退職日は月末と月末1日前どちらが得?社会保険料・年金をケース別比較

退職日を「月末」にするか「月末1日前」にするかで、退職する会社の健康保険・厚生年金保険料は1か月分変わります。しかし、月末1日前なら無条件で得になるわけではありません。
退職日の翌日から、転職先の社会保険、国民健康保険と国民年金、配偶者の扶養など、別の制度へ移ります。退職する会社の給与明細だけでなく、月末時点でどの制度に加入するかを見ないと本当の負担は分かりません。
先に結論
翌月1日に転職するなら月末退職が分かりやすく、厚生年金の空白もありません。しばらく無職なら、月末1日前にしても国民年金と国民健康保険などが発生するため、単純な節約にならないことが多いです。
退職日だけで得か損かは決まりません。退職日の翌日、月末日、次の会社の資格取得日の3点を並べて比較しましょう。
この記事の制度・保険料は2026年8月20日時点です
- 健康保険・厚生年金の資格喪失日は退職日の翌日です。
- 会社の社会保険料は資格喪失月の前月分まで発生します。
- 2026年度の国民年金保険料は月額17,920円です。
- 国民健康保険料、任意継続保険料、転職先の保険料は人・自治体・加入先で異なります。
退職日の翌日が社会保険の資格喪失日
たとえば3月31日に退職すると、資格喪失日は4月1日です。3月は月末まで会社の健康保険・厚生年金に加入しているため、3月分の保険料がかかります。
3月30日に退職すると、資格喪失日は3月31日です。退職した会社では3月分の保険料がかかりません。ただし3月31日は無保険にできないため、その日から別の健康保険と年金制度へ移る必要があります。
3月の最終日にどの制度へ入るか
資格喪失は4月1日
3月は会社の健保・厚生年金
3月分保険料あり
資格喪失は3月31日
3月31日は次の制度へ
退職会社の3月分はなし
| 退職日 | 資格喪失日 | 退職会社で最後に払う月 | 次の制度が必要な日 |
|---|---|---|---|
| 3月31日 | 4月1日 | 3月分 | 4月1日 |
| 3月30日 | 3月31日 | 2月分 | 3月31日 |
| 3月15日 | 3月16日 | 2月分 | 3月16日 |
会社が月末1日前退職を勧める理由
健康保険料と厚生年金保険料は、原則として会社と従業員が折半します。月末1日前に資格を喪失すれば、退職会社にはその月の会社負担分が発生しません。
従業員の給与明細でも1か月分が引かれなくなるため、一見すると双方に得に見えます。しかし、従業員は国民年金、国民健康保険、任意継続、転職先の社会保険などへ移ります。会社側の削減額と、本人の家計全体の削減額は同じではありません。
「保険料が1か月ゼロになる」という説明は不十分
退職会社の保険料がなくなるだけです。月末日に国民年金第1号ならその月の国民年金、国民健康保険なら自治体の計算による保険料が発生します。厚生年金の加入月も1か月減ります。
ケース別:月末と1日前のどちらを選ぶ?
退職翌日の行き先で判断
資格取得日を確認
空白を作らない
国保・任意継続を比較
国民年金へ切替
健保の認定日と収入条件
第3号の届出を確認
翌月1日に転職先へ入社する
3月31日退職、4月1日入社なら、3月は前職、4月は新しい会社の社会保険に加入します。空白がなく、厚生年金の加入月も連続します。
3月30日退職、4月1日入社にすると、3月31日の1日だけ別制度への加入が必要です。月末日に国民年金第1号になると3月分の国民年金保険料が発生し得るため、前職の厚生年金を外すことで必ず安くなるとは限りません。
退職日の翌日に転職先へ入社する
3月30日退職、3月31日入社なら、3月分の社会保険料は月末時点で加入する転職先から発生します。前職では引かれなくても、転職先で同月分が発生するため、社会保険料全体がゼロになるわけではありません。
退職後しばらく無職になる
退職日の翌日から健康保険を任意継続するか、国民健康保険へ入ります。20歳以上60歳未満で厚生年金にも第3号にも入らない人は、国民年金第1号への切替が必要です。
2026年度の国民年金保険料は月17,920円です。国民健康保険料は前年所得と自治体、世帯構成で変わり、任意継続は会社負担がなくなるため在職中の本人負担より増えることがあります。「任意継続と国民健康保険の比較」で金額を出してから退職日を決めてください。
配偶者の扶養へ入る
退職日の翌日から配偶者の健康保険の被扶養者となり、国民年金第3号にも切り替えられるなら、個人で健康保険料・国民年金保険料を負担しない場合があります。このケースでは月末1日前退職が家計上有利になる可能性があります。
ただし、扶養認定は退職日だけで決まりません。今後の年収見込み、失業給付の日額、健康保険組合の書類・認定日を事前に確認します。認定が遅れれば、その間の国民健康保険手続きが必要になることがあります。
厚生年金を1か月外す影響
厚生年金保険料を1か月払わなければ、会社負担分も含めて将来の老齢厚生年金の計算対象が1か月減ります。目先の手取りだけでなく、将来の年金額と、障害厚生年金・遺族厚生年金の加入状況も考えます。
国民年金第1号へ切り替えて保険料を払えば基礎年金の加入期間はつながりますが、厚生年金の報酬比例部分は付きません。国民年金と厚生年金の役割は「国民年金と厚生年金の違い」で整理できます。
健康保険は国保・任意継続・扶養を比較
| 選択肢 | 保険料の主な決まり方 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 前年所得、自治体、世帯人数など | 退職による軽減の対象か、家族分を含むか |
| 任意継続 | 退職時の標準報酬月額等 | 原則として会社負担がなくなり全額自己負担 |
| 家族の扶養 | 収入見込みなど認定条件 | 失業給付、認定日、必要書類 |
| 転職先の健康保険 | 転職先の標準報酬月額・保険料率 | 資格取得日がいつか |
任意継続は、退職前に継続して2か月以上の被保険者期間があり、資格喪失日から20日以内に申請するのが基本です。国民健康保険は資格喪失後14日以内を目安に市区町村で手続きします。比較してからでないと、退職後に期限が迫ります。
給与明細で2か月分引かれても二重払いとは限らない
会社によって社会保険料を当月給与から引くか、翌月給与から引くかが違います。月末退職時の最後の給与で2か月分をまとめて控除する会社もあります。
金額が大きいときは、控除対象月を給与担当者へ確認します。「最後の給与から多く引かれた」という事実だけでは、同じ月を二重に払ったとは判断できません。
退職日を決める前の確認手順
- 退職日、資格喪失日、転職先の資格取得日を日付で書き出します。
- 月末日に入る健康保険と年金制度を決めます。
- 前職の本人負担、国保または任意継続、国民年金、転職先保険料を比較します。
- 厚生年金の加入月が減るか、扶養認定が間に合うかを確認します。
- 合意した退職日を退職届・合意書など書面で確認します。
会社から月末1日前を提示されたら理由を確認
給与、社会保険の資格喪失日、年金、退職金、有給休暇の扱いを分けて説明してもらいます。本人の合意なく日付が変わっていないか、口頭だけでなく書面で確認してください。
よくある質問
月末1日前なら社会保険料はゼロですか?
退職会社のその月分はかかりませんが、国民年金、国民健康保険、任意継続、転職先の社会保険など別の負担が発生します。
月末退職なら必ず損ですか?
損とは限りません。会社負担のある健康保険・厚生年金へ月末まで加入でき、厚生年金の加入月も増えます。翌月1日入社なら制度が途切れず分かりやすい選択です。
1日だけ無職でも国民年金の手続きが必要ですか?
資格喪失日から次の厚生年金資格取得日まで空白があれば、20歳以上60歳未満の人は原則として第1号または第3号への切替を確認します。月末日を含むと保険料の月単位計算に影響します。
まとめ
月末1日前退職で消えるのは、退職会社におけるその月の健康保険・厚生年金保険料です。本人の社会保険負担全体が消えるわけではありません。
退職日の翌日、月末日、転職先の資格取得日を並べ、国保・任意継続・扶養・転職先保険を比較してください。翌月1日入社なら月末退職、無職や扶養へ移るなら実際の保険料と認定日を確認するのが基本です。
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