銀行口座は、名義人が死亡したことが金融機関に知られると凍結されてしまい、入出金ができなくなります。引き落としや口座振替なども不可能になってしまいます。

ただ、そうはいってもその後の生活費や葬儀費用なども含めてお金が必要となるケースも多いことでしょう。特に、一家を支えていた人が死亡したケースではなおさらです。

今回は、家族が死亡した時の銀行口座の凍結の仕組みと、凍結前に出金する際の法的リスク、凍結解除の方法や「遺産分割前の払戻し制度」の活用法などを詳しくまとめます。

銀行はどうやって故人の死亡を知るのか?

基本的には、家族からの申し出により銀行が死亡の事実を知り、口座を凍結します。

中には「市役所に死亡届を出すと銀行に通知が行くので、その前に出金しないといけない」と考える人もいますが、2026年現在、自治体から銀行へ自動で通知が行くことは原則ありません。これはよくある誤解です。(ただし、デジタル庁・法務省主導のデジタル死亡届制度の整備が進んでいることから、将来的にはこの仕組みが変わる可能性があります。)

しかし、遺族(家族)からの直接の申し出がない場合でも、新聞のお悔やみ欄や取引関係の調査などで銀行が把握することもあり、その場合でも口座は凍結されます。そのため、「家族が銀行に知らせていないにも関わらず口座が凍結されていた」ということも起こり得ます。

逆に言えば、銀行が死亡の事実を知らず、死後もそのまま使えている口座というのも一定数存在しているようです(もちろん、事実が知れればすぐに凍結されます)。

なぜ口座が凍結されるのか?

預金口座の財産は、故人固有の財産であり、死亡と同時に「相続財産」となります。そのため、たとえ家族であっても勝手に引き出すことはできません。

一部の相続人が勝手に口座から現金を引き出してしまい、後になって他の相続人から銀行の過失(本人確認の不手際など)を指摘されるトラブルを防ぐため、銀行は口座を凍結して財産を保全する措置をとります。

口座凍結前に出金するのは問題がある?

家族が死亡した場合などで、口座が凍結される前にATMや窓口でお金を出金するのは問題があるのでしょうか?

対銀行で考えると、暗証番号を入力したATMでの出金について、銀行から直接責任を問われる可能性は低いです。一方、窓口で出金をする時は、近年本人確認が厳格化されているため難しい場合があります。

本当に注意したいのは、故人の相続人(法定相続人)との関係や法的リスクです。

故人の財産は相続人全員の共有財産となります。銀行が死亡を知る前に引き出したお金について、その後の相続手続きにおいて他の相続人から「不当利得」や「使い込み」として問題視されるケースが増加しています。特に2024年施行の改正相続法以降、相続預金の開示・追及が厳格化されており、引き出した事実は通帳履歴から明確に確認できてしまいます。

「葬儀費用として使った」という主張が認められるケースもありますが、後々のトラブルを防ぐためにも、領収書や使途の記録の保存は必須です。可能であれば事前の根回しをしておき、相続人間で合意が取れている場合でも書面で残しておくことが強く推奨されます。どうしても連絡が取れないような場合には、特に厳重な記録管理が必要です。

凍結されたけど必要なお金が無い時の対策

銀行口座が凍結されてしまった状況で、他に預金などが無い場合に困るのが「葬儀費用」「当面の生活費」「各種引き落とし」の確保でしょう。

公共料金やクレジットカードなどの各種引き落としについては「引き落とし不可」という形になるので、引き落とし口座の変更依頼などを早めにかけておきましょう。

生活費や葬儀費用については、2019年7月の改正民法施行により整備された「遺産分割前の払戻し制度」を活用するのが有効です。口座が凍結された後でも、他の相続人の同意なしに一定額まで払戻しできる非常に有用な制度です。

払戻し可能額の計算式口座残高 × 1/3 × 法定相続分(1金融機関あたり上限150万円)


計算例

故人の銀行口座に300万円の残高があり、法定相続人が配偶者1人・子1人の場合(配偶者の法定相続分は1/2)

300万円 × 1/3 × 1/2 = 50万円

この場合、配偶者は単独で50万円を払い戻すことができます。

葬儀費用や当面の生活費として活用できる制度であり、銀行窓口に相続関係を示す戸籍謄本などの書類を提出することで手続きが可能です。

どうやったら口座凍結が解除されるの?

故人の財産が、相続財産として適切に処理される状態になったことが分かる書類を銀行に提出する必要があります。「誰が受け取るのか」がはっきりしている必要があり、書類集めには手間と時間がかかります。

必要書類の例

  • 被相続人(故人)の生まれてから死亡するまでの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明
  • 同印鑑が押された相続届け(遺産分割協議書)

※公正証書遺言書がある場合は、手続きが比較的簡単になります。

凍結解除にかかる期間の目安:
必要書類に不備がなければ、銀行への提出後約1〜3週間(10営業日程度)で口座凍結が解除され、払い戻しが行われます。ただし、書類に不備がある場合や、相続人が複数おり揉めている場合は1ヶ月以上かかることもあります。手続きに明確な期限はありませんが、生活への影響を最小限にするためにも早めの対応が推奨されます。

費用の目安:
銀行に支払う手数料は基本的に無料です。ただし、書類収集費用(戸籍謄本1通約450円、印鑑証明1通300円など)は実費として発生します。

最低限の預金は夫婦で分散して持っておくのが安心

口座の凍結は、長い時は数カ月以上続く場合があります。特に相続関係で揉めてしまうと長期化する恐れがあります。

そうしたリスクを回避するためにも、夫婦それぞれが自分名義の口座に数カ月程度の生活費を預けておくようにするとよいでしょう。ただし、相続対策として妻(夫)名義の口座にお金を預金するのは「名義預金」と判断される可能性があります。

名義預金として認定された場合の最大の注意点は、「いつ預けたお金でも課税対象になる(時効がない)」という点です。
通常の贈与税には6〜7年の時効がありますが、名義預金は「そもそも贈与が成立していない(故人の財産のまま)」と判断されるため、時効規定が適用されません。10年・20年前に預けた口座であっても、税務調査で名義預金と認定されれば相続税の課税対象となり、過少申告加算税や延滞税が加算されるリスクがあります。

ただ、名義預金と判断され相続財産とみなされることはあっても、その口座自体が凍結されるということはまずありません。名義預金の詳細については、以下の記事もご覧ください。

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以上、家族が死亡した時の銀行口座の凍結と出金、解除の方法でした。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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