。
今回は夫婦で考えたい自宅を相続する時のポイントとその後の二次相続についてまとめます。
自宅の相続は単独名義がおすすめ
多くのご家庭において最大の財産となるのがマイホーム(自宅)です。このマイホームをどのようにして残された配偶者やその次世代につなげていくか?特に、平均寿命が夫より長い妻をベースに前もって考えておくことが大切です。
そのうえで相続を考える時、最大の財産となることが想定される「自宅(不動産)」の扱いは難しいものです。不動産は分割が容易ではないため、相続の際などに問題となりやすいからです。
この時に、安易に不動産を共有するのはできるだけ控えるべきです。共有にすると何をするにしても所有者の合意を得る必要があるため、それをめぐってトラブルとなることもあります。
仲が良かった子供同士であってもトラブルにはなります。売却をするとしても「売りたい金額」「売りたい時期」などが異なることで衝突しやすいです。
こうしたことも考えて、可能な限り共有は行わず、単独名義とするように考えておきましょう。
全額を母(配偶者)が相続するという方法は好ましくないケースも
もう一つのよく聞く話の一つとして、父親が死亡したとき、父親の遺産をすべて母親に相続させるという話があります。
残された母の経済基盤のためにという気持ちからなのでしょうが、こうすることで二次相続時の財産を増やしてしまうことになる可能性があります。
たとえば、現在の相続税は基礎控除として「3000万円+600万円×法定相続人数」となっています。
父が残した財産が4500万円の場合、夫婦と子二人の家庭の場合は基礎控除が4800万円なので非課税で済みます。遺産をどう分けるかは自由なのでこれを母親に全額渡したとしましょう。これが一次相続ですね。
二次相続発生時に税金が余計にかかるかもしれない?
二次相続は母親が死亡したときに発生します。母親が死亡時には夫から相続した4500万円に、もともと母親独自の財産として3000万円があったとします。この際の相続財産は7500万円となります。
子二人が法定相続人なので基礎控除は4200万円となります。はみ出した3300万円に相続税がかかることになります。これが二次相続となります。
最初から子供が相続していたらどうなる?
この問題で最初の父親の死亡時に相続分を子供が受け取っていたらどうでしょう?
4500万円の相続財産は通常のルール通りに分割していれば母2250万円、子供1125万円となります。
この場合、母が死亡したときの相続財産は2250+3000=5250万円となり、基礎控除4200万円とすると相続税が課せられる分は1050万円となります。
二次相続で負担がでないように予め考えておく
必ずしもというわけではありませんが、死亡する可能性が高い順番を考えておくと、両親が子よりも先だと考えられます。
そのため、遺産額が多いという場合には、全額を配偶者に相続させるのではなく、二次相続も考えた一次相続を考えておきたいものです。
自分が世帯主である場合、二次相続で子が相続する場合のことも考えて、あらかじめ遺言書などを作っておくとよいでしょう。
そうした場合は自宅を相続できない方が不利になりやすいので代償金などについて考えておく必要があります。
そこで有効なのはやはり「遺言書」です。まだまだ夫婦が元気なうちに考えておきたいものです。遺言書の書き方については「遺言書の書き方と効力」の記事も参考にしてみてください。
二次相続はケースバイケースなので専門家に相談しよう
一次相続と二次相続は相続財産の状況も踏まえた上で考える必要があります。
第1のポイントは配偶者が相続する場合には配偶者控除(配偶者の取得財産が法定相続分か16000万円の多いほうまでなら非課税となる制度)があるため、たとえ相続税が発生する場合であっても妻が1/2という法定相続分で相続する限りは課税されません。
また、不動産(自宅)に対する小規模宅地の特例が利用できます。一方で夫婦と子供が同居しているようなケースであれば二次相続も踏まえると自宅は子供に相続させておいたほうが節税対策につながります。
この辺りも踏まえた上で一次相続、二次相続を一緒に考えておく必要があります。
以上、夫婦で考えたい遺産相続における自宅相続と二次相続のポイントでした。
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